ガリレオX

続・“シンギュラリティ”がやってくる 情報×美術×法律

BSフジ
本放送:06月25日(日)昼11:30~12:00
再放送:07月02日(日)昼11:30~12:00

 “シンギュラリティ”。それは人工知能によって、私たちの社会が劇的に変化する「技術的特異点」を指す言葉だ。指数関数的に上昇している人工知能の情報処理能力は、すでに私たち人間の知性に迫りつつあり、ついに「人間の知性を超える時期」というのが、2045年に予測されるシンギュラリティである。そこに現れるのは、ユートピアか、それともディストピアか? これまでガリレオXでは、専門家による議論を通してシンギュラリティを迎えることになる社会の将来像を探り続けてきた。今回は、情報学、法律、美術を専門とする新たな4人の識者が集まった。今後、高度な人工知能が社会実装されていく中で、どんな課題解決が必要になるのか? 続シンギュラリティ・シンポジウムの開幕だ。

続・シンギュラリティがやってくる
人工知能の情報支援が受けられるAI会議室で続・シンギュラリティ・シンポジウムが始まった。AI研究者の市瀬龍太郎さん、情報学者のドミニク・チェンさん、ロボット法学者の赤坂亮太さん、そして美術家の中ザワヒデキさんの4人に自由な議論をしてもらった。ドミニクさんが自動運転車が突き当たるトロッコ問題の例として、MITのモラルマシーンの話題を提供し、AIは人間を超えた判断ができるのか? またそれをさせるべきなのか? という議論が深まる。

人工知能の法的責任
もしも人工知能が判断を誤り、大事故が起こってしまったら、その人工知能に法的責任を負わせられるのだろうか? ロボット法学者の赤坂さんが中世ヨーロッパで実際にあった動物裁判の事例からその可能性を切り出すと、AI研究者の市瀬さんは人工知能に人間の「常識」を実装することの難しさを語る。

人工知能みずからが作る芸術作品の価値
2015年にGoogleが開発したAI、DeepDreamが、これまでに学習した画像データベースをもとに作り出す「AIから見える世界」像は悪夢のようでもあり、芸術作品のようでもある。そんな話題に対して美術家の中ザワさんは、AIが意識を持ち、美意識も持ち、独自の芸術を生みだしたとき、その美的価値は人間を超えていくのではないかと語る。そんな時代に誰が美的価値観をつくっていくのか? 議論が割れる。

人工知能に与えるべき権利
もしも人間と同じようになんでもできる人工知能が現れ、しかも何らかの権利を求める行動が起こされたら、権利を与えるべきなのか? 中ザワさんは公民権運動の事例を出し、赤坂さんは企業などに与えられる「法人格」のようにバーチャルな人格がロボットやAIには適しているのでは? という持論を展開する。

過去にもあった?シンギュラリティ
2045年と予測されているシンギュラリティだが、過去に人類はシンギュラリティを体験したことはなかったのか? ドミニクさんは、「文字の発明」こそが最初のシンギュラリティだったのではないかと問う。一方、中ザワさんは、生物として迎えた最初のシンギュラリティはカンブリア大爆発だったのではと考え、これから起こるシンギュラリティが喩え人類にとってSF的な不幸をもたらすものになろうとも歓迎し、それをきちんと見たいという知的好奇心を露わにする。


主な取材先
市瀬龍太郎 さん (国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系 准教授)
ドミニク・チェン さん (早稲田大学文化構想学部 准教授)
中ザワヒデキ さん (美術家/人工知能美学芸術研究会 発起人代表)
赤坂亮太 さん (慶應義塾大学SFC研究所 上席所員)

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