ガリレオX

なぜ?再生エネ“受入れ拒否” いま必要な電力システムを考える

BSフジ
本放送:12月21日(日)昼11:30~12:00
再放送:12月28日(日)昼11:30~12:00

太陽光、風力をはじめとする再生可能エネルギーは、世界的なエネルギー問題を解決する切り札。実際に日本全国で各種の再エネ発電所が建設され、稼働が計画されている。ところが、九州電力による「再エネ発電設備に対する接続申込の回答保留」発表を皮切りに、各電力会社がその受入れに待ったをかけた。再エネによる発電電力を電力会社が買い取る制度(FIT)も整って、さぁこれからという時に、なぜ再エネの受入れが滞ってしまったのか?なぜ電力会社は再エネをもっと私たちの家庭に届けることができないのか?発電・送電・給電の技術的な視点からその疑問に迫る

FIT(固定価格買い取り制度)ってなに?
FITとは、再エネで作られた電気の売り渡し価格を法律により固定価格で長期間(20年など)保証する制度だ。これにより再エネの安定成長が見込まれることから世界各地で取り入れられ、成果をあげている。日本も2012年からFITを運用しているが、ここにきてある問題が起こり、大きな混乱を呼んでしまった。その問題とは?

増えすぎた太陽光発電がもたらす給電システムへの悪影響?
電力供給には「同時同量」という原則がある。家庭やオフィス、工場などでいま消費されている電気の量と、できるだけぴったり同じ量を発電し、送電されなければならない。消費と送電のバランスが大きく崩れると最悪の場合停電もありうる。実はFITの開始以降、太陽光発電を筆頭にした再エネが激増し、この電力需給のバランスが脅かされているという。それはなぜか?

電力供給の頭脳、中央給電指令所で起きていること
電力需給のバランスをコントロールしているのが、各電力会社がもつ、中央給電指令所だ。今回特別な許可を得て、九州電力の中央給電指令所にカメラが入り、天候や景気の動向などから、これからの電力需要を予測する現場に取材した。指令所では九州各地の火力・水力等の発電所のリアルタイムの発電量・送電量が一目瞭然となっているが、実は再エネ発電所の発電量などのデータは見ることも制御することもできない。これは制度的な問題だという。

再エネのコストと国民負担
家庭に届く電気料金の明細を眺めると気づく「再エネ発電促進賦課金」。つまりFITによって発生している国民負担の金額だ。これは再エネが増えればそれだけ負担増となる仕組みであり、FITで先行するドイツでは現在、一世帯あたりの年負担額が3万円に達している。再エネのメリットと負担額を天秤にかけてみてどう判断するか?FITというシステムのこれからの設計について、まさに今、議論がなされている。


主な取材先
•朝野 賢司さん(電力中央研究所)
•鈴木 伸一さん(太陽光発電協会)
•安田 陽さん(関西大学)
•九州電力
•中部電力
•東北電力

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