ガリレオX

重力という言葉を作った男 日本は科学をどう受け入れたか?

BSフジ
本放送:06月28日(日)夜19:42~12:00
再放送:07月05日(日)昼11:30~12:00

いまだ「科学」という言葉すら存在しなかった江戸時代後期の日本。近代西洋科学的な考え方が普及していない社会状況の中で、「重力」「引力」「遠心力」「真空」といった科学用語を翻訳という作業を通じて生み出した人物がいた。「江戸時代、唯一の国際的な科学業績」とも評せられる彼の行跡を探ることで、近代西洋科学がどのようにして日本へもたらされ、日本がどのように受け入れていったのか、その謎に迫る。

西洋知識はいかにしてもたらされたか?
江戸時代後期、西洋で生まれた様々な知識が、日本へもたされるようになった。この時に、現在私たちが日常生活でもよく使う様々な科学用語(「惑星」「重力」「引力」など)も知識として伝来してきたのだが、問題はどのようにして文字や漢字や仮名などを当て込んだのか。その困難だが重要な作業を改めて追った。

翻訳者としての通詞
江戸時代の日本は諸外国との交流を断つ「鎖国」体制を敷いていたために、外国からの知識や情報が入ってくるのは長崎の「出島」に限定されていた。その出島において、海外からの情報を翻訳する作業を受け持っていたのが「通詞」と呼ばれる人々であった。その通詞の中で一際、偉才を放っていたのが志筑忠雄と呼ばれるオランダ通詞であった。彼こそが「重力」「引力」「遠心力」などの科学用語を生み出した人物なのだ。

謎多き志筑忠雄
志筑は、科学用語のみならず様々な西洋書物の翻訳という作業を通し、次々と日本語を生み出す。それだけにとどまらず、当時の西洋科学に引けを取らない独創的な、惑星システムが作られるメカニズムを執筆したり、日本語の文法を初めて体系的に研究するなど、「江戸時代唯一の国際的な業績」とも評せられる偉大な成果を残した。しかし、それらの成果は、あまりにも時代に先行しすぎていたせいか、ほとんど理解されることなく、歴史のなかに埋もれつつある。現に、彼の生涯は今でも多くの謎に包まれたままなのだ。そんな謎多き志筑忠雄の業績を辿ることでみえてくる、日本における近代西洋科学の受容とそれがもたらした社会の変化に迫る。


主な取材先
岡田至弘(龍谷大学)
笹原宏之(早稲田大学)
鳥井裕美子(大分大学)
野家啓一(東北大学)

トップへ戻る