稀代の碩学珠玉のメッセージ
将来の日本人に記憶される歴史の一貫性こそは、
意識下において愛国心にもととなり、
国民としての誇り、国の繁栄のもととなるであろう(本文より)。
著者プロフィール
上智大学名誉教授。英語学者。文明批評家。昭和5年(1930年)、山形県鶴岡市生まれ。上智大学大学院修士課程修了後、独ミュンスター大学、英オクスフォード大学に留学。Dr. phil., Dr. phil. h.c.(英語学)。第24回エッセイストクラブ賞、第1回正論大賞受賞。著書に『英文法史』などの専門書、『文科の時代』『知的生活の方法』『知的余生の方法』『アメリカが畏怖した日本』『「日本の歴史」①〜⑦』『読む年表 日本の歴史』などの話題作やベストセラーが多数ある。平成29年(2017年)4月17日、逝去。
目次
Ⅰ
レヴィジョニスト・マッカーサー
韓国の歴史認識/日韓関係は淡々と/「抗日戦勝記念」の意図/「修正主義者」のレッテル/日本を縛るのは誰か/マッカーサー証言を使え
シンガポールの話
巨星墜つ/英植民地の実像/白人の虚勢が敗因に/一種の「大東亜戦争肯定論」/敗れてなお成したこと
護憲派に見る知的貧困
曲学阿世の学者たち/敵性国家を信じられるか/隷従中の憲法制定/強制と自発は矛盾せず?/勉強が足りない護憲派
朝日と特高の共通点
岳父が思想弾圧対象に/凶悪な捏造記事/弾圧に耐える心術/戦前教育の素晴らしさ/美しい老人の姿
ヘイト・スピーチの今昔
「ヘイト」の原因/レシプロカルな関係/パキ・バッシングの例/白人の偽善的社会/動物的直観か
野次の効能
野次将軍も今は昔/トゲトゲしい世論/壮大な野次合戦/野次をそのまま党名に/自由民主議会の華
ノロくて脆い民主主義議会
外郭環状線/中国と東京の場合/デモクラシーとは何か/あっという間にパリ陥落/独裁制の能率の良さ
Ⅱ
「かがみ」のさまざま
天才と鬼才/殷鑒遠カラズ/歴史を「鑑」として……/欲しかった『新字鑑』/昔を書けば増鏡
日本人と鏡
神代からのご縁/近親結婚の理由/日本は神代から文明国/「鏡は御魂そのもの」/鏡は本性を映すもの
二宮金次郎の「がくもん」
「がくもん」をする金次郎/「本を読む父」の姿/天道と人道/「報徳仕法」はいまも/老化を防ぐ「がくもん」
座談の愉しみ
幸田露伴は「偉い人」/進藤克彦先生の導き/思い出に残る恩師の座談/対談、座談から始めよう/留学先に持って行った本
露伴の書と句
豪華メンバーの座談会/露伴色紙の行方/運命的な出会い/親獅子・露伴はいかに/わが家のロハン
宇宙船地球号と文科の時代
「成長の限界」と宇宙の旅/文科の学徒として/エドナイゼーションの貢献/連歌が示す平等社会/川柳が紡ぐ歴史
「征服者」になった難民・移民
米「感謝祭」の本当の意味/文化融合の難しさ/美しい同情の代償/日本人という「原住民」
Ⅲ
鏡の東西
至人の心は鏡の如し/「鏡」と心術/動物と人間の差/人間の世界を写す鏡
祖母の膝の上で聞いた「哲学」
「切り口」の向き/不滅の霊魂と転生/死者たちの魂/プラトン哲学の深奥/宗教の理性と反知性
『神学大全』の翻訳
壮大な「全訳計画」/半世紀にわたる大事業/経国の大業、不朽の盛事/偉業を称える
聖トマスと聖アウグスティヌス
聖トマスを語る資格/ボロボロになるまで読んだ/聖人に倣った洗礼名/岩下壮一の恩恵/「本物を発見した」
「天才」の能力とは
一を聞いて百を知る/名誉の抜擢/間違いだらけの大成功/本人よりも本人に近い/いまも読み継がれる名著
帝国礼賛か、祖国愛か
ローマ愛の正体/ブーア人の土地愛/大英帝国衰亡の始まり/対照的な二人の作家/「白人の重荷」の傲慢
キリスト教国は減っている
「日本文明」の本質/信仰と離婚/〝結婚〟の重要性/ソドミストへの刑罰/日本文明を世界の手本に
Ⅳ
不思議な校名
校名の由来/伝記のパンフレット/徂徠学と朝暘先生/徂徠学はなぜダメか?/誉れを子孫に残さん
百科事典とウィキペディアの時代
事典と言えばブリタニカ/ネット事典の過不足/「論争」記述の誤り/生存中に読める伝記/立花隆氏との論争
賢者の健康法
長命でなければ……/「腹に〝の〟の字」/『荘子』に学ぶ/老いに逆らう
戦前を忘れるな
開戦後も呑気だった/子供も感じる社会の変化/戦前の「明るい」流行歌/惚れた腫れたの歌/夢の楽園、花の東京/戦前を忘れまい
象徴性の力
昭和/頼朝と出家/東の天皇・西の皇帝
悪魔の囁き
花柳界/敵薬(antidote)/生前葬
親に叱られる
かくれんぼ/贅沢貧乏