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AIに美意識は芽生えるのか? 人工知能美学芸術展で考えた

BSフジ
本放送:02月25日(日)昼11:30~12:00
再放送:03月04日(日)昼11:30~12:00

「人工知能に美意識は芽生えるのか」をテーマに掲げた人工知能美学芸術展が沖縄科学技術大学院大学で開かれた。展示は現代のメディアアートにとどまらず、20世紀以降の芸術、音楽、文学、思想に加え、最先端のAI研究成果など多岐にわたる内容が特徴だ。AIは今後、自律的に芸術を創造し始める可能性があるのか? 既にある「人間がAIを使って制作した芸術」ではなく、「AIみずからが創造した芸術」が今後現れるとしたら、どのような形で、人間の芸術とどう異なるのか? AI美学芸術が問う「人間とは何か」に迫る。

世界初の展覧会
2017年11月から2018年1月にかけて、世界初の総合的な人工知能(AI)の美術展が沖縄科学技術大学院大学で開催された。AIを使った芸術作品やAIに関係する音楽、文学、思想など多岐にわたる作品が集められたものだった。
その「人工知能美学芸術展」と名付けられた展覧会は、「AIに美意識は芽生えるのか?」を問うものであり、すでに実現している「人間がAIを使った芸術」ではなく、いまだ未知である「AI自らが創造した芸術」が実現したらどうなるのか?を考える試みだ。

作品 カテゴリーⅠ「人間美学による人間芸術」
作品 カテゴリーⅡ「機械美学による人間芸術」

集まった作品は大きく4つのカテゴリーに分けられた。
まずは、人間美学による人間芸術。これは人間が自らの美学で作る芸術のことであり、ルネサンス以降の芸術に多くみられ、油絵で描かれた作品など、人間自らの美意識や感情を表現したものである。
次に、機械美学による人間芸術。機械的な美学を人間が表現したものである。つまり、幾何学的な抽象絵画や、物質的に文字が配列された詩など、ある規則やアルゴリズムに沿って人間が表現した作品だ。
そこでは人間の美意識が時代とともに大きく変化してきたことが示唆された。 

作品 カテゴリーⅢ「人間美学による機械芸術」
作品 カテゴリーⅣ「機械美学による機械芸術」

さらに別の試みである、人間美学による機械芸術のカテゴリーは、今までの人間的な美学に基づき機械が生み出した芸術であり、自動制御プログラムを使って生み出された作品など、人間には最終的な完成形が予測できない作品である。
そして今回もっとも重視されたカテゴリーが、機械美学による機械芸術を予見させる作品群。人間以外の知性、例えばチンパンジーやボノボが自発的にかいた作品や、「機械(ロボット)が自分で目標を生み出せるか?」の研究展示がなされた。
これから進化する未知のAIを想定し、AI自らの美意識で芸術を作り出す可能性を考えるものだ。

人工知能に美意識は芽生えるのか?
この人工知能美学芸術展の仕掛人であり、美術家の中ザワヒデキさんは「人間も物質からできたものだとするならば、人工意識や人工生命も実現が原理的には可能であり、人工知能に美意識が発生する可能性がある。」と考え知的好奇心をくすぐられていると話す。
AIに生まれるかもしれない未知の美意識を人間も「美」と感じられるのか?
それをどう社会に受け入れていけばよいのか?
人間の尊厳にも関わる根源的な問いかけがそこに浮かぶ。


主な取材先
[主な取材先]
中ザワヒデキさん (美術家/人工知能美学芸術研究会 発起人代表)
銅谷 賢治さん(沖縄科学技術大学院大学 脳と人工知能 研究者)
秋庭 史典さん(名古屋大学大学院 美学・芸術学)

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