このままでは日本は貧乏になる
アベノミクス効果により消費者物価指数は上昇傾向にあるが、実質賃金の低下、そして雇用の「質」という、二つの大きな問題を抱えたまま消費税が増税された。デフレからの脱却プロセスで、物価上昇に所得の伸びが追いつかない状況に拍車がかかってしまったのだ。「デフレ慣れ」は死に至る病である。公共投資削減は国家の自殺、非正規雇用から正規雇用への切り替えをせよ、お金を使えば所得は生まれる──三橋貴明が示す、デフレという重病を治すための最終的な考え方とは!?
著者プロフィール
三橋 貴明(みつはし・たかあき)
経済評論家、中小企業診断士、作家。
1969年、熊本県生まれ。東京都立大学(現・首都大学東京)経済学部卒業。外資系IT企業等数社に勤務した後、中小企業診断士として独立。大手インターネット掲示板での、韓国経済に対する詳細な分析が話題を呼び、2007年に『本当はヤバイ! 韓国経済』(彩図社)を出版、ベストセラーとなる。以後、立て続けに話題作を生み出している。データに基づいた経済理論が高い評価を得ており、デフレ脱却のための公共投資推進、反増税、反TPPのリーダー的論客として注目されている。著書に『愚韓新論』(飛鳥新社)、『学校では絶対に教えてくれない 僕たちの国家』(TAC出版)、『2014年 世界連鎖破綻と日本経済に迫る危機』(徳間書店)、『それでも、日本経済が世界最強という真実』『いよいよ、韓国経済が崩壊するこれだけの理由』『日本経済は、中国がなくてもまったく心配ない』『だから、日本経済が世界最強というこれだけの理由』(以上、ワック)など多数。
目次
- まえがき
- 失われた「海」の壁
- 「国債の正体」を見誤るな
- 国債は日本国民の借金ではなく「債権」
- 「国の借金」は返済不要
- 上限は「インフレ率」
- 消費や投資、それに政府支出は国内の需要そのもの
- 金は天下の回りもの
- お金の貸し借りでGDPは増えない
- 日本は貯金しすぎ
- 国の金は企業に移る
- 政府の支出が国民の貯蓄に
- お金は両替しても、この世から消えない
- 円は日本銀行が発行した「借用証書」
- お金を使えば所得は生まれる
- 「お金を貯める」から「お金をどのように使うか」に
- 資産+労働=所得
- 「貧しい国」とは?
- 日本の所得収支が黒字になるわけ
- 「生産資産」が重要
- 所得を生む「国富」
- 日本国の真の富は、勤勉な日本国民
- 物価下落≠デフレ
- デフレの真の恐怖とは
- 失われる付加価値
- リストラは不可避に
- 「ワープア地獄」到来
- 十五万人を殺すデフレ
- 「デフレの底」まっしぐら
- 少子化はデフレの「結果」
- インフレギャップ縮小策
- 有効な五つの政策
- 逆行する政府の施策
- 無知による悪循環
- なぜ日本は過ちを犯すのか
- 政策の可否はタイミング
- 「愚者の群れ」のウソ
- 効果が確実な唯一のデフレ対策
- 日本のデフレの深刻度
- お金を使ってこそ価値がある
- ハイパーインフレ説の怪
- インフレの何がいけない
- 円高が続くのも当たり前だ
- 物価上昇のカギは
- 物価に影響を与えないもの
- FXそのものは単なる「お金の両替」
- 資産効果によるデフレ脱却への貢献度は未知数
- 「日銀の外債購入」というデフレ対策
- 変動相場制のルールを踏みにじるな
- 赤字国債と建設国債
- 「国富」建設のために
- 赤字国債とデフレの関係
- 公共投資の額が三十年前を下回っている
- 投資が必要な国土
- 繰り返される悪循環
- 談合は「ワーク・シェアリング」
- 市場競争原理主義者の愚
- 「一般競争入札のみ」という異常事態
- 減り続ける建設業者
- 継承される建築技術
- 「ムダ削減」で失うもの
- 国の「宝」を守るために
- インフレと失業率の関係
- 前政権と比べると、驚くべき進歩
- インフレは「いいこと」?
- インフレ期とデフレ期のインフレ率の目標設定
- 日本経済の“曲者”
- 日本式のCPIの定義とは
- 巧妙なすり替えを許すな
- 根本からの勘違い
- 税金の「源」は所得
- 政府の租税収入は、名目GDPと同じ動きをする
- 財政悪化の原因はデフレの深刻化
- だからこそ政府の出番
- 公共投資と防衛費を
- 下落が続く長期金利
- ロジックの「穴」
- 「流動性の罠」が敵
- 先進国の政策担当者は、なぜ財政出動を嫌うのか
- 明らかな「誤り」
- 「セイの法則」を前提にした机上の空論
- 政府にしかできないこと
- 拡大したマネーストックは「何に向かう」のか
- デフレ脱却は「不都合」?
- 分かりにくい潜在GDP
- 日本国民が損をする
- 国民経済の基本とは