日本人のなかの武士と天皇

「日本の歴史」②中世篇

渡部昇一(上智大学名誉教授) 著
定 価:
本体920円+税
判 型:
新書判
ページ数:
232ページ
ISBN:
9784898317426
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武士の美学、天皇の神性は
こうして形成された

日本の皇位争いでは、皇族以外の豪族や武士が天皇になることはない。
わが国には、王位簒奪者はいない。
これが日本の特徴である。

著者プロフィール

渡部 昇一(わたなべ・しょういち)
上智大学名誉教授。英語学者。文明批評家。1930年、山形県鶴岡市生まれ。上智大学大学院修士課程修了後、独ミュンスター大学、英オクスフォード大学に留学。Dr.phil., Dr. phil. h.c.(英語学)。第24回エッセイストクラブ賞、第1回正論大賞受賞。
著書に『英文法史』などの専門書、『文科の時代』『知的生活の方法』『知的余生の方法』『アメリカが畏怖した日本』『取り戻せ、日本を。 安倍晋三・私論』『読む年表 日本の歴史』などの話題作やベストセラーが多数ある。

目次

第1章 武家の台頭──平家の栄華

  • 「魚は頭から腐る」
  • 「息子」が「叔父」という異様な関係
  • 「保元の乱」における武家の活躍
  • 怨霊となった崇徳天皇
  • 異例の出世を遂げた平清盛
  • 河内源氏の基礎を築いた「前九年の役」
  • 関東の豪族を感激させた源頼義・義家父子
  • 源三位頼政の鵺退治
  • 源氏の決起を促した「以仁王の令旨」

 第2章 平家滅亡と血塗られた源氏の抗争

  • 源氏の正統とされた三男
  • 義朝と義平・朝長兄弟の最期
  • そして源氏の正統が生き延びた
  • 夢を買った北条政子
  • 神のご加護か、強運か
  • 敗軍の将・頼朝の威厳
  • 平家の夢の醒めはじめ
  • 「平家の都落ち」
  • 京都解放軍・木曾義仲の蹉跌
  • 源義経と平家滅亡
  • 義経、奥州に死す
  • 義経伝説
  • 縁者を皆殺し
  • 怨霊に祟られた頼朝
  • 源氏の滅亡には美学がない

第3章 北条一族の盛衰

  • 特異なフィギュアヘッド現象
  • 位の低いキングメーカー
  • 二重法制国家の誕生
  • 有能な執権を輩出した北条氏
  • 「尼将軍」による新しい女性像
  • 政子と静御前の「女の道」
  • 三度目の「国体変化」
  • 末法思想と蒙古襲来
  • 少弐景資の一矢
  • 時宗の功績と朝廷の「神風」信仰
  • 戦後処理に対する武士の不満
  • 苦し紛れの徳政令
  • いくらでもあった徳政の抜け道

第4章 建武の中興──楠木正成と日本人

  • 日本の皇位争いの特徴
  • 後嵯峨天皇の私情
  • 後深草上皇と亀山上皇の確執
  • 皇位継承を交替制に
  • 宋学に傾倒した後醍醐天皇
  • 天皇の夢に現れた「楠」
  • 「天が下には隠れ家もなし」
  • 千早城が天下の大勢を一変させた
  • 二十日間足らずで滅んだ鎌倉幕府
  • 楠木正成の「聖戦思想」
  • 天子自ら「武」を握る
  • 「武家なき世」こそ天皇の理想
  • 足利尊氏が「勲功第一」の理由
  • 非業の最期を遂げた護良親王
  • 「錦の御旗」の軍事的価値
  • 拒否された楠木正成の作戦
  • 桜井の別れ
  • 「楠木正成型」と「赤松円心型」
  • 福沢諭吉の「楠木正成権助論」
  • 根強く残る「七生報国」

第5章 混迷する南北朝

  • 「天皇など木像で十分だ」
  • 尊氏兄弟それぞれが南朝に降伏した不思議
  • 新世代・楠木正儀の行動原理
  • 北畠親房が「南朝」をつくった
  • 『神皇正統記』の影響力
  • 残るは楠木正勝のみ
  • 消えた後亀山天皇の系図

第6章 足利義満の野望

  • 義満の宗教センス
  • 公家との違いが曖昧な義満型幕府
  • 義満の〝実力行使〟
  • 平清盛と足利義満
  • 自分の妻を「国母」に
  • 義満急死は〝天佑神助〟
  • 武家の「節度」を回復させた義持
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