エネルギー自給率7%の現状
2017年、日本で使われるエネルギーの内、日本の資源でまかなえる割合は7%というデータが発表された。この「エネルギー自給率7%」という結果について、世の中の声を聴くと、多くの人は予想いていたより低い値だと答えた。そして、その中でも電気を確保するために、日本にある資源を利用する太陽光発電や風力発電に代表される“再生可能エネルギー”の利用を期待する声が多かった。
再生可能エネルギーと賦課金
再生可能エネルギーの導入先進国であるドイツ。ドイツは現在、発電電力量のうち再生可能エネルギーが占める割合が30%近くに達している。
しかしそれに伴う問題が起こっていた。それは再生可能エネルギーの普及を支援する制度として設けられた「賦課金(ふかきん)」のために電気料金が世界レベルの金額になっているという。
そして今後日本も賦課金が増え、電気料金が高くなっていくと推計されている。
太陽光発電を最大限使う九州地方
すでに九州では太陽光発電が多く導入されている。そこでは2017年のゴールデンウィークに安定した電力供給の限界が迫ったという。
そもそも電気は、多すぎる量を供給してしまうと周波数が乱れ、最悪の場合、停電となってしまう。そのため需要と供給を一致させなくてはならない。
しかし、太陽光発電は文字通り太陽由来のエネルギーを使うため、日の出、日の入り、そして日中も雲の動きにより発電量が左右される。
そのため安定した電力を供給するために細心の注意を払って需給調整を行っているという。
それでも今後さらに太陽光発電が増えてくると、そうした調整も難しくなるかもしれないという。
再生可能エネルギーの電気を使いやすくするために
再生可能エネルギーは太陽や風などの無尽蔵にある自然の力を使う。そのため発電量は時々刻々と変化する。
それを一定な、使いやすい電気にするために「空気を圧縮し貯蔵」するシステムの実験が行われていた。まだまだそうした蓄電技術には課題も多いという。
エネルギー自給率を高めるために
エネルギー自給率を高めるためには、再生可能エネルギーと共に原子力エネルギーの利用推進も有効だ。しかし、原子力には不安の声も多い。
そうした中、各原子力発電所では「深層防護」という考えに基づいた安全対策が進められている。
自給率7%のままでは今後の日本社会は立ち行かない。
私たちは、今、そして将来のエネルギーをどう確保していくべきなのだろう?
主な取材先
金子 祥三さん (東京大学 生産技術研究所)
朝野 賢司さん (電力中央研究所)
宮家 邦彦さん (キヤノングローバル戦略研究所)
奈良林 直さん (北海道大学大学院 工学研究院)
蓮池 宏さん (エネルギー総合工学研究所)