ガリレオX

夏の三陸 自然と産業はいま

BSフジ
本放送:08月24日(日)昼14:44~12:00
再放送:08月31日(日)昼12:00~12:30

 震災から4度目の夏を迎える東北、三陸地方。新しい国立公園、「三陸復興国立公園」が創設され、自然に親しみながら、災害から学ぶことができる施設が完成するなど、復興の先を考えた地域戦略が進められている。  その中で、気仙沼大島の体験観光、また復興プロジェクトのひとつである「みちのく潮風トレイル」に注目した。さらに、豊かな海が豊かな森に依ることにいち早く気付いた牡蠣養殖業、畠山重篤氏に取材し、三陸の海、森、島のいまを紹介する。

森は海の恋人
 大津波によって壊滅的な被害をこうむった牡蠣や帆立、ワカメにホヤなど、気仙沼の養殖業に、かつての豊かな海が戻ってきた。一時期、生き物の姿が消えてしまったかにみえた気仙沼湾だったが、瞬く間に回復したのだ。その理由は、牡蠣養殖業を営む畠山重篤さんが26年前から始めた山への植林によって豊かな森が作られ、鉄分をはじめとする栄養分が海へと届けられたためだ。一見遠いような存在の森と海との関係は、まるで恋人同士のようだと畠山さんは語る。

緑の真珠
 気仙沼湾に浮かぶ東北最大の有人の離島、気仙沼大島。かつて「緑の真珠」と呼ばれたこの島も、震災によって山火事が発生し、津波によって島が分断されるなど壊滅的な被害を受けた。未だ震災の傷は癒えないものの、人々は島の美しさを取り戻そうと再起し、体験観光を軸に活気を取り戻しつつある。徐々に海産資源も復活してきた大島は、ふたたび緑に輝き始めた。

震災の記憶
 2014年5月、岩手県宮古市に「震災メモリアルパーク 中の浜」がオープンした。震災以前、ここは海岸がすぐ近くに望めるキャンプ場として、多くの利用者が訪れる場所だったが、津波によって見る影もなくなるほど被害を受けた。かろうじて残った、形が歪んみ鉄筋が飛び出した炊事場やトイレなどが「震災遺構」となり、公園として整備されたのだ。震災ガレキ由来の再生資材で作られた「展望の丘」は、立って海側を見渡すと当時の津波の高さと目線とが重なるように設計されており、自然のもつ凄まじい威力を感じ、学ぶことができる。

みちのく潮風トレイル
 三陸復興国立公園を核とした復興プロジェクトのひとつとして、東北地方を南北につなぐ歩くための道、「みちのく潮風トレイル」が整備されつつある。完成すれば、青森の八戸から福島の相馬までの全長700kmの壮大なスケールのトレイルとなる。現在開通しているのは八戸〜久慈までの約100kmの区間であるが、源義経の北行伝説が残る巨石や、北限の海女の素潜り実演など魅力も多い。また、地元住人も参加しての路線検討ワークショップが重ねられ、山道をただ歩くだけではない、訪れた人と地元の人々とが自然に交流し関係を築けるようなトレイル環境が目指されている。


主な取材先
畠山 重篤
(牡蠣養殖業・NPO法人「森は海の恋人」) 

簗瀬 二朗
(NPO法人「気仙沼大島まちづくりサポート」)

櫻庭 佑輔
(環境省 宮古自然保護官事務局)


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