効率的に“磨く”
“モノを磨く”と聞くと皆さんはどのようなことを連想するだろうか。包丁砥ぎや眼鏡のレンズなど、様々なモノに研磨が活用されている。その研磨を支えているのは研磨剤に含まれる“砥粒(とりゅう)”と呼ばれる粒子だ。この粒子を上手にコントロールすることでより高精度な研磨が実現するという。ある研磨材メーカーを訪ね、砥粒をコントロールするための最新研究を折ってみた。
“研磨”の歴史
“研磨”はなぜ人間にとって必要だったのか。日本では石と石を擦り合わせることによって作られた磨製石器を発端に研磨が始まったという。その後、近代科学の出発点ともいえる“ある道具”が研磨によって生み出される。望遠鏡の誕生である。そしてその技術は、現代の最新鋭の望遠鏡開発にもつながっていた。
最新の“研磨”
研磨技術は現代社会においても欠かすことができない。皆さんの持っているスマートフォンや家電などに組み込まれている“半導体”は、高精度な研磨技術無くしては作ることができないと言う。この半導体製造で用いられるのがこれまでの砥粒での研磨と、薬品の力を併せ持ったCMP(ケミカル・メカニカル・ポリッシング)と呼ばれる研磨技術。そこではナノレベルの超高精度な研磨が求められていた。
“研磨”のこの先
これから生まれるテクノロジーを見据えて、次世代の様々な研磨技術が開発されている。従来の研磨方法では平面にしか対応していなかったため、曲面や凹凸のあるモノには精密な研磨を行うことができなかったが、次世代の研磨では3次元的な研磨を行うことができるようになるという。
新たな価値を生みだして社会を支える“研磨”の過去から現在、そして未来を探る。
主な取材先
秋田県立博物館
国立天文台
フジミインコーポレーテッド
輝石工房 精霊石の箱庭
東海光学
三重富士通セミコンダクター
土肥 俊郎さん (九州大学)
キヤノン