地震予知の敗北
地震大国である日本は、これまで莫大な国家予算を地震予知のために投入してきた。しかし、1995年阪神淡路大震災の発生によって、その国家プロジェクトは結果的に敗北した。しかし、この教訓をもとに、一つの新しい学問が誕生した。それが「地震予知学」である。
地震予知学とは?
地震予知学は、地震学ではない。研究対象も研究アプローチも全く異なる。地震学では地震の発生メカニズムを解明し、長期予測としての発生確率を厳密化することを主眼としている。一方、地震予知学は地震発生を前もって知ることを目的としているため、地震そのものではなくて前段階の諸事象、すなわち前兆現象を科学的手法を用いて捉えることを目指す。いかなる前兆現象が観測されており、それはどのような手法を用いて解析されているのだろうか?
地震予知の成功例
地震予知学は、まだまだ新しい学問だけに、研究対象となる異常現象を、本当に地震の前兆現象として捉えていいのか、その因果関係の同定には堅実な研究が必要とされる。そんな中で、地震との因果関係が認められる研究が、大気中の電離層の乱れを捉えるという方法だ。それはどのような研究内容なのか?
動物の異常行動
もう一つの有力な方法として動物の異常行動を捉えようとする研究がある。昔から、地震の前にはナマズや猫が異常行動を起こすなどといった報告がなされてきたが、科学性という点で多くの課題があった。データの信頼度で注目されているのは、牛の乳量生産率やニワトリの卵の産卵率が、地震の前になると下がるという現象を統計的に導き出して、地震との因果関係を捉えようとする研究。果たして、動物の異常行動と地震の間に因果関係は認められるのだろうか?
主な取材先
早川正士(早川地震電磁気研究所)
上田誠也(東京大学 名誉教授)
山内寛之(麻布大学)