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ルポ!原発“廃炉” 役割を終えた発電所をどう処分するか?

BSフジ
本放送:07月12日(日)昼11:30~12:00
再放送:07月19日(日)昼11:30~12:00

原子炉の運転を終了し、原子力発電所を解体する「廃止措置」いわゆる「廃炉」。いま廃炉と聞くと、事故をおこした福島第一のイメージが強いが、本来は役割を終えた原子力発電所を安全に更地に戻すまでの工程を指す言葉だ。世界でもまだ10基ほどしか廃炉の先行事例がない中、日本で現在、廃炉作業が進む東海発電所と浜岡原子力発電所1号機2号機にカメラが入り、その解体の現場に取材した。

日本の原発“廃炉”の現在
日本にはいま、現役の原子炉が43基ある。それ以外に、今後の廃炉が決まっている原子炉が5基、すでに廃炉の解体作業が進められているものが3基ある。廃炉は4段階に区分されて進められるが、廃炉作業の進むプラントは第1段階の「汚染のない屋外設備の解体」をしているものと、第2段階の「タービンなど放射能レベルの低い設備の解体」を進めている状況だ。

廃炉の現場から(浜岡原子力発電所1号機・2号機)
原子力発電所の解体でもっとも気を遣わなければならないのが放射線であるが、廃炉が決まると真っ先に核燃料が搬出されるため、残された構造物で放射能を帯びたパーツは実は少ない。廃炉作業が進められている浜岡原子力発電所1号機・2号機のタービン建屋と原子炉建屋に入り、実際に放射線の線量を測りながら話を聞いた。

なぜ廃炉は何十年もかかるのか?
浜岡原子力発電所1号機・2号機は、更地になるまで28年という期間が計画されている。なぜ廃炉には長い時間がかかるのか?そこには、放射能が半分になるまでの時間、「半減期」を待たなければならないのともうひとつ、理由があった。

廃炉の現場から(東海発電所)
東海発電所では遠隔操作のロボットアームによる熱交換器の解体作業が進んでいた。4本あるこの巨大構造物のうち1本を解体するのに3年かかったという。だが実は、熱交換器の放射能レベルは低いため、人手によりもっと短い期間で解体することも可能だ。ではなぜロボットアームを使うのか?そこには次の段階で待つ原子炉圧力容器解体を見据えた事前準備があった。

廃棄物のゆくえ
廃炉によって生ずる放射性廃棄物はどれほどの量で、どうやって処分されるのか?一般的な軽水炉の場合、地中への埋設処分等が必要な低レベル放射性廃棄物は全体の約2%にとどまり、およそ98%は一般の産業廃棄物と同様に処分することができるという。また放射性廃棄物であってもクリアランス制度という国の測定基準をクリアしたものは、人体への影響を無視できる廃棄物として再生利用もされている。

廃炉後の風景とは?
日本には世界に先駆けて廃炉を完了した発電用の原子炉があった。その動力試験炉「JPDR」の跡地はいま、完全に更地となっている。原子炉解体技術の基礎を確立したJPDR廃炉の映像記録を振り返りながら、当時をよく知る関係者に話を聞いた。


主な取材先
石川迪夫(原子力デコミッショニング研究会)
市川直樹(日本原子力発電)※取材時
神長一彦(日本原子力発電)
木村秀明(日本原子力発電)
白石邦生(日本原子力研究開発機構)
村松立也(中部電力)
山内豊明(日本原子力発電)

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