クラシック音楽が聴きたくなる!
自分を除く家族全員が音楽家という渡部昇一氏、チェリストであるご子息の玄一氏。渡部家では、どのように音楽と付き合い、生活を豊かにしてきたのか──。音楽との遭遇から留学先での思い出、音楽家に求められる資質から西洋音楽史まで、渡部父子が縦横無尽に語りつくす!「音楽と暮らす知的生活」に憧れる人へ、オススメの一冊。
著者プロフィール
渡部昇一(わたなべ・しょういち)
上智大学名誉教授。英語学者。文明批評家。1930年、山形県鶴岡市生まれ。上智大学大学院修士課程修了後、独ミュンスター大学、英オクスフォード大学に留学。Dr. phil.,Dr.phil.h.c.(英語学)。第24回エッセイストクラブ賞、第1回正論大賞受賞。著書に『英文法史』などの専門書のほか、『文科の時代』『知的生活の方法』『日本史から見た日本人』『税高くして国亡ぶ』『指導力の差』『渡部昇一の日本語のこころ』『「東京裁判」を裁判する』『日本は「侵略国家」ではない!』『「パル判決書」の真実』などの話題作やベストセラー多数がある。
渡部玄一(わたなべ・げんいち)
チェリスト。読売日本交響楽団団員。フェリス女学院講師。1963年、東京生まれ。東京藝術大学附属高校を経て、桐朋学園大学卒業。同校研究科卒。93年ニューヨークのジュリアード音楽院卒。ニューヨーク在住中には、国連総本部やリンカーン・センターなどでリサイタルを開催、好評を博す。米インディアナ大学でさらに研鑽を積んだ後、95年帰国。以来、NHK-BS、NHK-FM出演をはじめ、ソリストとして、また室内楽、オーケストラ奏者として幅広く活躍中。東京アンサンブル・ギルド主宰(http://tokyo-eg.com/)。
目次
第1章 音楽がわが人生にやってきた日- 音楽のない世界からの出発──渡部昇一
- 歌を歌えなかった両親
- モーツァルトは「西洋のガチャガチャ」
- わが音楽人生の原点
- 歌謡曲のレパートリーはクラス一
- 西洋音楽がわが運命を変えた
- 音楽の溢れる世界からの出発──渡部玄一
- 四歳で習い始めたピアノ
- 想像を絶した厳しい稽古
- 楽器をやめて遊び呆けるように
- 音楽家に必要な条件──玄一
- 憧れの的だった桐朋学園
- 「絶対音感」は必要か
- スズキ・メソードの功績
- 明日を思い煩うことなかれ──昇一
- 子供の将来については放任
- 「明日のことまで思い悩むな」でやってきた
- 楽器代のために借金
- 巨匠に指導を受ける危険性
- 音楽家は「不安」の中で育まれる
- 音楽家のステータスとは?──玄一
- 演奏家は割に合わない職業
- いとも簡単に進路を変えた友人
- コンクールは利用するもの
- 私の魂が音楽に触れた瞬間──昇一
- ドイツでの強烈な体験
- ドイツ民謡の虜に
- 突如噴出した感動
- 音楽家であった家内との縁談
- 音楽の神様が強いた災難──昇一
- 名曲喫茶でのデート
- 孤島に持っていくのは「ハイドンの楽譜」
- イギリスで家主から訴えられる
- 夜九時になると別の練習場へ
- 第三次訴訟での完敗
- 〝早くて安い〟英国の裁判
- エディンバラの思い出──玄一
- 暗闇のなか夢中で練習
- ワタナベ・トリオの大活躍
- 「チャイニーズ・ゴー・ホーム」
- 忘れがたき「屋根の上のヴァイオリン弾き」
- 音は美しくせよ、死に神には唾せよ──玄一
- 師ハーヴィ・シャピローとの出会い
- 「その糞みたいな弾き方をやめろ!」
- 激しく、理不尽なレッスン
- 「音ハ似セガタク、解釈ハ似セ易シ」
- 音楽の意義は「音を楽しむこと」
- 音楽とダンスは国境を超えて──昇一
- 真似したいユダヤ人の相互扶助
- 〝木〟を見て生まれる楽器がわかった
- 西洋コンプレックスの払拭
- ダンス学校でステップをマスター
- 語り種になったウィンナ・ワルツ
- 思い込みを捨てて楽しむ──玄一
- なぜベートーヴェンは偉大か
- 演奏のよしあしに国籍は関係ない
- 正しい演奏とは何か
- 〝中途半端さ〟のダイナミズム
- 西洋音楽を生み出したもの──昇一
- 宗教や音楽から〝情熱〟が排除された時代
- 「ファウスト的衝動」が西欧的音楽を作った
- 西洋音楽の終焉
- 演歌も西洋音楽から生まれた──玄一
- 全ての音楽ジャンルの母
- ピタゴラスの発見した「自然倍音率」
- 西洋音楽と他の音楽を隔てたもの
- 演歌とベートーヴェンの共通性
- 西洋文明を吸収しようとした時代──昇一
- 「神様」も「知」の分析対象に
- 「モーツァルトが消えないことを望む」
- 大正時代に出現した「市民階級」
- とても美人な人を「とてシャン」
- ダンスを学校の正式教科へ
- 「朝食にはモーツァルト、夕食にはバッハ」──昇一
- お手伝いさんの給料が五百円の時代に、レッスン料三千円
- 雛飾りに合う『ブランデンブルグ協奏曲』
- 上質のクラシックは脳の疲れをとる
- コンサートで空中浮遊体験
- コンサートへの誘い──玄一
- クラシック・コンサートの楽しみ方
- 予備知識で更に楽しく
- スコアに隠された素晴らしき秘密
- 外国語をマスターするより有益
- 「絵がわかる」とはどういうことか
- クラシック演奏会で咳はタブー?
- 演奏者が聴衆に近づいていくことも必要
- 良き聴き手がよき弾き手を育てる
- 音楽家は無限の富を相手にする仕事──玄一
- オーケストラ演奏会がなぜ〝お得〟か
- 演奏家の報酬はほんの僅か
- 音楽家の存在意義
- 音楽は死を拒絶する
- 「お金持ち」を増やして文化振興を──昇一
- ロシア軍に融資していたメンデルスゾーン家
- 税制改正が音楽家を救う
- 相続税廃止というアメリカの国際戦略
- 文化大国ロシアの隆盛と衰退
- 文化を育てるのは個人の金持ち
- 日本を音楽の喜びで包みたい──玄一
- 優秀な奏者が活躍できない現状
- 音楽と出会えて幸運