ガリレオX

和食を育てた”umami” 第5の味の存在を信じた日本人研究者

BSフジ
本放送:08月23日(日)夜19:21~12:00
再放送:08月30日(日)昼11:50~12:20

和食の味を演出する「うま味」。その”新たな味”の発見は、ノーベル賞級と言われるほどに大きなものであり、今では、”umami”として世界的な存在となっている。しかし、うま味が科学的に認知されたのは、実は最近のことである。「うま味」が”umami”へと跳躍していくその歴史と日本人研究者らのドラマと「おいしさ」の謎に迫る。

和食ブーム
世界中で和食が食べられている。その見た目の美しさや色合いはもちろんのこと、栄養バランスの良さという健康上の理由からも人気を呼んでいる。世界の料理のほとんどが脂質を中心に構成されているのに対して、和食は「うま味」を中心として料理が構成されており、糖分や塩分を控え目にしてもしっかりとした味を出せるためだ。しかし、そもそも「うま味」とは何だろうか?

うま味とは?
人間の味覚は、最近になって5種類の基本的な味によって構成されているのが明らかになった。甘味、塩味、苦味、酸味そして「うま味」である。このうま味を発見したのは、旧・東京帝国大学の日本人研究者で、私たちに馴染みの深い食材を研究対象に選ぶことで大発見に至った。果たして、どのような食材からうま味は抽出され、それを見つけた研究者とはどのような人物であったのか?

西洋におけるうま味
1908年に日本人によって発見されたうま味。しかし、西洋では近年までうま味の存在は無視し続けられた。西洋の食材や料理にうま味が含まれていないわけではなく、チーズやトマトといった食べ物には豊富に含まれている。だが、多種類のアミノ酸が含まれているため、特定のアミノ酸が”うま味の素”となっていることに気がつかず、研究対象とならなかったのだ。

うま味からumamiへ
うま味が科学的に認められる、つまり第5の基本味として認められるようになったのは、人間の舌に存在する味覚細胞において、うま味物質にだけ反応する「うま味受容体」が2000年代に発見されたことによる。そして、このうま味受容体の発見が決定打となって、味覚研究の世界全体が様々な進展を見せ始めている。うま味が日本人研究者によって発見されてから、およそ1世紀。その裏には第5の味としての存在を信じ続けた日本人研究者らの地道な科学的検証と様々なドラマがあった。そのumami研究は、生命研究の視野を広げたのだ。


主な取材先
栗原堅三(北海道大学名誉教授)
三坂巧(東京大学)
大越慎一(東京大学)
川岸郁朗(法政大学)

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