コラーゲンとは何か
「コラーゲンを多く含む食品を食べた翌日は肌の調子が良くなる」などの声を聞くことがあるが、そもそもコラーゲンとはどういうものなのか?
それはタンパク質の一種で、動物の身体を形作る細胞を繋ぎとめる役割を持ち、特に皮や骨に多く含まれているものだという。例えば骨の1/3はコラーゲンでできていて、骨からカルシウムを抜きコラーゲンだけにすると、実は骨がとても弾力のある柔らかい構造物であるとわかる。このコラーゲンがないと、動物は身体の形を維持できずバラバラになってしまうのだという。
コラーゲン効果のカギ「コラーゲンペプチド」
これまでの通説では、「コラーゲンはそのままの状態で身体に吸収されることはなく、不足したコラーゲンを補う効果は期待できない」とされてきた。しかし、その通説を覆す研究結果が報告された。
コラーゲンを摂取した後、コラーゲン由来の成分である“コラーゲンペプチド”が血液中に観測されたというのだ。そしてその成分は皮膚などが受けたダメージを修復する効果があることから、しわを減らすことや、ダメージを受けた皮膚を新しくすることによって皮膚の状態がよくなる可能性が考えられるという。
ペプチドは血管を若返らせる!?
コラーゲンペプチドが体内に吸収されることは明らかになり、今、そこでペプチドが体内でどのような働きをするか探る研究が進められている。
そこでは被験者を募り、動脈硬化の診断で一般的に使われ血管年齢を計測する手法である、脈伝搬速度を用いてコラーゲンペプチドの血管への働きを調べる試験が行われていた。
その結果、なんと血管年齢がおよそ5歳分若返ったというデータが確認された。つまりそれは肌の若返りにつながる可能性があるという。
皮膚から吸収されるコラーゲン!?
私たちの皮膚は、表皮・真皮・皮下組織の三つの層からできていて、その中でコラーゲンは真皮にあり皮膚の弾力を保ち、表皮を支えている。
真皮にあるコラーゲンを補うために、肌の表面にコラーゲンを塗っても表皮の異物の侵入を防ぐ機能によって浸透しないと考えられてきた。
しかし皮膚にもコラーゲンの成分を取り込む機能があることが確認され、さらに特定のコラーゲン成分は真皮まで浸透することが分かったという。
今までうわさやイメージでしかなかったコラーゲンの効果が科学的に解明されつつある。
主な取材先
佐藤 健司さん(京都大学)
野村 義宏さん(東京農工大学)
伊賀瀬 道也さん(愛媛大学)
内藤 健太郎さん(DHC基礎研究部)