人が運転しない車?
近年、技術の急速な進歩から自動車の運転は人から車へと新たなステージへと進もうとしている。その技術とは、人の運転に代わり、車自身が周囲環境を認識し、判断しながら走行する自動運転技術だ。最近、自動で車線維持をするものや追突防止でブレーキをかけるといった車を見かけることがあるが、そういった機能を持った車は「運転支援」と呼ばれ本当の意味での自動運転ではないとされている。人がハンドルを握らなくてもいい「自動運転車」の実現に向け、今、企業や法律といった、自動運転技術の研究・開発を取り巻く環境が変わりつつある。
周囲の環境を認識し、判断する自動運転車
自動運転車の研究開発は大学でも行われている。そうした研究現場の一つで公道を走行する試験に立ち会うことができた。実際に走行する自動運転車はどのように周囲の環境を認識し、判断しながら走行しているのだろうか。重要になるのは、数センチメートルのモノも正確に把握する赤外線を使ったセンサー、ライダーセンサーと事前に作られた自動運転用の地図データだという。
雨や雪でも走行する自動運転車
自動運転車も苦手とする環境がある。それは雨や雪といった環境だ。
自動運転車が周囲の環境を認識するのに重要となるライダーセンサーが雪や雨を障害物と誤認識してしまうからだ。そしてさらに雪の場合は、時々刻々と降り積もることによって事前に作られた自動運転用の地図データも使えなくしてしまう。
そのような環境でも自動運転車が走行できるようにするための研究が進んでいる。
自動運転車をサポートする交通インフラ
自動運転車の研究開発が進む中、道路に設置されているカーブミラーにセンサーを搭載し自動運転車の走行をサポートするという、次世代の交通インフラの研究がある。
現在のカーブミラーは交差点の死角から接近する車や歩行者をドライバーに知らせるが、それを自動運転車向けにデータとして送信しようという研究だ。
将来の交通インフラは人だけでなく、機械にも知らせる必要が出てくるという。
近い将来の実現に向けて開発の進む自動運転技術、その研究現場を訪ね、現状と今後の可能性を探る。
主な取材先
渡部 大志さん(埼玉工業大学)
加藤 真平さん(東京大学)
菅沼 直樹さん(金沢大学)
石津 健太郎さん(情報通信研究機構)
表 昌佑さん(情報通信研究機構)