日本の生き残る道とは?
「アベノミクス」の狙いは、日本経済を長期間覆ってきた「デフレ」から抜け出す経済政策を成功させようというものだ。同時に、戦後の「システム」を見直し、「制度改革」を全面的に実施しようというものであり、それには極めて強い決意が要求される。特に注意すべきは、日本を取り巻く国際環境の激変である。あまり遠くない時期に中国は解体、崩壊し、東アジアでの「冷戦」は終結する。そして、超大国アメリカが完全復活し、EUは経済でドイツに支配される。「アベノミクス」の後、日本は何をすべきなのか。激変する世界の底流を読み解き、日本の生き残る道を提言する!
著者プロフィール
長谷川慶太郎(はせがわ・けいたろう)
国際エコノミスト。1927年、京都府生まれ。大阪大学工学部卒業。新聞記者、証券アナリストを経て、1963年から評論活動を始める。以後、その優れた先見力と分析力で、つねに第一線ジャーナリストの地位を保つ。1983年、『世界が日本を見倣う日』(東洋経済新報社)で第3回石橋湛山賞受賞。近著に『アジアの行方 大激動の真実を知れ!』(実業之日本社)、『日本企業の生きる道。』(PHP研究所)、『シェールガス革命で世界は激変する』(東洋経済新報社)など多数がある。
目次
まえがき- 「デフレからの脱却」を成し遂げた高橋是清
- 五年で二・五倍の円安を実現する
- 新しい産業を次々と生み出した公共事業投資
- オバマ大統領は「グリーンニューディール」を口にしなくなった
- メタンハイドレート商用化のために一兆円の融資枠を設定
- 円高で何が問題なのか
- 世界の優良企業から頼られている日本の銀行
- これからフランスで三十万人以上の失業者が出る?
- なぜ、政治家とマスコミは「日本が大変だ」と騒ぐのか
- 戦争のない時代はデフレ基調にならざるを得ない
- 十九世紀の大デフレ時代に世界で何が起こったか
- 世界経済を支えるインフラの整備が始まる
- LCCとアメリカの国内水運整備がデフレを加速させる
- アメリカはなぜ、シェールガス開発に力を入れたのか
- シェールガスの普及で穀物価格も下がる
- プーチン大統領が迫られている決断
- 二十一世紀はガスの時代になる
- 天然ガスの貿易でアメリカに勝てる国はない
- 最大で三百六十万人の雇用と三パーセントの成長
- アメリカは鉄道のレール交換に力を入れている
- 「双子の赤字」のうちで貿易赤字は構造的な黒字に転換する
- アメリカが有する四つの強み
- 経済でヨーロッパを支配するドイツ
- アメリカの石油化学製品は世界一の競争力をもつことになる
- アメリカの弱点はイノベーションにある
- 原子力の研究開発に一番力を入れているのはアメリカ海軍
- これからのアメリカは怖いものなど何もない
- ステルス戦闘機のテストフライトを知らなかった胡錦濤
- ミャンマーはなぜ中国寄りの態度を変えたのか
- 自然にできあがった中国包囲網
- 中国の崩壊は歴史的な流れで止められない
- ソ連で起こったことは中国でも起こる
- 不気味な「第二代農民工」
- GDPの一一パーセントにあたる不動産の在庫
- メッキ工場で使えない揚子江の水
- 共産党は改革のために倒産を認めることができない
- 暴動に神経を尖らせる共産党政府
- 習近平指導部の敵は文革派
- 北京の中央政府と人民解放軍は一体ではない
- 中国政府は海軍を懐柔するために航空母艦をつくる
- 国内最強の軍隊を有する瀋陽軍区
- 瀋陽軍区が北朝鮮に核兵器開発をやらせている
- 中国はその日その日をごまかしながらやっていくしかない
- 近い将来、中国で内戦が起こる
- 中国の内戦に日本はどう対応するか
- 日本もアメリカも互いに頼らざるを得ない関係
- 技術貿易で日本は一兆九千七百四億円の黒字
- 大型の発電機と変電機で日本企業の強さは圧倒的である
- 主要なジェットエンジンメーカーが採用するIHI製のタービンブレード
- 明治時代から営々と培ってきた重工業の技術力
- サムスンが重電機に進出できない三つの理由
- 粗鋼生産量で上まわっても、高度な技術の開発は追いつけない
- 人件費の高い日本に工場を置くフランスの多国籍企業
- 日本企業のもつ特許は重要な武器である
- 電灯を使うことで二交代制を実現した大阪紡績
- トヨタに未来はあるか
- 炭素繊維を航空機に使う技術は日本企業の独壇場
- アメリカの復活は一次産品、日本の復活は二次産品にかかっている
- 日本経済を成長させるために労使慣行を見直せ
- 日本が家電で稼ぐ時代は終わり、重電で稼ぐ時代になった