
大胆な政策出動で日本経済を更なる高みへ
アベノミクスの結果、株価は上昇した。給料のベースアップを認める企業も出てきた。しかし、消費税増税で消費は伸び悩み、いまだに国民の景況感は良くなっていない。また、国外に目を向ければ、経済崩壊間近の中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)でアメリカ主導の国際金融秩序に挑み、経済覇権を握ろうとしている。新聞やテレビが言うように、日本はAIIBに参加すべきなのか? 日本の外交、経済が進むべき道とは? 経済と国際情勢に通暁する2人の著者が、日本の可能性と混迷する世界経済を語る!
著者プロフィール
宮崎正弘(みやざき・まさひろ)
評論家。1946年、石川県金沢市生まれ。早稲田大学中退。『日本学生新聞』編集長、月刊『浪漫』企画室長などを経て貿易会社を経営。1982年、『もうひとつの資源戦争』(講談社)で論壇へ。以後、世界経済の裏側やワシントン、北京の内幕を描き、『ウォールストリート・ジャーナルで読む日本』『ウォール街・凄腕の男たち』などの話題作を次々に発表してきた。著書に『2015年 中国の真実』(ワックブンコ)、『中国大破綻』(PHP)、『中国崩壊で日本はこうなる』(李白社)、『保守の原点』『中国、韓国は自滅し、アジアの時代がやってくる!』(海竜社)など多数がある。
渡邉哲也(わたなべ・てつや)
作家・経済評論家。1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。インターネット上での欧米経済、アジア経済などの評論が話題となり、2009年に出版した『本当にヤバイ!欧州経済』(彩図社)がベストセラーとなる。内外の経済・政治情勢のリサーチ分析に定評があり、さまざまな政策立案の支援から、雑誌の企画・監修まで幅広く活動を行なう。著書に『ヤバイほどおもしろ楽しい台湾見聞録』(ビジネス社)、『突き破る日本経済』(徳間書店)、『世界の未来は日本次第』(PHP)など多数がある。
目次
- まえがき
第1章 アベノミクスの効果が徐々に見え始めた日本経済
- 増税による落ち込みを脱しきれないアベノミクス
- 株価が上がれば、年金受給者にも良い影響
- 都合が悪くなると、ルールを守らない欧米
- 実質賃金が上がらず消費につながっていない
- 円安は高収益を生む社会づくりに有効
- 若者の賃金を上げなければ、問題解決しない
- 金融政策に必要な人材は、東大法学部卒ではなく理系出身者
第2章 国土強靱化と国防産業強化を
本気でやれば日本は成長できる
- 民主党政権の失政で公共事業を担う人が減ってしまった
- アベノミクスの「第四の矢」は土地に関する憲法改正
- 東京一極集中解消のために国家主導で人の移動を起こせ
- トヨタが人材を地方に移すモデルケースになる
- 古いインフラ整備計画は再設計したほうがいい
- 震災が起こっても企業活動を続けられる仕組みが必要
- セキュリティ対策とバックアップで、障害に強いIT網を築け
- 企業は高付加価値路線にシフトして海外へ売り込み
- 原発の停止で高止まりしている電気料金が、製造業の国内回帰を阻む
- 国防産業の充実も「第三の矢」の成長戦略に含めるべき
- マル経を教えている人に経済や金融はわからない
- 他国の国債が暴落した理由を探れば、日本国債が安全だとわかる
- 日本には外貨準備としての米ドルが十分にある
第3章 価値観外交はアベノミクスの「第五の矢」になる
- 中国人が来たら付近から犬や猫が消えた
- ヒスパニック系議員を通じて米議会内での日本の影響力を強化
- 現地で反感を買う中国、巧みに売り込む日本
- 破綻の兆候が見え始めた中国の外交手法
- 中国国内だけでなく、海外の投資不動産もゴーストタウン化
- 大きな可能性を秘める親日の東南アジア諸国
- 日本に不利な条件のTPP参加はやめよ
- TPPに限らず、日本は国際交渉でもっと強気に出るべき
第4章 ことごとく失敗する
中国の「敵失(エラー)」を生かせ
- 人民元は米ドル体制を逃れられない
- 世界からまったく相手にされていない人民元
- アジアインフラ投資銀行、BRICS新開発銀行は中国の焦り
- 香港返還時の約束を反故にしてイギリスを怒らせた中国
- イギリスが本気を出したら中国は相当な痛手を被る
- 中国投資にのめり込んだドイツ、フランスもババを引いた
- チャイナマネーにかき回されたオーストラリア
- 中国のツケが世界中にばらまかれている
- アメリカも加担して中国の破綻を隠蔽
- 人民元の息の根を止めるには、香港ドルを潰せばいい
- 中国からの撤退が日本企業の大きなテーマ
- ロシアに厳しく、膨張する中国に甘いアメリカ
- 親日フィリピンの防衛には日本の協力が欠かせない
- 中国に対抗するベトナムに日本は防衛技術を供与
- ASEANはカンボジア以外「反中国」で固まりつつある
第5章 インド、南米の巨大市場を狙うなら覚悟が必要
- 自国通貨が弱い南米はスペイン金融に牛耳られている
- 温暖な地域では、貯蓄性向が低く失業率が高くなる傾向がある
- モディ政権で大きく変わりつつあるインド
- 世界を席巻し始めた印僑ビジネスマンたち
- カースト制度を社会の中でうまく生かすインド
- リスクの大きいインドに進出するには覚悟が必要
第6章 世界経済を本当に支配しているのは誰か?
- イギリスがつくったルールが世界で生きている
- 国連の声明文や国際条約では、イギリス英語が使われる
- グローバリズムは英米に都合のいいルールの押しつけ
- ユダヤ陰謀論者は、ユダヤを過大評価している
- アメリカの雇用を支えているのは、実は日本企業
- アメリカの「新世界秩序」はすでに崩壊した
- 産油国で農業国のアメリカは落ちぶれても底力がある
- 冷戦終結で「仮想敵」がいなくなって、アメリカは弱体化
- 金融でロシアを追いつめるアメリカ
- 日本はアメリカとどう付き合うべきか
第7章 消費税増税を延期して、
日本の経済成長を確かなものとせよ
- ピケティは世界的な金持ち批判の時流に乗って出てきた
- 民主党政権がひどすぎて日本人は目覚めた
- 国民皆貧乏を招く「最小不幸社会」の悪夢は避けられた
- 雇用を生む日本企業が世界で感謝されている
- 株価二万円突破が景気の「気」を変える
- 人民元やルーブルの暴落があれば、消費税増税は見送り