硫黄島の死闘が変えた戦後!
歴史に学ばない日本人へ!──日本人が忘れてはならない島・硫黄島。大東亜戦争末期に起こったこの戦闘で、日本軍があまりにも強いのを見て、アメリカはこんな強敵と戦争するのはもうごめんだと考えた。そしてこの戦闘のおかげで、戦後の日本は米軍をほとんど無償で使うことができた。しかし、アメリカ人が硫黄島から多くを学んでいるのに対し、日本では硫黄島の存在すら忘れている。硫黄島の死闘から教訓を得て、今日に生かさなければ、それこそ栗林中将以下、守備隊二万人の死は無駄になってしまう──小室直樹が日本人に警鐘を発する待望の書き下ろし単行本!
著者プロフィール
小室直樹(こむろ・なおき)
政治学者、経済学者。1932年東京生まれ。京都大学理学部数学科卒業。大阪大学大学院経済学研究科、東京大学大学院法学政治学研究科修了。東京大学法学博士。この間、フルブライト留学生としてアメリカに留学し、ミシガン大学大学院でスーツ博士に計量経済学を、マサチューセッツ工科大学大学院でサムエルソン博士(1970年ノーベル賞)とソロー博士(1987年ノーベル賞)に理論経済学を、ハーバード大学大学院ではアロー博士(1972年ノーベル賞)とクープマンス博士(1975年ノーベル賞)に理論経済学を、スキナー博士に心理学を、パースンズ博士に社会学を、ホマンズ教授に社会心理学を学ぶ。著書に、『危機の構造』『経済学をめぐる巨匠たち』(以上、ダイヤモンド社)、『ソビエト帝国の崩壊』『韓国の悲劇』『国民のための経済原論Ⅰ・Ⅱ』(以上、光文社)、『「天皇」の原理』(文藝春秋)、『小室直樹の資本主義原論』『日本人のための経済原論』『数学嫌いな人のための数学』『論理の方法』(以上、東洋経済新報社)、『日本の敗因』(講談社)、『小室直樹の中国原論』『日本人のための宗教原論』(以上、徳間書店)、『資本主義のための革新』(日経BP社)、『痛快!憲法学』『日本人のためのイスラム原論』『日本国憲法の問題点』(以上、集英社インターナショナル)、『数学を使わない数学の講義』『日本国民に告ぐ』(以上、ワック出版)その他多数。
目次
- 火星人と日本人
- 真珠湾奇襲成功に対する日米の反応
- ミッドウェー海戦における惨敗
- アメリカ軍の反攻
- 戦局を変えたマリアナ沖海戦の「アウトレンジ戦法」
- 栗林忠道中将、硫黄島に進出
- 孤立する硫黄島
- 栗林師団長の要請
- 全員地下に潜るべし
- 奇蹟の地下壕
- 一人十殺
- トーチカと化したバロン西の戦車隊
- 五日もあれば硫黄島は落とせる
- 師団長の作戦を狂わせた海軍の発砲
- 三日でノルマンディー上陸作戦の死傷者数を上回る
- 徐々に北に追い詰められていった日本軍
- 「想像もつかない生き地獄」
- 栗林師団長、なおも戦闘継続中なり
- 「類稀なる勇気こそが一般的な美徳であった」
- 九州に上陸したら死傷者二六〇万人はでるだろう
- 日本に有利になったポツダム宣言
- 原爆のせいで日本には名目がたった
- 神風は戦後に吹いた
- 硫黄島は日本経済の神様
- 右翼も左翼も不勉強
- 兵器は使うだけが能じゃない
- 太平洋よりインドとアフリカだった
- 栗林中将に大勲位菊花章頸飾を
- 真珠湾奇襲を知らなかった東条英機
- 「生死事大」
- 空閑少佐の自刃
- ソ連参戦を呼び込んだ硫黄島の闘い
- 戦争の幕を下ろした鈴木貫太郎首相
- 「勝者なき死闘」がよんだ戦後の復興
- 投降した二人にみる近代軍
- 財閥解体と地代の引き下げが生んだ日本統治
- アッツ島と硫黄島の玉砕の違い
- 日本社会を動かす「共同体」
- 栗林忠道/永田鉄山/市丸利之助/山口多聞/西竹一/南雲忠一/坂井三郎/千田貞季/チェスター・ニミッツ/レイモンド・スプルーアンス/ホーランド・M・スミス