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驚異の自己治癒材料 傷が自然に修復?その仕組みと可能性

BSフジ
本放送:07月22日(日)昼11:30~12:00
再放送:07月29日(日)昼11:30~12:00

生物、例えば人の皮膚は傷付いても数日経てば跡形もなくなり、骨が折れても動かさなければ自然と治癒する。 そのような生き物の特性である“自己治癒”をする材料の開発が進められている。 それは き裂を自ら修復するコンクリート、切断されても再びくっつくポリマー、そして自己治癒するセラミックスだ。それらの研究現場から修復のメカニズムや今後の可能性を探る。

き裂を自ら修復するコンクリート
ビルや橋、トンネルなど、建造物には欠かすことのできない材料であるコンクリート。実はこのコンクリートには0.2mmほどの微細なヒビ割れが発生しやすく、そのヒビから雨などの水分が侵入するとコンクリート内部にある鉄筋が腐食し、コンクリート本来の性能が発揮できなくなってしまう。
そこで東京大学生産技術研究所の岸さんは、ヒビ割れが発生しても水が内部に侵入する前にふさいでしまうコンクリートの研究を行っている。

分子のレベルで再びくっつくポリマー
大阪大学大学院の原田さんは、引っ張っても押しつぶしても簡単にはちぎれない、そして切断しても再びくっつくポリマー(高分子材料)を開発した。
切断したポリマーを再びくっつけるのに必要なことは、切り口を接触させること。ただそれだけ。あとはポリマーの分子の作用で自然にくっついてしまうという。

自己治癒するセラミックス
1995年、熱を加えると き裂が治癒するセラミックスが発見されたが、当時はその仕組みはわからなかった。そしてそれは治癒するには1000度で1000時間もかかるというものだった。
物質・材料研究機構の長田さんは、セラミックスが治癒する仕組みが折れた骨が治る仕組みと似ていることをつきとめ、さらに従来の6万倍もの速度で治癒するセラミックスの開発に成功した。この自己治癒セラミックスの活用として考えられているのは、ジェットエンジンのタービンブレードだと言う。タービンブレードをセラミックス化するとどんなメリットがあるのか。

自己治癒セラミックスの実用化に向けて
セラミックスは同じ原料から作っても強度に個体差がでてしまう材料である。それはセラミックスに同じ力が加わっても個体ごとに き裂の入り方にバラツキができてしまうということだ。
そこで、横浜国立大学の尾崎さんはセラミックスの強度をコンピュータシミュレーションによって、より正確に知る研究を行っている。それはセラミックスを使った製品の強度を予測することに繋がり、強度にバラツキがあるセラミックスを安全に使うことができるようになるという。そして今、自己治癒セラミックスの実用化が現実のものになりつつある。
長寿命、安全性の向上、補修やメンテナンスの削減が可能になる自己治癒材料への期待が高まっている。


主な取材先
岸 利治さん(東京大学生産技術研究所)
原田 明さん(大阪大学)
長田 俊郎さん(物質・材料研究機構)
尾崎 伸吾さん(横浜国立大学)

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