ガリレオX

レンズの先の小宇宙 顕微鏡で見つめる超微小世界

BSフジ
本放送:12月09日(日)昼11:30~12:00
再放送:12月16日(日)昼11:30~12:00

身近に存在していながらも、肉眼では捉えることのできないミクロな世界。その存在に人は古来より魅了されてきた。それに一役買ったのが顕微鏡の発明である。微小な世界は顕微鏡を通して見ることで広大な世界となり、そこで人類は生き物の身体の仕組みや細胞など、数多くの発見をなしてきた。そして今、顕微鏡技術の発展とともに、私たちは生命の仕組みや脳の回路をこの目で見ることが可能になった。顕微鏡の最初期から最新の技術まで、顕微鏡を覗くことでしか見ることができない驚異の世界と発見に迫る。

古来より人を魅了してきたミクロな世界
夜空の星を観測するための望遠鏡。一方で身近に広がるミクロな世界を観察するための道具として開発されたのが顕微鏡である。国立科学博物館には数多くの顕微鏡が展示されているが、その中に見慣れない形の顕微鏡があった。それはレーヴェンフックが作った最初期の顕微鏡で、彼は世界で初めて「菌」の存在を見つけた。また、同時期に活躍したロバート・フック。彼もミクロな世界に魅了され、顕微鏡で観察したものを細密にスケッチし、ミクログラフィアという本で紹介している。その中には初めて観察された「細胞」が描かれている。顕微鏡のレンズの先には未知の世界が広がっていた。

日本に伝わるミクロな世界
日本に顕微鏡が伝わったのは江戸時代。古賀藩藩主の土井利位はその顕微鏡を使って雪の観察を行ったことから雪の殿様と呼ばれている。土井利位が見た雪の結晶の姿は江戸時代の着物の模様や装飾に取り入れられた。その一方、ノミやシラミを顕微鏡で捉えた姿は漫画本の中で化け物として取り上げられていた。江戸の人々は最先端の科学である顕微鏡で見る世界に親しみ、楽しんでいたのだ。

ノーベル賞受賞者が顕微鏡で見た世界
顕微鏡の発展とともにより小さなものを見ることが可能になってきた。2016年にノーベル賞医学・生理学賞を受賞した大隅良典教授の研究は、大きさわずか10マイクロメートル程の酵母を顕微鏡を通して見ているときの発見から始まった。「いまだに酵母にたくさんのことを問いかけ、それが動物の細胞の理解につながればいい」と大隅教授は語る。

ほ乳類の謎を見るタイムマシン顕微鏡
今現在でも私たち ほ乳類には謎がある。例えば受精卵から分割し身体を作る細胞の運命がどの時点で決定するか。つまり、細胞の運命は生まれながらに決まっているのか。という問題もいまだに謎である。一つの細胞である受精卵から数多の細胞へと分裂が進む期間を顕微鏡を使って鮮明に記録し続けることでそうした発生の謎を解き明かそうという試みが進められていた。

脳の秘密に迫る顕微鏡
脳のメカニズムを解き明かそうと顕微鏡を覗く研究者がいる。今までの顕微鏡では脳の表面しか見ることができなかったが、特殊な顕微鏡を使うことで脳を立体的に、奥深くまで細かく見ることができるようになったと言う。この顕微鏡を使って微小な脳の神経細胞をとらえることで新たな発見がもたらされた。


主な取材先
鈴木 一義さん(国立科学博物館)
藤森 俊彦さん(基礎生物学研究所)
鍋倉 淳一さん(生理学研究所)

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