李登輝は、アジアではなく「世界の」哲人だ!
李登輝の行動と思想を支えてきた心と精神の世界とは!
李登輝の行動と思想を支えてきた心と精神の世界とは!
李登輝が台湾だけでなく近現代史に果たしてきた歴史的な役割について、後世はどう学ぶべきか。それには、彼の目に見える国家元首としての言動以外に、目に見えない心の世界を語らなければならない。本書は、李登輝の死生観から歴史観までを、複眼的な視野に立って探ったものである。中国に屈することなく、「新台湾人」のアイデンティティを確立し、日本の文化・精神を知り尽くした李登輝氏に、「この本で私の頭の中が裸にされてしまったようで、いささか面映い」と言わしめる、哲人政治家のすべて!
著者プロフィール
黄文雄(こう・ぶんゆう)
文明史家、評論家。1938年、台湾生まれ。1964年来日、早稲田大学商学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。『中国之没落』(台湾、1991年)が大反響を呼んで以来、旺盛な執筆・評論活動を展開している。巫福文明評論賞、台湾ペンクラブ賞を受賞。著書に『捏造された昭和史』『韓国は日本人がつくった』『近代中国は日本がつくった』『満州国は日本の植民地ではなかった』『日中戦争は侵略ではなかった』『台湾は日本の植民地ではなかった』『それでも中国は崩壊する 改訂版』『戦争の歴史・日本と中国』『森から生まれた日本の文明』『これからの中国は、こうなる!』『それでも、中国は日本を越えることができない!』(以上、ワック)『日本を呪縛する「反日」歴史認識の大噓』『日本支配を狙って自滅する中国』『日本人はなぜ世界から尊敬され続けるのか』(徳間書店)など多数。
目次
第一章 我- 強すぎる自我と苦闘した青年時代
- 「なぜ私は李登輝なのか」を問い続ける
- 観音山上で天命を知る
- 一家一族が権利を独占する中国社会
- 「私ではない私」に目覚めた男が見出した人生の意義
- 「化外の民」「近代化」「白色テロ」
- 台湾人とは何か
- 法治社会だった時代の台湾
- ゆがめられた李登輝像
- 信仰を持つことで心の弱さを理解できる
- なぜ『奥の細道』をたどったのか
- 日本は「死生観」、中国では「生死観」
- 台湾人に衝撃を与え日本の救援隊
- 「生の始めに暗く、死の終わりに冥し」
- 中国には閻魔さまが十人以上いる
- 台湾人が受け継ぐ「拚命」という決死の精神
- 李登輝がアンチテーゼを出す理由
- 世俗化がすすんだ台湾は迷信も多い
- 「永遠の肯定」との出会いが李登輝の人生を変えた
- 「その人が何を言ったかではなく、何をやったかで評価する」
- 「台湾人として生まれた悲しみ」から「台湾人として生まれた幸せ」へ
- 立体観が欠落している中国の世界観
- 日本は念仏平和主義を捨てて現実と向き合わねばならない
- 第二次大戦後、大きく運命が分かれた台湾とスリランカ
- 「時代の断絶」に台湾の大きな特質がある
- 司馬遼太郎との対談は台湾史の一大事件だった
- 台湾はとにかくモーセのように出発した
- 台湾という場で「純粋経験」を実践してきた
- 西田幾多郎の「絶対無の場所」理論
- 総統としての「台湾経験」で何を果たしたのか
- 台湾という場において共生は可能か
- 「台湾問題」を三つの次元で考える
- 日本と台湾がそれぞれに直面する「現代の超克」
- 中国が台湾を手放さない理由
- 人間中心主義と自然主義
- 中華思想の束縛から脱却しなければならない
- 空海の『十住心論』から台湾を読む
- 「李登輝情結」から「心の革命」へ
- 「台湾問題」のパラダイム
- 総統退任後の李登輝
- 「主としてどのように振る舞うか」
- 李登輝の歴史観と国家観
- 出会った相手によって国家の運命は変わる
- 師と仰いだのは後藤新平
- 「船中八策」に基づいた李登輝のメッセージ
- 『「武士道」解題』で何を訴えたのか
- まだ日本人の美徳は失われていない
- 「台湾が正常な国家になったら、私の任務は終わる」
- 「新中原文化」とは台湾独自の文化
- 千島湖事件と「土匪国家」
- 台湾にある二つのナショナリズムを統合する
- 文明の未来を台湾に期待した司馬遼太郎
- 李登輝はアジアの哲人ではなく、世界的哲人だ