最後に残された選択
この中国は今一体どうなっていて、今後は一体どうなっていくのだろうか。
私たちは、各方面における中国の現状に対する徹底的な分析を行った上、今後数年の中国の行方をいくつかのシナリオから検証し、近未来の中国の来るべき変化を予測しようとした。
著者プロフィール
石 平(せき・へい)
評論家。1962年、中国四川省成都生まれ。北京大学哲学部卒業。四川大学哲学部講師を経て、1988年に来日。1995年、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関に勤務ののち、評論活動へ。2007年、日本に帰化する。『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』(PHP新書)で、第23回山本七平賞受賞。近著に、『習近平にはなぜもう100%未来がないのか』(徳間書店)、『暴走を始めた中国2億6000万人の現代流民』(講談社)、『私たちの予測した通り、いよいよ自壊する中国!』(ワック)など多数がある。
村上 政俊(むらかみ・まさとし)
皇學館大学非常勤講師、同志社大学嘱託講師、桜美林大学客員研究員。1983年、大阪市生まれ。東京大学法学部卒業。2008年4月外務省入省。国際情報統括官組織、在中国日本国大使館外交官補(北京大学国際関係学院留学)勤務で、中国情勢分析や日中韓首脳会議に携わる。2012年12月~2014年11月衆議院議員。中央大学大学院客員教授を経て現職。
目次
プロローグ 北京駐在の二年間で中国全省を見て回った
第1章 李克強首相は中国経済の現実を知っていた
- 中国経済の実情を「李克強指数」で捉えると
- 「金余り」の中国で個人消費が不足する理由
- 日本と中国の高度経済成長は基本からして違う
- 私有財産を保障しない中国には「安心感」がない
- 頭で分かっていても、中国には「できないもの」がある
- 本当の資本主義経済をつくるために「二つの壁」を破らなければならない
- 高度成長で自転車操業できる幸せな時代は終わった
第2章 人の絆が切り離された中国社会に明日はあるのか
- 今の中国には十の社会階層がある
- 共産党中心の中国は経済人の評価が低い
- 中国の大スターは権力を正当化する部品に過ぎない
- 治安維持にかかる費用は、国防費を越えている
- 都市部で暴動を起こす主役は農民工だ
- 「横のつながり」を脅威とする共産党こそが不安定化の病根
- インターネットは社会を爆発させる道具になるのか
第3章 「皇帝」習近平が抱える悪循環のジレンマ
- 貧乏くじを引いた習近平
- 共産党は「新しい毛沢東」を必要としている
- 腐敗摘発が生んだ共産党幹部たちの死活問題
- 習近平についていく子分はいなくなる?
- 「命懸けの権力闘争」というパンドラの箱は開けられた
- 習近平と胡錦濤派の全面戦争が始まる
第4章 中国の対外膨張は絶対に止まらない
- 「尖閣問題」は胡錦濤政権の末期に仕掛けられた
- 尖閣諸島の国有化はタイミングが悪かった
- 冷戦後の中国が採った戦略は「多極化」
- 習近平は「韜光養晦」戦略を早く捨てすぎた
- 「われわれはもう一度アジアを支配する」と世界に宣言したに等しい
- 中国とロシアはいずれ必ず対立する
- ジンギスカンの偉業は中華民族の栄光?
- 尖閣は島自体の価値ではなく、地政学的な価値が大きい
- アメリカはどんなことがあっても、アジアを失うつもりはない
- 習近平よ、どれだけ多くの国と喧嘩をするつもりか
- 台湾をTPPに加盟させるべき
- 中国はソ連と同じ道を歩むのか
第5章 二〇一六年、中国に残された最後の選択
- 第一のシナリオ「中国が経済と社会の改革に成功する」
- 第二のシナリオ「中国経済がソフトランディングする」
- 第三のシナリオ「一か八かで限定戦争を仕掛ける」
- 「尖閣戦争」にアメリカは参戦するのか
- 第四のシナリオ「共産主義青年団が権力を奪取する」
- 習近平のやった軍再編は、胡錦濤の人事を潰すのが目的
- 第五のシナリオ「習近平が権力を手放さない」
- 中国は静かに衰退して下さい