パンダは舐めて子を育てる

中川志郎(元上野動物園園長) 著
定 価:
本体886円+税
判 型:
新書版
ページ数:
252ページ
ISBN:
9784898315903
アマゾンのショッピングサイトへリンクします。
子どもがおかしい!
人間の“子育て”は大丈夫か!?

頻発する幼児虐待に親殺し、無差別殺人。人間の“育児”は大丈夫なのか──。元上野動物園園長である著者が、動物の育児と人間の育児とを比較し、人間が忘れてしまった「子育ての原点」について語る。知識偏重の教育で子どもが不安定になるその背景や、「三つ子の魂百まで」の生物学的根拠、「母子密着」が不可欠な理由など、動物の例をひきながら、人間の子育てについて警鐘を鳴らす。子育て混迷時代の今こそ、動物に学べ!

著者プロフィール

中川志郎(なかがわ・しろう)
1930年、茨城県に生まれる。宇都宮農林専門学校獣医科(現宇都宮大学)を卒業後、1952年、東京都立上野動物園に勤務(獣医)。ロンドン動物学協会研修留学ののち、同動物園飼育課長。その後、多摩動物公園園長、上野動物園園長、茨城県自然博物館館長、㈶日本博物館協会会長を歴任。2008年現在、茨城県自然博物館名誉館長、㈶日本博物館協会顧問、㈶全日本社会教育連合会理事、㈶世界自然保護基金ジャパン理事、㈶日本動物愛護協会理事長を兼任。著書に、『動植物歳時記』(旺文社)『愛の動物家族』(講談社)『中川志郎の子育て論』(エイデル研究所)『ブタの鼻ぢから』(同文書院)『私の犬のお医者さん』(日東書院本社)など多数。

目次

プロローグ──まえがきに代えて
細胞の中の三十八億年の記憶
種を悟る「生物的学習」
生き方を学ぶ「生態的学習」
人間のみがもつ「体外脳」
「体外脳」が暴走する
ライオンの社会化の条件とは?
「体外脳」に全てを任せる愚
動物としての「原点」へ
「家庭の再生」
第1章 動物の進化でたどる、子育ての不思議
四億年が育んだ魚たちの育児法
ヤツメウナギの放任型
カワスズメの見張り型
タツノオトシゴの運搬型
サメの妊娠型
ディスカスの授乳的行動
両棲類の子育ては乾燥との闘い
ワニの母は慈母そのもの
鳥類で生まれた夫婦関係と親子の絆
親子関係は生まれる前から始まっている
孵化する前の親鳥とヒナの鳴き交わし
数百羽の群れの中でも間違えない
人工保育したツルはツルではない
マナヅルに育てられたタンチョウヅル
爬虫類の親子と鳥類の親子の差
子どもの心も育てる母乳
しつけの前に母子の絆を
密着状態から信頼感が育まれる
絶対信頼している母親から学んでいく
絆という土台があって学習がある
一グラムの超未熟児を育てるカンガルーの袋
ヒトの子どもが持つユニークな特徴
母の抱擁は〝第二の子宮〟
第2章 こうして母子の絆は築かれる
母性は本能ではない
パンダは子どもをなめて育てる
超未熟児育成の秘密
「お母さんの舌は、魔法の杖」
〝なめられる〟ことで絶対的な信頼感が
信頼感が強いほど母子の分離がうまくいく
子育てに大活躍するオオカミの父親
「子を育ててこそほんとうの母親に」
考え直したい人間の子育て
産声は驚きと恐怖の表われ
赤ちゃんザルは温かい抱擁を選んだ
そのサルはなぜ母親失格だったのか
なぜ〝刷り込み〟が必要なのか?
自分の子どもを攻撃した親鳥
人間を結婚相手を思い込んだパンダ
病院は赤ちゃんの刷り込みを阻害する
どうしてもメスの発情にこたえられない
チンパンジーであってチンパンジーでない
哺乳が持つ二つの機能
乳を吸われるほどに子どもが可愛くなる
母性本能のメカニズム
「愛なくして育った子どもは憎しみに満ちた大人になる」
もし赤ちゃんに話しかけなかったら
チンパンジーと話す飼育係
「しっかり抱いて!」から「ほっといて!」へ
赤ちゃんザルの誕生から自立まで
子ザルの全身を丹念になめる
グルーミングはまるで子守歌
母ザルはなぜ子どもを抱くか
少しずつ遠くへ、親離れの訓練
子ザル同士のつきあいを覚える
プロローグ──まえがきに代えて
  • 細胞の中の三十八億年の記憶
  • 種を悟る「生物的学習」
  • 生き方を学ぶ「生態的学習」
  • 人間のみがもつ「体外脳」
  • 「体外脳」が暴走する
  • ライオンの社会化の条件とは?
  • 「体外脳」に全てを任せる愚
  • 動物としての「原点」へ
  • 「家庭の再生」
第1章 動物の進化でたどる、子育ての不思議
  • 四億年が育んだ魚たちの育児法
  • ヤツメウナギの放任型
  • カワスズメの見張り型
  • タツノオトシゴの運搬型
  • サメの妊娠型
  • ディスカスの授乳的行動
  • 両棲類の子育ては乾燥との闘い
  • ワニの母は慈母そのもの
  • 鳥類で生まれた夫婦関係と親子の絆
  • 親子関係は生まれる前から始まっている
  • 孵化する前の親鳥とヒナの鳴き交わし
  • 数百羽の群れの中でも間違えない
  • 人工保育したツルはツルではない
  • マナヅルに育てられたタンチョウヅル
  • 爬虫類の親子と鳥類の親子の差
  • 子どもの心も育てる母乳
  • しつけの前に母子の絆を
  • 密着状態から信頼感が育まれる
  • 絶対信頼している母親から学んでいく
  • 絆という土台があって学習がある
  • 一グラムの超未熟児を育てるカンガルーの袋
  • ヒトの子どもが持つユニークな特徴
  • 母の抱擁は〝第二の子宮〟
第2章 こうして母子の絆は築かれる
  • 母性は本能ではない
  • パンダは子どもをなめて育てる
  • 超未熟児育成の秘密
  • 「お母さんの舌は、魔法の杖」
  • 〝なめられる〟ことで絶対的な信頼感が
  • 信頼感が強いほど母子の分離がうまくいく
  • 子育てに大活躍するオオカミの父親
  • 「子を育ててこそほんとうの母親に」
  • 考え直したい人間の子育て
  • 産声は驚きと恐怖の表われ
  • 赤ちゃんザルは温かい抱擁を選んだ
  • そのサルはなぜ母親失格だったのか
  • なぜ〝刷り込み〟が必要なのか?
  • 自分の子どもを攻撃した親鳥
  • 人間を結婚相手を思い込んだパンダ
  • 病院は赤ちゃんの刷り込みを阻害する
  • どうしてもメスの発情にこたえられない
  • チンパンジーであってチンパンジーでない
  • 哺乳が持つ二つの機能
  • 乳を吸われるほどに子どもが可愛くなる
  • 母性本能のメカニズム
  • 「愛なくして育った子どもは憎しみに満ちた大人になる」
  • もし赤ちゃんに話しかけなかったら
  • チンパンジーと話す飼育係
  • 「しっかり抱いて!」から「ほっといて!」へ
  • 赤ちゃんザルの誕生から自立まで
  • 子ザルの全身を丹念になめる
  • グルーミングはまるで子守歌
  • 母ザルはなぜ子どもを抱くか
  • 少しずつ遠くへ、親離れの訓練
  • 子ザル同士のつきあいを覚える
第3章 動物の父親たちの育児とは
育児に無関心派のオスと、積極派のオス
のまず食わずで卵を抱くペンギンのオス
オスの不在で死んでしまったツルのヒナ
哺乳以外、全部父親の役目のキヌザル
父ライオンがいて、初めて授乳した母ライオン
群れ全体で子どもを保護するサル
父親の育児における役割は三つ
父子の絆はもともと細い糸
私が父親なんだよ、と刷り込む必要性
父子関係の非情さを露呈した家族
〝父親の条件〟を剝奪された現代の父親
第4章 子どもに教え込まれる生きる術
親が体内でつくる離乳食
コアラの離乳食は母親の便
冬眠中に出産、育児をするクマ
子ども同士の交流が社会復帰を容易に
遊びの中に社会生活のひな形がある
「探索の時代」にこそ性教育を
生物が最小限度必要な三つのこと
人間の脳みそには四億年の流れがある
「三つ子の魂百まで」の根拠
子別れまでに生きていく術を教える
身を守るということ
食物をとるということ
群れの中で協力するということ
人間に育てられたクマの悲劇
親ジカは身を挺して危険回避法を教える
餌があるのに餓死したサルたち
「刷り込み」「学習」なしに、「教育」はなりたたず
第3章 動物の父親たちの育児とは
  • 育児に無関心派のオスと、積極派のオス
  • のまず食わずで卵を抱くペンギンのオス
  • オスの不在で死んでしまったツルのヒナ
  • 哺乳以外、全部父親の役目のキヌザル
  • 父ライオンがいて、初めて授乳した母ライオン
  • 群れ全体で子どもを保護するサル
  • 父親の育児における役割は三つ
  • 父子の絆はもともと細い糸
  • 私が父親なんだよ、と刷り込む必要性
  • 父子関係の非情さを露呈した家族
  • 〝父親の条件〟を剝奪された現代の父親
第4章 子どもに教え込まれる生きる術
  • 親が体内でつくる離乳食
  • コアラの離乳食は母親の便
  • 冬眠中に出産、育児をするクマ
  • 子ども同士の交流が社会復帰を容易に
  • 遊びの中に社会生活のひな形がある
  • 「探索の時代」にこそ性教育を
  • 生物が最小限度必要な三つのこと
  • 人間の脳みそには四億年の流れがある
  • 「三つ子の魂百まで」の根拠
  • 子別れまでに生きていく術を教える
  • 身を守るということ
  • 食物をとるということ
  • 群れの中で協力するということ
  • 人間に育てられたクマの悲劇
  • 親ジカは身を挺して危険回避法を教える
  • 餌があるのに餓死したサルたち
  • 「刷り込み」「学習」なしに、「教育」はなりたたず
トップへ戻る