脱藩大名・林忠崇の戊辰戦争 徳川のために決起した男

中村彰彦 著
定 価:
本体920円+税
判 型:
新書判
ページ数:
232ページ
ISBN:
9784898317990
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徳川三百年の恩顧に報いて藩主の座を捨て幕末に忠義を尽くした「最後の大名」林忠崇の生涯。
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林忠崇はわずか一万石の大名とはいえ、れっきとした譜代藩の当主であった。その脱藩は、単身いずこともなく姿を消す、といった忍びやかなものではまったくなかった。家老以下おもだった家来たちと連れ立ち、領民たちに見送られて陣屋を立ち去る、という威風堂々たるものであった。
一体なぜ林忠崇は、藩主みずから脱藩するという破天荒な行動に出たのか。忠崇はその後なにをし、どのような人生を歩んだのか。その藩は、藩主がいなくなってしまったあとどうなったのか。(「はじめに」より)

本書は、二〇〇〇年に中央公論新社から刊行された『脱藩大名の戊辰戦争』を改題したものです。

著者プロフィール

一九四九年、栃木県生まれ。東北大学文学部卒業。七三年から九一年まで文藝春秋に編集者として勤務。その後、作家としての執筆活動に専念する。九四年に『二つの山河』で直木賞を受賞。主に、歴史小説・時代小説を中心に執筆している。著書に、『落花は枝に還らずとも』(中公文庫)、『幕末維新史の定説を斬る』(講談社文庫)、『疾風に折れぬ花あり』(PHP研究所)、『なぜ会津は希代の雄藩になったか』(PHP新書)、『三島事件 もう一人の主役』(ワック)『智将は敵に学び愚将は身内を妬む』(同)などがある。

目次

はじめに

 

第一章 鳥羽伏見戦争に間に合わず

 

林家の系譜

大政奉還の波及

佐幕派の青年大名

忠崇の王政復古論

 

第二章 「一文字大名」の誇りの下に

 

新政府への恭順を装う

兎の吸物がとりもつ縁

遊撃隊あらわる

遊撃隊と同盟する

 

第三章 脱藩大名の戊辰戦争

 

新遊撃隊発足

不退転の覚悟を決める

遊撃隊、東海道をゆく

脱走挙兵の趣意書

田安家の江戸帰還説得を拒否

雨中の箱根関所争奪戦

小田原戦争

箱根戦争の顚末

熱海へ敗走する

第四章 奥羽越列藩同盟に参加して

 

海路奥州をめざす

諸西藩領の没収

戊辰磐城戦争始まる

磐城諸城の陥落

同盟瓦解の兆候

徹底抗戦か降伏か

 

第五章 流転と窮乏の歳月

 

謹慎の日々

自活の道を模索する

忠崇をめぐる女性たち

 

第六章 林家の家格再興運動

 

華族令の発令

林家叙勲請願の難航

小笠原諸家に援助を乞う

財産保証期間の桎梏

ついに華族に列せられる

 

第七章 最後の大名、昭和に死す

 

忠崇の晩年

浮世は一夢の如し

 

あとがき

主要参考文献

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