そこには、指導者たちの決断があった!
日本は、明治維新からわずか30年あまりで、当時、大国であった清国、ロシアを打ち破ってしまった。特に世界の大帝国であったロシアに勝利した日露戦争の結末は、世界を驚愕させた。有色人種の日本人が白人を打ち負かしたのである。
本書は、世界史から見た明治維新とは、明治日本の外交政策の実態とは、指導者たちの決断とは、日清戦争の「義」とは、世界が驚嘆した日英同盟とは、大帝国ロシアを倒した日本人の叡智とは、日露戦争の世界史的意味とは、日韓併合の実情とは何かを探りながら、「明治」という時代の本質に迫ったものである。
まさに、当時の世界と日本の歴史の実相と本質が手に取るようによく分る、日本人のための日本の歴史誕生だ。
著者プロフィール
渡部 昇一(わたなべ・しょういち)
上智大学名誉教授。英語学者。文明批評家。1930年、山形県鶴岡市生まれ。上智大学大学院修士課程修了後、独ミュンスター大学、英オクスフォード大学に留学。Dr.phil., Dr. phil. h.c.(英語学)。第24回エッセイストクラブ賞、第1回正論大賞受賞。
著書に『英文法史』などの専門書、『文科の時代』『知的生活の方法』『知的余生の方法』『アメリカが畏怖した日本』『取り戻せ、日本を。 安倍晋三・私論』『読む年表 日本の歴史』などの話題作やベストセラーが多数ある。
目次
第1章 世界史から見た明治維新
- 白人に屈しなかったアジア唯一の国
- 黒船をすぐに造ってしまった日本人
- 外国の援助を断った幕府と薩長の知的レベル
- 「すぐ欧米に追いつける」というイメージ力
- 西洋文明を熟知していた指導者階級
- ジョン万次郎の功績
- 近代化に目覚めた薩摩・長州
第2章 指導者たちの決断
- 国づくりのビジョンを求めて
- 西欧を「見る」ことの意味
- 腹を括った欧米使節団
- 近代留学制度の独創性
- 北里柴三郎とノーベル賞
- 白人の独占を突き崩した日本人科学者
第3章 明治日本の外交政策
- 南下するロシア
- 外交文書受け取りを拒否した朝鮮
- 〝大西郷〟の存在と征韓論
- 西郷の武士としての倫理観
- 征韓論は内政問題だった
- もし西郷が本気で薩摩軍を指揮していたら
- 西南戦争を生き延びた軍人たち
第4章 明治憲法の意義と危うさ
- 憲法を制定した最大の理由
- 必死だった鹿鳴館外交
- なぜプロイセン憲法を手本にしたか
- 「首相」も「内閣」の文字もない明治憲法
- 明治憲法は改正できたか
- 「教育勅語」こそ実質的な憲法だった
- 「御成敗式目」以来の二重法制国家
- 財閥優遇策が日本を守った
- 世襲を拒否した明治の政治家
第5章 日清戦争の「義」
- 「憂国の士」福沢諭吉
- 朝鮮の近代化は日本の悲願
- 日清戦争は「余計な戦争」だったか
- 日朝外交と清国政府
- 朝鮮の開国派に共鳴した福沢
- 「朝鮮はわが大清国の属国である」
- 大韓帝国誕生の歴史的意義
- 三国干渉でシナの〝生体解剖〟が始まった
- 満洲はロシアの一部となった
第6章 ロシアの脅威と日英同盟
- 清からロシアに乗り換えたコリアの「事大主義」
- 「元寇」を繰り返させてはならない
- 人種差別を正統化した〝進化論〟
- 世界を驚かせた日英同盟
- 義和団の乱における日本軍の品格
- 柴中佐の活躍がイギリスの日本観を変えた
- 日英同盟を潰したアメリカの陰謀
第7章 大帝国ロシアを倒した日本人の叡智
- 明治政府の高度な外交戦略
- ロシア革命を成功させた日本軍人
- 日本海海戦の完全勝利
- バルチック艦隊を炎上させた下瀬火薬
- 下瀬火薬が世界の戦艦を一変させた
- 世界最強のコサック騎兵と〝急造〟騎兵の戦い
- 騎兵の常識を覆した秋山将軍
- 「悪魔的兵器」機関銃の威力
- 歴史から消えた騎兵隊
第8章 世界史を変えた日露戦争
- 黒木将軍がロシア革命を起こした
- 乃木「愚将論」は本当か
- 乃木将軍だからこそ生まれた兵士の旺盛な戦意
- 「腹を括れるか否か」がリーダーの条件
- 秀才たちの〝犯罪的行為〟
- 脚気を根絶した海軍の大実験
- 将兵を見殺しにしたエリート「鷗外」森林太郎
- 二十世紀最大の事件
- 日本を見て有色人種が目覚めた
- 中国に残る日本留学の遺伝子
第9章 日韓併合の実情
- 〝僻地〟台湾の繁栄は日本統治に始まる
- 韓国併合による日本の負担
- マッカーサーが初めて知ったコリアの意味
- 伊藤博文暗殺に震え上がった韓国
- 日韓同祖論が併合を推し進めた
- 日本のカミと朝鮮のカミ
- 韓国に対する人種差別はなかった
- 〝歴史慣れ〟していなかった日本と韓国
- 「日韓併合条約は無効」という暴論
- 戦後補償論は〝国賊的無知〟