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プラスチック海洋汚染をどう防ぐか 生分解性プラスチックの可能性

BSフジ
本放送:09月22日(日)朝08:28~08:58
再放送:09月29日(日)朝8:28~08:58

2024年、長期間に渡り行われた“ある研究プロジェクト”の結果が報告された。それは、プラスチックを深海に沈め、自然環境中で分解されるかを確かめる実験だった。実験に用いられたのは、生分解性プラスチックと呼ばれる、微生物の働きによって水と二酸化炭素に分解されるプラスチックだ。これまでに原料や加工方法が異なる様々な生分解性プラスチックが開発されてきたが、それらが本当に自然環境の中、特に深海でどのように分解されるのかは明らかになっていなかった。その解明がこの研究プロジェクトによって進み、さらに新たな発見ももたらされた。プラスチックが引き起こす環境汚染問題を解決すると期待されている、生分解性プラスチックの研究に迫る。

プラスチックが引き起こす海洋環境の汚染
水深6700mを超える深海で行われた海底調査。そこで発見されたのはプラスチックのゴミだった。近年、私たち人類が投棄したプラスチックのゴミが海に流れ出し、環境汚染を引き起こしていると世界的な問題になっている。具体的にどのような問題が確認されているのか、海洋研究開発機構の磯部さんに聞いた。

プラスチック海洋汚染の解決を目指す世界初の実験プロジェクト
プラスチック海洋汚染の解決を目指す研究プロジェクトが実施された。それは、プラスチックを海に設置し、時間とともに起こる変化を調べる世界初の実験だ。実験に用いられたのは“生分解性プラスチック”と呼ばれる、環境中の微生物の働きによって最終的に水と二酸化炭素に分解されるプラスチック。生分解性プラスチックは、プラスチックによる環境問題を解決すると期待される材料ではあるが、その生分解機能が本当に海、特に深海で発揮されるのかは明らかになっていなかった。実験ではどのような結果が得られたのだろうか?研究プロジェクトを計画した東京大学 教授の岩田さんに聞いた。

海底から回収されたプラスチックに付着していた微生物の分析
生分解性プラスチックが分解されるためには、微生物の働きが欠かせない。そこで海底から回収されたプラスチックに付着していた微生物の分析が行われた。微生物の分析を担当したNITEバイオテクノロジーセンターの三浦さんは、分析結果から数多くの新発見があったという。そして、それらの発見は、生分解性プラスチックが現在問題になっているプラスチック海洋汚染の解決に寄与することが明らかになった結果だという。

プラスチック海洋汚染を防ぐ取り組み
プラスチックを実際の海に沈める世界初の実験によって多くの成果が得られた。それにより生分解性プラスチックの研究が加速している。しかし、現代の暮らしに欠かせない材料となったプラスチックの全てをなくすことはできない。意図せず、自然環境の中に流れ出してしまうプラスチックを生分解性を持つ材料にすることができれば、プラスチック海洋汚染の拡大を防ぐことができる。その実現を目指した研究者たちの取り組みが進められている。


主な取材先
磯部 紀之さん (海洋研究開発機構)
岩田 忠久さん (東京大学)
三浦 隆匡さん (NITE バイオテクノロジーセンター)

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