希代のコラムニストのエッセンス!
歴史というものは明るくも暗くも語れる。史実の並べ方でどうにでもなるものだ。「戦前」というまっ暗な時代があって、それが15年も続いたという文化人や史家がある。しかし、終戦から時がたち、日本人はみな戦前を知らない。「戦前まっ暗」という考えは戦後に生れた迷信である。実際、日本の’30年代は繁栄の時代だったのだ。
著者プロフィール
山本夏彦(やまもと・なつひこ)
大正4(1915)年、東京下谷根岸生まれ。少年期に渡仏後、24歳のときショヴォ「年を歴た鰐の話」を「中央公論」に翻訳・寄稿。戦後工作社を設立し、雑誌「室内」(旧題「木工界」)を創刊。同誌に「日常茶飯事」、「諸君‼」に「笑わぬでもなし」、「文藝春秋」に「愚図の大いそがし」、「週刊新潮」に「夏彦の写真コラム」を長期連載し、盛名を馳せる。昭和59年に菊池寛賞、平成2年に『無想庵物語』で読売文学賞、10年に市川市民文化賞を受賞。最期までコラムを書き続けて平成14(2002)年10月、87歳で逝去。著書に『茶の間の正義』『編集兼発行人』『私の岩波物語』『世はいかさま』『一寸さきはヤミがいい』『最後の波の音』ほか多数がある。
目次
「戦前」という時代- 分らない
- 鷗外の身長
- 同時代
- 文はウソである
- 東京府士族
- お年玉
- 銀座百点
- 言葉のいずみ
- 口語文
- 半七のことば
- 字引
- 鰹節回顧
- スキャンダル
- 流行
- むらぎも
- 日記
- 言葉の三分メモ
- 脱亜入欧
- 孝
- 「日教組」育ち
- ボナールの友情論
- それしゃ
- ひと口話 大正デモクラシー
- 浮世のことはみんな「茶」に
- 処女崇拝
- 本屋を滅ぼすものは本屋
- 私は映画と和解してない
- いまインテリたちの天下
- 本が出すぎる
- 古新聞育ち
- うそつき荷風
- ちょっと待てその契約
- 私はタイトル(だけ)作家
- たったひとりの人花森安治
- 明治の語彙