零戦は大日本帝国の運命そのもの!
零戦開発者の堀越二郎はもうこの世にはなく、また、零戦に乗って戦い続けた人たちも多くは鬼籍に入っている。それにもかかわらず、零戦にまつわる映画や書籍が国民の注目を集めている。これほどまでに零戦が愛されている理由はどこにあるのか。零戦は日本人の優秀性を示す何よりの証拠であり、国民は口にこそ出さないものの、潜在的にその事実を感じている。「民族の誇りの結晶」であるからこそ、日本人は零戦を愛し続けているのである。
著者プロフィール
三野正洋(みの・まさひろ)
1942年、千葉県生まれ。日本大学卒業後、大手造船会社機関開発部を経て日本大学生産工学部准教授。現在は退職し、著述および知的財産の開発に従事。
著書には、『日本軍の小失敗の研究』(光人社)、『改善のススメ』(新潮社)、『坂井三郎と零戦』(PHP新書)、『イラスト大空のサムライ』『プロジェクト ゼロ戦』(ワック)など多数。
目次
まえがきに代えて- 平成の時代に到来した“零戦イヤー”
- 零戦は日本人の優秀さを示す
- 一万機以上生産された戦闘機
- 零戦が海外で人気がある理由
- 零戦の〝生涯〟と大日本帝国の盛衰
- 軍部の要求は「ないものねだり」
- 若き開発者にのしかかる重責
- 一騎当千の若い技術者を集めた“堀越チーム”
- 堀越を悩ませた軍内部の対立
- 逆転の発想が「万能戦闘機」を生んだ
- 「ZERO」と「SHINKANSEN」
- 新しい切り口で分析する零戦の長所と短所
- 実戦における零戦の光と影
- 零戦が勝利できた最大の要因とは?
- 忘れられた事実と繰り返される失敗
- 日本海軍は自ら望んで不利な戦いを選択した
- 戦術を変えるだけで強敵に対抗できる
- 日本人にとって「はかなく美しく咲いた戦闘機」
- 圧倒的勝利を収めたデビュー戦
- ポート・モレスビーへの殴りこみ攻撃
- 長大な航続力が零戦最大の敵になった
- 最後の大勝利はラバウル迎撃戦
- ギルバート島上空の空中戦
- マリアナ沖の悲劇
- 歴史の「イフ」を楽しむ
- 輸送はトルコ経由でドイツへ
- “英国の戦い”を再開する
- ここでも高性能が仇になる
- 零戦一機の製造にどれだけの労力が必要か
- 曲線の零戦、直線の米軍機
- くろがね四起とジープ
- 世界最先端の技術と牛車のギャップ
- 見過ごされた零戦隊の大失敗
- 技術者らしい技術者だった堀越二郎
- 設計哲学は「欧米に負けない戦闘機をつくる」
- 「搭乗員が扱いやすい戦闘機」を目指す
- 経験の浅い操縦士を助ける構造
- 不可能を可能にする原動力は純粋な「技術者魂」
- デビューから最終型までほぼ同じ戦闘機だった零戦
- 後継機“烈風”への評価