銅は文化なり
硬いにも関わらず、複雑な形に加工することができる銅は、青銅器文化を生み、貨幣や武器、装飾品や建造物に利用されてきた。そして産業革命以降には機械部品に重用され、19世紀の電気時代の到来により、電気機械産業の主役となっていく。早稲田大学の所教授によれば、「鉄は国家なり」になぞらえるならば、「銅は文化なり」と言えるのだという。
100年にわたり操業を続ける銅製錬所
銅を電線などの材料として使える純度にまで精錬する方法は、どのようなものなのか?遠く南米のチリから輸送してきた銅の原料を、高温の炉でドロドロに溶かし、さらに電気分解も使って銅純度は高められるのだという。九州、大分県にあり、100年の歴史をもつ佐賀関製錬所を案内してもらった。
銅利用の主役は?
産業の近代化に欠かせない社会インフラである電気。それを支えてきたのが高品質な銅の電線だ。さらに近年需要を伸ばしているのが、マイクロメートルやナノメートルにまで加工された銅だ。ICチップと基盤とを繋ぐ超極細線や、銅箔で作られる配線基板などがそれにあたる。歴史ある電線工場と、最先端の超極細線工場のそれぞれにカメラが入った。
持続可能な社会と都市鉱山
今日の金属資源を語る上で欠かせないのが、「都市鉱山」の問題だ。そこで、銅を含むリサイクル原料を、エネルギー効率よく低コストで粉砕する技術に注目が集まっている。銅も限りある天然資源であるため、持続可能な社会を築くためにも、都市鉱山からできるだけ多くの銅を回収し、社会に再び還流する仕組みづくりが求められる。
主な取材先
◆澤村一郎さん(JX金属)
◆所千晴さん(早稲田大学)
◆安田豊さん(パンパシフィック・カッパ―)
◆竹林一彰さん(パンパシフィック・カッパ―)
◆堀江周さん(パンパシフィック・カッパ―)
◆タツタ電線
◆タツタテクニカルセンター