「日本人の智恵」に着目すれば
歴史をもっと使いたくなる!
歴史をもっと使いたくなる!
私の考え方の基本と枠組みは、この1冊に集約されている、と自らが語る、著者の歴史観、日本人論が集約された書。なぜ日本人は、部下を可愛がるのか? 明治維新をスムーズに成し得たか? 高度経済成長を遂げたか? 天皇制を継続できるのか?……日本人が培ってきた「知恵」のシステムをあますことなく披露する。補論、陸軍は機密費で財テクに走った、を収録。
著者プロフィール
谷沢永一(たにざわ・えいいち)
関西大学名誉教授。昭和4年、大阪市生まれ。関西大学大学院博士課程修了。専門は日本近代文学、書誌学。社会評論にも幅広く活躍。サントリー学藝賞、大阪市民表彰文化功労、大阪文化賞、2004年には『文豪たちの大喧嘩─鷗外・逍遥・樗牛』(新潮社)で読売文学賞受賞。著書に、『完本・紙つぶて』(文藝春秋)、『百言百話』(中公新書)、『回想 開高健』『雑書放蕩記』(以上、新潮社)、『日本近代文学研叢』全五巻(和泉書院)、『書物耽溺』(講談社)、『人間通』(新潮文庫)、『聖徳太子はいなかった』(新潮新書)、『嫉妬する人、される人』(幻冬舎)、『自虐史観もうやめたい!』『名上司』(ワック出版)ほか多数。
目次
第1章 「知恵」を読めば歴史通
1 日本に〝貴族〟はいなかった
政治に力を注いだ上代貴族
日本の政権担当層の特徴
私利私欲より治国平安
「東大寺」建立の歴史的意義
「収賄」の伝統がない日本
世界で唯一の武装せざる貴族
2 部下を可愛がる習慣の始まり
企業ヒエラルキーとロボットの関係
現場の優れた感覚と「赤提灯」
「百姓一揆」は管理職の責任
武家社会の国家管理体系
「調停」は源氏以来の国民思想
「御恩」と「奉公」の双務関係
わが国民性は武家社会で作られた
3 武士は政治的責任感を持っていた
日本の近代は信長から始まった
歴史を白紙に戻した「応仁の乱」
家訓を国家統合の理念にした家康
もともと日本にあった民主主義
大暴君・水戸黄門の謎
三百年の平安を保った人事システム
長子に相続させた吉宗の英断
世襲制と実力主義をミックス
「抜刀は罪悪」が武士の倫理
4 江戸が作った優れたシステム
「隠居」制度は日本の叡智
武士の契約精神
「三行半」の嘘
「参勤交代」の経済効果
武家と終身雇傭制
血の通った福祉のエッセンス
武家と町家の政経分離
三井の商家精神と組織作り
5 社会安定と経済成長を両立させた徳川政権
近代化への第一歩「太閤検地」
秀吉に学びたい真の「腹芸」
〝関ヶ原の戦い〟は派閥争い
調停者・北政所と勝海舟
江戸前期は高度経済成長時代
江戸の経済と地方自治
〝天守閣〟より社会の安定
6 「天皇制」は嫉妬の象徴
「藩政改革」と「お家騒動実録」
抜擢人事に厳しい日本人
鷗外が迎合した日本人の心性
「髷物」と「天皇制」にみる国民性
なぜ「天皇制」が継続されたか
「嫉妬心」を直視する政治
第2章 「流れ」を観れば歴史通
1 明治維新は「会社更生法」の申請であった
わが「歴史学」の実態
明治維新は「革命」ではない
「大政奉還」は計画倒産宣言
〝経営陣〟入れ替えの立て役者
「アヘン戦争」の教訓
明治維新の知恵と日本の近代化
2 リーダーと青写真のない躍進
近代化推進の原動力
模倣と独立心
「隣百姓」の連帯意識
教育制度は明治初期に確立された
『女工哀史』の見落とした物
時代を観る真の歴史眼
伊藤博文と渋沢栄一
3 昭和の禍根はどこからきたか
「明治の世代」の現実感覚
限界と終結点を知っていた戦争
日露戦争は国家目標
「大正政変」の二つの因子
「大正の世代」が残した禍根
4 大正デモクラシーが招いた軍閥の跳梁
大正デモクラシーと枢密院の廃止
大正期の悲願「普通選挙」
「金権選挙」の始まり
民主的「普通選挙」の結果
大正民主主義と軍閥の跳梁
理想論の危険性
5 太平洋戦争は全国民の責任である
国民は無罪か
軍部を支持した国民感情
歴史感覚が欠如した解釈とは
「二・二六事件」と「同情論」
6 悲劇が活力の源泉となった
石橋湛山の優れた提言
進駐軍と渡り合った湛山
戦後の活力こそ「理外の理」
ホンネとタテマエの溝を埋めた原爆
東京裁判は私刑に他ならない
第1章 「知恵」を読めば歴史通
1 日本に〝貴族〟はいなかった
- 政治に力を注いだ上代貴族
- 日本の政権担当層の特徴
- 私利私欲より治国平安
- 「東大寺」建立の歴史的意義
- 「収賄」の伝統がない日本
- 世界で唯一の武装せざる貴族
2 部下を可愛がる習慣の始まり
- 企業ヒエラルキーとロボットの関係
- 現場の優れた感覚と「赤提灯」
- 「百姓一揆」は管理職の責任
- 武家社会の国家管理体系
- 「調停」は源氏以来の国民思想
- 「御恩」と「奉公」の双務関係
- わが国民性は武家社会で作られた
3 武士は政治的責任感を持っていた
- 日本の近代は信長から始まった
- 歴史を白紙に戻した「応仁の乱」
- 家訓を国家統合の理念にした家康
- もともと日本にあった民主主義
- 大暴君・水戸黄門の謎
- 三百年の平安を保った人事システム
- 長子に相続させた吉宗の英断
- 世襲制と実力主義をミックス
- 「抜刀は罪悪」が武士の倫理
4 江戸が作った優れたシステム
- 「隠居」制度は日本の叡智
- 武士の契約精神
- 「三行半」の嘘
- 「参勤交代」の経済効果
- 武家と終身雇傭制
- 血の通った福祉のエッセンス
- 武家と町家の政経分離
- 三井の商家精神と組織作り
5 社会安定と経済成長を両立させた徳川政権
- 近代化への第一歩「太閤検地」
- 秀吉に学びたい真の「腹芸」
- 〝関ヶ原の戦い〟は派閥争い
- 調停者・北政所と勝海舟
- 江戸前期は高度経済成長時代
- 江戸の経済と地方自治
- 〝天守閣〟より社会の安定
6 「天皇制」は嫉妬の象徴
- 「藩政改革」と「お家騒動実録」
- 抜擢人事に厳しい日本人
- 鷗外が迎合した日本人の心性
- 「髷物」と「天皇制」にみる国民性
- なぜ「天皇制」が継続されたか
- 「嫉妬心」を直視する政治
第2章 「流れ」を観れば歴史通
1 明治維新は「会社更生法」の申請であった
- わが「歴史学」の実態
- 明治維新は「革命」ではない
- 「大政奉還」は計画倒産宣言
- 〝経営陣〟入れ替えの立て役者
- 「アヘン戦争」の教訓
- 明治維新の知恵と日本の近代化
2 リーダーと青写真のない躍進
- 近代化推進の原動力
- 模倣と独立心
- 「隣百姓」の連帯意識
- 教育制度は明治初期に確立された
- 『女工哀史』の見落とした物
- 時代を観る真の歴史眼
- 伊藤博文と渋沢栄一
3 昭和の禍根はどこからきたか
- 「明治の世代」の現実感覚
- 限界と終結点を知っていた戦争
- 日露戦争は国家目標
- 「大正政変」の二つの因子
- 「大正の世代」が残した禍根
4 大正デモクラシーが招いた軍閥の跳梁
- 大正デモクラシーと枢密院の廃止
- 大正期の悲願「普通選挙」
- 「金権選挙」の始まり
- 民主的「普通選挙」の結果
- 大正民主主義と軍閥の跳梁
- 理想論の危険性
5 太平洋戦争は全国民の責任である
- 国民は無罪か
- 軍部を支持した国民感情
- 歴史感覚が欠如した解釈とは
- 「二・二六事件」と「同情論」
6 悲劇が活力の源泉となった
- 石橋湛山の優れた提言
- 進駐軍と渡り合った湛山
- 戦後の活力こそ「理外の理」
- ホンネとタテマエの溝を埋めた原爆
- 東京裁判は私刑に他ならない
第3章 「人間」を知れば歴史通
1 実務家の現場感覚が戦後を作った
丸山真男の致命的な過誤
無責任な知識人を生んだ〝免罪符〟
知識人のナルシシズム
現実を直視しなかった思想家
戦後を支えた実務家たち
2 「六〇年安保」は未来への祝祭
「安保」とは何であったか
日本人独特の「面子意識」
岸信介と「ヤンキー・ゴー・ホーム」
日本的民主主義の完成
3 「ツケ」を支払う国民の知恵
革新系首長と「ひずみ」の関係
高度成長の「ツケ」
うまく「ツケ」を処理した現代史
国民の知恵が「見えざる神の手」
4 一億総知識人時代の大学像
一人前の「けじめ」がなくなった
社会的要請に適応できない大学
モラトリアム期間を過ごす大学像
実学のための基礎作りを
全人的教育の必要性
5 「円卓会議」の時代
三代を経た幸福な世代
高齢化社会の課題
全員参加システム「稟議制」
「円卓会議」が活力を生む
ルールなき「個」の確立
自己表現と人間関係
補論 陸軍は機密費で財テクに走った
第3章 「人間」を知れば歴史通
1 実務家の現場感覚が戦後を作った
- 丸山真男の致命的な過誤
- 無責任な知識人を生んだ〝免罪符〟
- 知識人のナルシシズム
- 現実を直視しなかった思想家
- 戦後を支えた実務家たち
- 「安保」とは何であったか
- 日本人独特の「面子意識」
- 岸信介と「ヤンキー・ゴー・ホーム」
- 日本的民主主義の完成
- 革新系首長と「ひずみ」の関係
- 高度成長の「ツケ」
- うまく「ツケ」を処理した現代史
- 国民の知恵が「見えざる神の手」
- 一人前の「けじめ」がなくなった
- 社会的要請に適応できない大学
- モラトリアム期間を過ごす大学像
- 実学のための基礎作りを
- 全人的教育の必要性
- 三代を経た幸福な世代
- 高齢化社会の課題
- 全員参加システム「稟議制」
- 「円卓会議」が活力を生む
- ルールなき「個」の確立
- 自己表現と人間関係