現在の国際情勢の基調は、北朝鮮の独裁政権、そして、中国共産党一党独裁体制の崩壊が刻一刻と迫っていることだ。かつてソ連の崩壊により東西冷戦が終焉したが、東アジアに残っていた“二つの独裁政権”の崩壊により、アジアの冷戦も終焉するということである。
つまり、自由主義・民主主義・経済のグローバリズムが、明確に完全に世界の基調となる時代が到来したということである。
本書は、国際情勢の底流を正確に分析しながら、アメリカ、EU、ロシア、中国、新興国の政治・経済の行方を大胆に予測している。もちろん、これからの日本の政治・経済の課題についても詳述している。
本書を読めば、2016年の世界がどうなるのか、手に取るようによく分かる!
著者プロフィール
長谷川慶太郎(はせがわ・けいたろう)
国際エコノミスト。1927年、京都府生まれ。
大阪大学工学部卒業。新聞記者、証券アナリストを経て、1963年から評論活動を始める。以後、その優れた先見力と分析力で、つねに第一線ジャーナリストの地位を保つ。1983年、『世界が日本を見倣う日』(東洋経済新報社)で第3回石橋湛山賞受賞。近著に『ロシア転覆、中国破綻、隆盛日本』(実業之日本社)、『日経平均2万5000円超え時代の日本経済』(ビジネス社)、『中国大減速の末路』(東洋経済新報社)など多数がある。
目次
- まえがき
第1章 新日米同盟の誕生・「戦後」は
新しい段階に入った
- 韓国・中国とアメリカの歴史認識は違う
- 国民統合のシンボルとなったロンメル元帥
- ドイツは国家賠償でなく個人補償をした
- ベトナム戦争では「キッシンジャー」がいなかった
- 正規軍ではゲリラに対抗できない
- なぜ、『大東亜戦争全史』にゲリラ戦が出てこないのか
- 国際常識が通じないアジアの国がある
- 日本はアメリカの戦争に巻き込まれるのか
- アメリカのアジアシフトは中国崩壊に備えて
第2章 強いアメリカ経済と大統領選の行方
- シェールガスはまだまだ優位性を保っている
- 石油価格の下落は「ロシアつぶし」が最大の眼目
- 干ばつはカリフォルニアだけで、アメリカの穀物危機はない
- 製造業の復活が雇用にプラスの影響を及ぼしている
- 二〇一六年の大統領選挙でヒラリー・クリントンは勝つ?
- アメリカには職業的な官僚制がない
- アメリカの各州は上下両院と軍隊を持っている
第3章 AIIB(アジアインフラ投資銀行)は
いずれつぶれる
- 早く融資が欲しい開発途上国が、中国の口車に乗った
- アジアインフラ投資銀行は大規模な新銀行東京だ
- ヨーロッパ諸国が参加する理由
- EUの中でドイツはなぜ強いのか
- 中国の自動車市場は供給過剰
- 日本でさえ住宅ローンの三分の一が不良化している
- アジアインフラ投資銀行に秘められた中国の思惑
第4章 アベノミクス成功の鍵は、制度改革にある
- アベノミクスとクロダノミクスは必ずしも一致しない
- アベノミクスは高橋是清の経済政策の焼き直し
- 制度改革の筆頭は農業改革だ
- 安全保障も制度改革の一環
- 成長戦略の主力産業はバイオとIT
- なぜ、技術力がありながらGDPは伸びなかったのか
- 伸びない個人消費には公共事業で対応せよ
第5章 朴槿惠の韓国と習近平の中国
- 韓国企業はお釈迦様の手の上で踊る孫悟空
- 「ものづくりの精神」を育めない両班の社会
- 韓国が北朝鮮を抱えればつぶれる
- 習近平には粛清する以外に選択肢がない
- 中国が進める「キツネ狩り」に協力するFBI
- マフィアとヤクザが発揮した「抑止力」
- 中国の空母は軍事的な脅威ではない
- 「大型の韓国化」が進む中国経済
第6章 なぜ、新興国は行き詰っているのか?
- ロシア経済は破綻寸前
- ロシアの軍事力は過大評価されている
- 徴兵制より志願兵が求められる時代
- ロシアは自滅のプロセスに入った
- 「宗派対立の世界」に陥ったことが中東の悲劇
- 日本が中東と関わらなくなる日
- インドはアドバンテージを持った開発途上国
- ブラジルでオリンピックを開けるのか
- デフレの時代に経済成長を実現する方法がある
- 再び「さよならアジア」