ガリレオX

読書の小宇宙 本と人とのこれからの関係

BSフジ
本放送:12月24日(日)昼11:30~12:00
再放送:12月31日(日)昼11:30~12:00

文字の発明から6000年、活版印刷の発明を経て、書物は文明の近代化を推し進める原動力となってきた。「世界を変えてきたのは読書だった」とも言えよう。 ガリレオの「星界の報告」も、ニュートンの「プリンキピア」も、もし人々に広く読まれなかったとしたら、世界の姿は現在と全く異なったものになっていたに違いない。 そして今、書物は多様な電子メディア端末と融合し、人類総体としての読書量は増大している。未来の読書を予見するよう新たな電子リーダーも現れてきた。デジタル時代の読書が問う、新たな知の体系に迫る。

時代は読書離れ
読書離れが進んでいる。一か月に1冊も本を読まない人が、日本人の約半数にも及んでいるというのだ。お茶の水女子大学名誉教授の藤原正彦氏は、「多くの情報の中から何を選択するかが重要な時代、その選択には教養が必要で、教養を育むには読書が不可欠」だという。「読書離れ」という危機感は、業界に新たな動きを生んでいる。本の作り手と読み手とを繋ぐ書店イベントの開催や、書店の在庫検索・売り場誘導アプリのリリースなど相次ぐ。DNP大日本印刷の中川清貴氏は、出版の力とは著者、出版社、取次、書店によって培われた「知の力」であり、その火を消してはいけないという使命を感じている。

読書と脳
なぜ私たちは文章に書かれていない物語の行間を読んで、想像力を膨らませることができるのだろうか?東京大学教授の酒井邦嘉氏は、映像や音声に比べて、文字が持つ情報量が圧倒的に少ないことが影響しているという。「脳の言語地図」によれば、読書で読まれた文字は脳内専用の「音韻」へと変換され、それが「単語」や「文法」と照合されて「読解」に至るというのだ。また、東京大学名誉教授の尾鍋史彦氏によれば、紙の色や手触りが持つ特別な心地良さが、人にとっての親和性を生み出していることが認知科学から確認されていると言う。

未来の読書が始まっている
電子書籍リーダーが普及し、珍しくもなくなった現在。電子ディスプレイでも読みやすい書体の開発が進んでいる。DNP大日本印刷の伊藤正樹氏は、100年の歴史を持つ秀英体という書体のリニューアル時に、ある評価実験をおこなった。デジタル表示で主流となっている様々なゴシック体の中で、秀英体がどの年齢層から「読みやすい」と支持されているのかを調べたのだ。また同じくDNP大日本印刷の小林潤平氏は、進化が期待される電子書籍リーダーならではの新しい読書アシスト技術の研究を進めている。アイトラッキング装置を使い、読書をするときの視線の動きのロスを調べ上げ、その改善方法を探った。ページ数やレイアウトの制約を受けない電子書籍ならではの画期的な表示形式とは?

紙の本と電子書籍と私たちとの関係は?
紙の歴史は2000年。電子ディスプレイはようやく50年。読書をとりまく環境は大きく変化しているが、読書が人におよぼす影響力の大きさはこれからも変わることはないだろう。中川清貴氏、藤原正彦氏、酒井邦嘉氏がそれぞれ、本と人とのこれからの関係について語る。
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主な取材先
酒井 邦嘉さん (東京大学大学院)
尾鍋 史彦さん (東京大学名誉教授)
竺 覚暁さん (金沢工業大学)
藤原 正彦さん (お茶の水女子大学名誉教授)
阿部 卓也さん (愛知淑徳大学)
中川 清貴さん (大日本印刷)
伊藤 正樹さん (大日本印刷)
小林 潤平さん (大日本印刷)
黒田 茂さん (丸善雄松堂)
篠田 晃典さん (丸善 日本橋店)

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