神武天皇も聖徳太子も実在した!
『古事記』『日本書紀』を否定して
歴史は成り立つのか!?
『古事記』『日本書紀』を否定して
歴史は成り立つのか!?
山上憶良は、日本国の特色を「皇神の厳しき国」、「言霊の幸はふ国」であると定義している。
わが国は王朝が絶えることなく男系で繫がり、古代から歌と神話があるということだ。
著者プロフィール
渡部 昇一(わたなべ・しょういち)
上智大学名誉教授。英語学者。文明批評家。1930年、山形県鶴岡市生まれ。上智大学大学院修士課程修了後、独ミュンスター大学、英オクスフォード大学に留学。Dr.phil., Dr. phil. h.c.(英語学)。第24回エッセイストクラブ賞、第1回正論大賞受賞。
著書に『英文法史』などの専門書、『文科の時代』『知的生活の方法』『知的余生の方法』『アメリカが畏怖した日本』『取り戻せ、日本を。 安倍晋三・私論』『読む年表 日本の歴史』などの話題作やベストセラーが多数ある。
目次
第1章 神代から続く皇統──日本人はどこから来たか
- 日本史における神話の意義
- アガメムノンと神武天皇
- 考古学の限界
- 明らかにされた古代伝承
- 「騎馬民族説」の脆さ
- 海洋民族の国
- 日本語の起源
- 日本人のDNA
第2章 神話の時代
- 神武天皇に至る系図
- 〝純血〟が生んだ〝貴族〟
- もう一つの天孫降臨族
- 「撃ちてし止まむ」
- ユダヤ人を救った神武天皇の詔
- 「天つひつぎの高みくら」
- 広開土王碑に刻まれた真実
- 「皇室典範」の意義
- 民間から発見された天皇
- 越前にいた応神天皇の子孫
- 朝鮮にも「神道」があった
- 日本は垂直的な「中国」
第3章 言霊の栄える国──古事記・日本書紀・万葉集
- 山上憶良による「日本」の定義
- 「こと」の「は」の霊力
- 和歌の前に万人平等
- バベルの塔とゲルマン語
- 和歌と「やまとことば」
- 漢詩は日本語を豊かにした
- 口伝による国史編纂
- 漢字で表された日本語
- 『日本書紀』の公平さ
- 『古事記』偽書説
- 記紀が日本人の歴史観をつくった
- 邪馬台国論争の不毛
- 「大和」と「出雲」の婚姻の歌
- 神武天皇は実在した
第4章 仏教渡来と神道──聖徳太子の現代性
- 仏教は後宮から皇室に入った
- 仏教に帰依した最初の天皇
- 反仏教派・物部氏の滅亡
- 日本自主外交の始まり
- 「新しい学問を敬え」
- 「十七条憲法」の理念
- 天才・聖徳太子の『三経義疏』
第5章 律令制度と日本的仏教の成熟
- 蘇我氏に対する宮中のクーデター
- 中央集権国家をめざした「大化の改新」
- 失敗に終わった土地の国有化
- 天智天皇と天武天皇
- 初めて天皇の祖父となった藤原不比等
- 道鏡の野望を阻んだ和気清麻呂
- 九百年近く途絶えた女帝
- 聖武天皇が実現した「三国一の大伽藍」
- 民衆参加型「大仏プロジェクト」
- 「天照大神」だった奈良の大仏
- 「聖コーミョー」の慈善事業
- 正倉院の奇蹟
- 驚くべき女帝の教養
第6章 平安朝の女性文化
- ハプスブルク家と藤原氏
- 藤原氏の「節度」
- 駘蕩たる宮廷サロン
- 『伊勢物語』の感情教育
- 死者さえ出た「歌合」の過熱ぶり
- 紫式部の近代的文学論
- 『源氏物語』と『平家物語』
- 「本歌取り」という精妙な文学世界
- 詩の絶対境
- 日本の恋歌の洗練度
- 平安時代の漢文学
- 日本的感受性の「和習」漢文
- 「言語二重奏」の完成
- 世界最古の百科辞書
- 遣唐使廃止と国家的アイデンティティ
- 密教化した仏教
- 平和と安穏の三百年