
庶民パワーを生かせ!
「金融緩和で景気が回復する」、「財政健全化のために消費税の増税が必要」──多くの経済学者と官僚がそう主張してきた。だが、それらは全部ウソだった。実際、国の借金は減るどころか増えている。庶民の生活も円安と増税で苦しくなるばかりだ。しかし、それでも中長期的にみて明るい展望が持てるのは日本経済しかない。そのカギを握るのは、力強い日本の庶民パワーと鉄道網とともに発展した大都市圏だ。これからの経済だけではなく、政治、社会、外交、戦争と平和といった問題についても論じた著者渾身の1冊!
著者プロフィール
増田悦佐(ますだ・えつすけ)
株式会社ジパング経営戦略本部シニアアナリスト。
1949年、東京生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修了後、ジョンズ・ホプキンス大学大学院で歴史学・経済学の博士課程修了。ニューヨーク州立大学助教授を経て、外資系証券会社で、建設・住宅・不動産担当アナリストを務め、現在に至る。
著書に『城壁なき都市文明 日本の世紀が始まる』(NTT出版)、『戦争とインフレが終わり激変する世界経済と日本』(徳間書店)、『夢の国から悪夢の国へ:40年間続いたアメリカン・バブルの大崩壊』(東洋経済新報社)、『「景気は操作できる」と思っているエリートたちの大間違い』(PHP研究所)、『行きづまりの米国、崩壊に向かう中国、静かに滅びるEU、そして、生き残るのは日本だけ!』(ワック)など多数がある。
目次
- はじめに
第1章 中小企業と国民が苦しい日本経済の今
- 庶民が苦しいのだからマイナス成長は当然
- 円安になっても輸出が伸びない理由
- 商品やサービスの輸入に今までの一・五倍のカネが必要
- 雇用環境が好転したのは大学生が早く内定を取れただけ
- 日本を首切り自由で悲惨な米国型にしたがる学者たち
- 大手金融幹部の犯罪を大目に見るアメリカ
- NISAはアメリカの「自己責任」社会のマネ
- アメリカの司法は金融界の意に沿った判決を出す
- パナソニックもソニーも実は収益改善していない
- 「経常収支が赤字でもいい」は大間違い
- 「企業さえ儲かれば他はどうでもいい」と考えるアメリカの経済学者
- 企業利益率は下がるのが健全な姿
- 金融政策有効論者はフローとストックの区別を無視
- 法人税を減税しても企業の設備投資は増えない
- 消費税は財政健全化ではなく企業優遇のため
- 庶民の財布のヒモが緩めば自然に景気回復する
- 企業に内部留保税を課してカネを使わせろ
- デフレ時代には気にする必要のなかった日本国債格下げも今は要注意
- 無責任で放漫な金融政策は怖い
第2章 これからの世界は平和になり、
経済はサービス主体となる
- 中国の資源浪費バブルは終わり、資源不況の時代へ
- 世界は有史以来、平和な時代に突入している
- 大戦争は起こらないが、地域紛争はなくならない
- 人々はますますサービスにカネを使う
- サービス業化する経済にウォルマートも苦戦
- サービス産業で働く人の雇用安定化が課題
- 正規も非正規も時間当たりの賃金を同じにすべき
- 雇用を不安定にさせたいエコノミストたち
- 「グローバル化の時代だから低賃金でもしかたがない」は大ウソ
- 世界の消費に占めるサービス業の割合は高まる
第3章 日本の庶民パワーは世界一
- 日本ではイギリスよりも前に観光がビジネス化していた
- 昔から日本人には金銭的な約束を守る律義さがあった
- 細やかな心遣いのできる日本人はサービス業に向いている
- 江戸にも現代に負けない教育ママがいた
- 中年から習い事をはじめて定年後に教えれば、カネが循環する
- 世界でも珍しい日本の文化の広がり方
- 日本ほど伝統を生き生きと受け継いでいる国はない
- 日本の庶民パワーを妨げる役人たち
- コミケやコスプレなどもこれからの経済の大きな柱
第4章 世界で類のない発展をしている日本の大都市圏
- 日本で鉄道が発達し、ヨーロッパでは発達しなかったワケ
- 城壁の外の人間は野蛮人だと差別するヨーロッパの知識人
- 鉄道には自動車にはまねできない素晴らしい特徴がある
- 東京は巨大だが、くつろぎや安らぎが得られる都市
- クルマ社会はサービス化する経済に対応できない
- 安全な街が対面販売の強みにつながる
- アメリカの子供は自分を客観的に評価できない
第5章 アメリカは衰退し、東アジアの時代が来る
- 米露が八百長して国際緊張を演じても原油価格は下がる
- 金が値上がりも値下がりもしないときは世界が平和
- 大国が軍事衝突して世界戦争が起こることはまず考えられない
- 人民解放軍は陸戦が怖い
- 中国の資源浪費のせいで日本は大損していた
- 資源浪費バブルが終われば、中国の一党独裁は崩れる
- 反日の旗を振っても、日本製品を買う中国人たち
- 「利権は力で守る」がヨーロッパの発想
- アメリカは平和な経済活動に向いていない
- アメリカは他国に介入しても悪いと思っていない
- 郊外に逃げる富裕層、都市の残される貧困層
- アメリカでは郵便番号を聞くだけで生活水準がわかる
- アメリカ人は偏狭な宗教意識に縛られて非合理的
- やっぱり日本は暮らしやすい
- アメリカ人の露骨なユダヤびいきとイスラム嫌い
- キリスト教よりイスラム教に入信する人が多い
- かつてのローマ教会は税金をピンハネしていた
- 独占が当然の権利だと捉えるヨーロッパのエリート
- 江戸幕府は独占で儲けようとする連中には批判的だった
- 東南アジアは早いうちに社会基盤整備が必要
- 資源だけに頼る国家は衰退する
- 都市の有利さを自ら手放したアメリカ
- 戦争慣れしている欧米人、平和慣れしている東アジア人
- 奇跡的に城壁を持たなかった日本の都市の優位性は高まる
第6章 間違った成長戦略をただして、
日本の強みを生かせ
- デフレ・スパイラルは存在しない
- 国や大企業に阿ってインフレを賛美するエコノミストたち
- デフレの頃の日本では実質所得が上がっていた
- 生産力が上がれば、デフレ基調になるのは当たり前
- 米ドル建てだと日本のGDPは約二〇%も減少した
- 大手企業が儲かっても中小企業に恩恵はない
- 日本の輸出依存度はもともと低い
- 日本の多様な食文化も大きな輸出の柱になる
- 二〇二〇年東京オリンピックに景気浮揚効果はない
- 結婚や出産に政治や経済が関わるべきではない
- 人口が一億人を割っても日本経済は衰退しない
- 日本は外国人労働力を増やす必要はない
- 高齢者が長く働いても若年層の雇用機会は減らない
- 女性管理職の比率を人為的に高めるのは愚かな話
- 政府の地方振興策は連戦連敗
- 通産=経産官僚の三大誤謬
- アメリカのガリバー企業は日本の企業連合に敗れた
- 経産官僚は経済学のケの字も知らない
- 過疎化は政策で解決できることではない
- 日本の農業の発展を阻む愚かな規制
- 移動の自由があれば日本の農業の未来は明るい
終 章 それでも日本経済の未来は世界一明るい
- 賢い庶民はきっと政治の流れを変えるはず
- アメリカは自社株買いで株価を維持している
- なぜか危ないフランス国債を買う日本の機関投資家
- 今は日本国債が外国人に叩き売られる心配はない
- それでも中長期的に明るい展望があるのは日本だけ
- おわりに