「直感」が人を裁く時代

井上薫(弁護士・元裁判官) 著
定 価:
本体886円+税
判 型:
新書版
ページ数:
236ページ
ISBN:
9784898316184
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「シロウト集団」が裁く恐怖!
元裁判官が指摘する制度の致命的欠陥!

平成21年5月にスタートした裁判員制度。すでにいくつもの判決が下されているが、国民はいまだ「裁判員は、本当に裁判ができるのだろうか?」という不安を拭いきれていない。この疑問に、元裁判官が丁寧にわかりやすく答えたのが本書。裁判員制度が、なぜ「法律に基づく裁判ができないシステム」にならざるを得ないのか、真正面から喝破する。

著者プロフィール

井上薫(いのうえ・かおる)
弁護士。1954年、東京生まれ。東京大学理学部化学科卒、同修士課程修了。判事補、判事を経て2006年、横浜地裁判事を最後に退官。裁判官時代に「蛇足判決理論」を唱え、裁判の合理化を追求した異色の存在。2007年、弁護士登録(東京弁護士会)。著書に『平気で冤罪をつくる人たち』(PHP新書)『巨利を生む蛇足判決理論』(クリピュア新書)『裁判官が見た光市母子殺害事件』(文藝春秋)『つぶせ!裁判員制度』(新潮新書)『激突!裁判員制度』(共著、ワック出版)などがある。

目次

第1章 裁判員は裁判できるか?
「裁判員制度」とは?
有権者の中からくじで選ぶ
法律の素人が裁判する
刑事事件にのみ導入される
裁判員への罰
世論調査にみる国民の不安
マスコミは国民の疑問に答えていない
法廷での審理に列席
事実認定、法令の適用、刑の量定
第2章 裁判員は「事実認定」できるのか?
「主張」と「証拠」の区別
「公訴事実」とは?
「間接事実」と「補助事実」の積み重ね
裁判員には、心証形成の自由が認められている
日常生活での事実認定
宗教による事実認定もありうる
姓名判断で子供の名を変更する親
なぜ振り込め詐欺にあってしまうのか
法廷の「事実認定」は非日常的
まじめな人ほどワイドショーで「予習」
裁判官はなぜワイドショーに影響されないか?
「司法試験」によるふるいと「司法修習」という訓練
裁判での事実認定は「特殊」
最高裁による「知らない振り」
事実認定のためには法律の素養が必要だ!
第3章 裁判員は「法令の適用」ができるのか?
「法令」とは何だ?
法令がいくつあるのか、裁判官もわからない
法令の適用とは何だ?
「正当防衛」かどうかの認定もある
法定刑より重くしたり軽くしたりするケース
「処断刑」があってはじめて「刑の量定」ができる
一人に二つの死刑もありうる
裁判官も間違いやすい
法令を知らずしてどうやって「法令を適用」するのか?
「法令の適用」があることを言わない最高裁
法令の適用のためにも法律の素養が必要だ!
第4章 裁判員は「刑の量定」ができるのか?
獄門や遠島もあるんですか?
法定刑の範囲が広すぎて、決められない?
良心的死刑拒否は認められますか?
付加刑もあるよ?
「保護法益」を考え、刑を量定せよ
放火の例で考えてみると……
強盗罪が成立するための「暴行」とは?
「暴行」の程度によって、刑は雲泥の差に
「刑の量定」に迷うときは?
「量刑表」の是非
量刑表は裁判員を誘導してしまう
刑の量定のためにも法律の素養が必要だ!
第5章 裁判員の「独立」が意味するもの
「裁判員の独立」って何だ?
裁判官に「上司」はいない
「裁判官の独立」がなぜ理解しにくいか
「孤立」に耐えられず辞める人も
独立して判断できるだけの法的知識はあるか
裁判官になるための関門
矛盾している最高裁の説明
裁判員は「飾り物」?
陪審員制度とは〝月とすっぽん〟
「独立」を文字どおり実行すると……
「法律知識がなくても心配ない」は噓
裁判員は「直感」で人を裁くしかない
第1章 裁判員は裁判できるか?
  • 「裁判員制度」とは?
  • 有権者の中からくじで選ぶ
  • 法律の素人が裁判する
  • 刑事事件にのみ導入される
  • 裁判員への罰
  • 世論調査にみる国民の不安
  • マスコミは国民の疑問に答えていない
  • 法廷での審理に列席
  • 事実認定、法令の適用、刑の量定
第2章 裁判員は「事実認定」できるのか?
  • 「主張」と「証拠」の区別
  • 「公訴事実」とは?
  • 「間接事実」と「補助事実」の積み重ね
  • 裁判員には、心証形成の自由が認められている
  • 日常生活での事実認定
  • 宗教による事実認定もありうる
  • 姓名判断で子供の名を変更する親
  • なぜ振り込め詐欺にあってしまうのか
  • 法廷の「事実認定」は非日常的
  • まじめな人ほどワイドショーで「予習」
  • 裁判官はなぜワイドショーに影響されないか?
  • 「司法試験」によるふるいと「司法修習」という訓練
  • 裁判での事実認定は「特殊」
  • 最高裁による「知らない振り」
  • 事実認定のためには法律の素養が必要だ!
第3章 裁判員は「法令の適用」ができるのか?
  • 「法令」とは何だ?
  • 法令がいくつあるのか、裁判官もわからない
  • 法令の適用とは何だ?
  • 「正当防衛」かどうかの認定もある
  • 法定刑より重くしたり軽くしたりするケース
  • 「処断刑」があってはじめて「刑の量定」ができる
  • 一人に二つの死刑もありうる
  • 裁判官も間違いやすい
  • 法令を知らずしてどうやって「法令を適用」するのか?
  • 「法令の適用」があることを言わない最高裁
  • 法令の適用のためにも法律の素養が必要だ!
第4章 裁判員は「刑の量定」ができるのか?
  • 獄門や遠島もあるんですか?
  • 法定刑の範囲が広すぎて、決められない?
  • 良心的死刑拒否は認められますか?
  • 付加刑もあるよ?
  • 「保護法益」を考え、刑を量定せよ
  • 放火の例で考えてみると……
  • 強盗罪が成立するための「暴行」とは?
  • 「暴行」の程度によって、刑は雲泥の差に
  • 「刑の量定」に迷うときは?
  • 「量刑表」の是非
  • 量刑表は裁判員を誘導してしまう
  • 刑の量定のためにも法律の素養が必要だ!
第5章 裁判員の「独立」が意味するもの
  • 「裁判員の独立」って何だ?
  • 裁判官に「上司」はいない
  • 「裁判官の独立」がなぜ理解しにくいか
  • 「孤立」に耐えられず辞める人も
  • 独立して判断できるだけの法的知識はあるか
  • 裁判官になるための関門
  • 矛盾している最高裁の説明
  • 裁判員は「飾り物」?
  • 陪審員制度とは〝月とすっぽん〟
  • 「独立」を文字どおり実行すると……
  • 「法律知識がなくても心配ない」は噓
  • 裁判員は「直感」で人を裁くしかない
第6章 あなたの回答はいかがですか?
これまでの説明をまとめると
「裁判員は裁判できるか?」への回答
主文(結論)を決めることだけならできる
「法律に基づく裁判」ができないシステム
安易な現状肯定ではない
第7章 基準なき裁判がもたらすもの
「法律」は、知ってはじめて拘束される
「山勘裁判」には責任者がいない
あなたが冤罪の殺人罪で起訴されたら?
あなたの人権は風前の灯火
憲法にみる刑事被告人の権利
被告人に拒否権はない
すべてのしわ寄せは被告人へ
被告人の無罪を望まない裁判員も?
裁判官にはないのに裁判員にある〝罰則〟
裁判員の守秘義務は〝口封じ〟?
「法律に基づく」裁判だったのか、検証されない
コントロール不能となる司法
法適用のゆるみは、国家統治のゆるみに
裁判員制度の根幹に問題
第8章 裁判員制度で「知る権利」はどうなるか?
「誰でもよかった」が報道されなくなる
「自主規制するのは当然」と最高裁
七つの要望の中身
報道機関の自主規制は〝代償〟
秋葉原事件で考えると、こんなに規制が
六人のために、一億二千万人が情報を得られない
これまで報道規制はなぜ必要なかったか?
「裁判員は事実認定ができない」と言っているようなもの
最高裁は故意に噓を喧伝している
報道機関はどちらの選択肢を採るか
第9章 裁判員制度は間違いだ
こんなに重大な問題点になぜ触れない?
国民の知る権利に奉仕していないマスコミ
正しい裁判がなされてこそ、国が治まる
裁判は「火災保険」のようなもの
試してみて、死刑になった被告人はどうするの?
国民の健全な社会常識の勝利
「裁判員制度は間違いだ」と口に出すこと
第6章 あなたの回答はいかがですか?
  • これまでの説明をまとめると
  • 「裁判員は裁判できるか?」への回答
  • 主文(結論)を決めることだけならできる
  • 「法律に基づく裁判」ができないシステム
  • 安易な現状肯定ではない
第7章 基準なき裁判がもたらすもの
  • 「法律」は、知ってはじめて拘束される
  • 「山勘裁判」には責任者がいない
  • あなたが冤罪の殺人罪で起訴されたら?
  • あなたの人権は風前の灯火
  • 憲法にみる刑事被告人の権利
  • 被告人に拒否権はない
  • すべてのしわ寄せは被告人へ
  • 被告人の無罪を望まない裁判員も?
  • 裁判官にはないのに裁判員にある〝罰則〟
  • 裁判員の守秘義務は〝口封じ〟?
  • 「法律に基づく」裁判だったのか、検証されない
  • コントロール不能となる司法
  • 法適用のゆるみは、国家統治のゆるみに
  • 裁判員制度の根幹に問題
第8章 裁判員制度で「知る権利」はどうなるか?
  • 「誰でもよかった」が報道されなくなる
  • 「自主規制するのは当然」と最高裁
  • 七つの要望の中身
  • 報道機関の自主規制は〝代償〟
  • 秋葉原事件で考えると、こんなに規制が
  • 六人のために、一億二千万人が情報を得られない
  • これまで報道規制はなぜ必要なかったか?
  • 「裁判員は事実認定ができない」と言っているようなもの
  • 最高裁は故意に噓を喧伝している
  • 報道機関はどちらの選択肢を採るか
第9章 裁判員制度は間違いだ
  • こんなに重大な問題点になぜ触れない?
  • 国民の知る権利に奉仕していないマスコミ
  • 正しい裁判がなされてこそ、国が治まる
  • 裁判は「火災保険」のようなもの
  • 試してみて、死刑になった被告人はどうするの?
  • 国民の健全な社会常識の勝利
  • 「裁判員制度は間違いだ」と口に出すこと
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