火山学者のショック
そもそも今回の御嶽山噴火の規模は、これまでに災害や被害をもたらした噴火と比べたら非常に小さなものでした。なぜ「戦後最大」とも呼ばれるまでの被害となってしまったのか。しかも学者らが噴火直後から山への入山を希望したが、それが許されず、噴火の実態を早期に把握することさえできませんでした。この2点が火山学者にはショッキングなことでした。
予知や予測が難しい噴火
噴火の本格的な調査が始められる前から、火山学者らは噴火の「火山灰」などを調べることで、今回の噴火が通常の火山噴火とは異なる特徴を持っていると考えていました。噴火から1か月後に始まった本格調査の内容も加えて、改めてわかってきたのは今回の噴火が予測や前兆現象の観測が難しい水蒸気噴火であったという点でした。
火山といかに向き合っていくか
従来の観測体制では、噴火予知の難しい火山が存在すること、これが御嶽山噴火が残した大きな教訓と今後の課題です。
噴火後の新しい試みと調査で見えてきたこと
噴火メカニズムを正確にとらえ、それを防災にどのように絆いでいくか。火山学者らは新しい試みを始めています。例えば、今回の噴火についても予測や前兆現象が全く捉えられていないわけではありませんでした。噴火直前の約10分前から前兆現象が捉えられていたのです。そうした兆候の前後に何が起き、それを知るために必要な観測体制とは・・・。
主な取材先
•中田節也さん(東京大学地震研究所)
•及川輝樹さん(産業技術総合研究所)
•加藤愛太郎さん(名古屋大学大学院)
•井口正人さん(京都大学防災研究所)
•菅野智之さん(気象庁)