複眼的に眺めてこそ価値がある!
瀋陽・日本領事館で起きた事件に対する日本の対応は、国民をまた失望させた。“事なかれ外交”では諸外国からの尊敬はおろか、われわれも自国を誇れない。──かつて、この国には国際的な存在感があった──。上智大名誉教授と元駐タイ大使が、明治をはじめ近代日本史を俯瞰しながら、国のあり方を複眼的に提示する。ビスマルクの弁を借りるなら、あなたは体験に学ぶか。それとも“歴史に学ぶ”か。
著者プロフィール
渡部昇一(わたなべ・しょういち)
上智大学名誉教授。英語学者。文明批評家。1930年、山形県鶴岡市生まれ。上智大学大学院修士課程修了後、独ミュンスター大学、英オクスフォード大学に留学。Dr. phil.,Dr.phil.h.c.(英語学)。第24回エッセイストクラブ賞、第1回正論大賞受賞。著書に『英文法史』などの専門書のほか、『文科の時代』『知的生活の方法』『日本史から見た日本人』『指導力の差』『「東京裁判」を裁判する』『日本は「侵略国家」ではない!』『「パル判決書」の真実』『「戦後」混迷の時代に』『知的生活の方法・音楽篇』(渡部玄一・共著)などの話題作やベストセラー多数がある。
岡崎久彦(おかざき・ひさひこ)
元駐タイ大使、外交評論家。1930年、大連生まれ。東京大学法学部在学中に外交官試験に合格し、外務省入省。ケンブリッジ大学経済学部卒業。外務省情報調査局長、駐サウジアラビア大使、駐タイ大使等を歴任。現在、NPO法人岡崎研究所所長。著書に『国家と情報』(文藝春秋)、『陸奥宗光』『国家戦略からみた靖国問題』(PHP研究所)、『この国を守る決意』『運命の十年』(扶桑社)、『なぜ、日本人は韓国人が嫌いなのか。』(ワック)など多数がある。
目次
- 国の品格をとりもどす
- 暗い話ばかりの歴史教育
- 歴史教育を国家的に考える
- なにも清算をしない左翼学者
- 「日教組教育」世代が日本を動かしている
- 外交は歴史観に左右されない
- 日本の過去を全否定する教育
- 幻の「従軍慰安婦」の復活
- 一九八一年まで「歴史認識」は問題にならなかった
- 謝罪外交の原点・朝日新聞の大誤報
- なぜ宮沢官房長官は「謝罪」したのか
- 戦中派が戦争呪詛派になった理由
- 「戦争呪詛派」と「日教組世代」がタッグ
- 日本のマスコミこそが、対外摩擦の火元
- 東南アジアの「反日」は華僑の専売特許
- アジアのエリートが反日家になるわけ
- 英米の歴史書に流れるアンチ・ファシズム史観
- ホロコーストから類推する「南京大虐殺」の誤解
- 私有財産の否定が「国家の品格」を損なう
- 厚生次官が不正蓄財に走ったわけ
- 官僚は「お国のためなら死ねますか」
- 役人の給料を上げると国費の節減に繋がる
- 公務員の年金には別の役割があった
- 「十年」河清を待つ
- 大東亜戦争を防げたラスト・チャンスはいつか
- 日本の孤立を招いた米・英の保護貿易
- 日英同盟が続いていたら、二・二六事件もなかった
- なぜ、日英同盟は破棄されたか
- 欧州派兵を拒否した日本陸軍
- 日英同盟潰しを狙ったアメリカの意図
- 歴史が教える「ともに戦うこと」の意味
- 湾岸戦争こそ、日本の安全保障の〝危機〟だった
- 日英同盟をもたらした北清事変
- 日本とイギリスが「日英同盟」からえたもの
- だからこそ、日米同盟を堅持せよ
- ディエゴ・ガルシア基地を知っているか
- 日米同盟に水を差した「沖縄問題」
- 基地問題は社会党の内紛だった
- 有事に空中分解する日米同盟
- 集団的自衛権こそが最後のハードル
- アメリカ世論が日本を見放せば、打つ手はない
- 国連憲章でも認められている集団的自衛権
- あたり前の権利を正式に表明しよう
- 「平和主義者」が戦争を招く
- 中国がアジア最大の不確定要因
- ナショナリズムを強める中国
- 中国の暴発を防ぐカギは日米同盟にあり
- やはり重要、日本人の歴史観
- 日露戦争直後に日本の運命は決まった
- 井上馨が描いた「満洲経営プラン」
- ロシアの強さを認識していた日本軍トップ
- ハリマン提案拒絶で始まったアメリカの「反日」
- 小村寿太郎の虚像
- とめどないロシアの領土拡張欲
- 「濁富」の井上、「清貧」の小村
- 国家戦略を理想論で決める危険
- 井上は財閥育成に熱心だった
- アングロ・サクソン世界からの情報
- ユダヤ人を首相にした大英帝国
- 幣原外交を潰した青年将校たち
- 修羅場を潜った男の「アニマル・センス」
- 日本版ピューリタン革命を目指した西郷隆盛
- 伊藤、井上、大久保と西郷の違い
- 徹底的に議論をし、国家戦略を立てた明治の元勲
- 戦前にも発想が自由だった世代がいた
- 「自らの力で作った」大正デモクラシー
- 世界に誇れる日本の民主主義
- 民主主義の前提は私有財産の尊重
- 政治資金規正法が日本の政治家を駄目にする