「日本人の根性」を
いま見直せ!
いま見直せ!
日本人全体の過去・現在を通じて、われわれはどういう精神構造を形づくってきたのか。考え方あるいはビヘイビア(行為)についてどんな特質があるのか。それを一生懸命観察したいというのが私の願いである。要は、人間性を見抜き、改めるべきは改め、伸ばすべきは伸ばすことであろう──政治、宗教、文化など、あらゆる面から縦横無尽に日本の歴史を俯瞰し、日本人のあるべき「かたち」をここに示す。劣等感をバネにしてきた日本人の歴史を繙く!
著者プロフィール
谷沢永一(たにざわ・えいいち)
関西大学名誉教授。昭和4年、大阪市生まれ。関西大学大学院博士課程修了。専門は日本近代文学、書誌学。社会評論にも幅広く活躍。サントリー学藝賞、大阪市民表彰文化功労、大阪文化賞、2004年には『文豪たちの大喧嘩─鷗外・逍遥・樗牛』(新潮社)で読売文学賞受賞。著書に、『完本・紙つぶて』(文藝春秋)、『百言百話』(中公新書)、『回想 開高健』『雑書放蕩記』(以上、新潮社)、『日本近代文学研叢』全五巻(和泉書院)、『書物耽溺』(講談社)、『人間通』(新潮文庫)、『聖徳太子はいなかった』(新潮新書)、『嫉妬する人、される人』(幻冬舎)、『歴史通』『名上司』(ワック出版)ほか多数。
目次
第1章 進歩は劣等感の産物である- 「未然形の劣等感」とは何か
- 中華の民はわが友にあらず
- 韓国の「小中華」主義
- 謙遜の文化
- 日本人が日本人でなかった時代
- 『日本書紀』に見る「未然形の劣等感」
- 儒教に見る「日本型発展原理」
- 佛教に見る「日本文化の包容力」
- 本地垂迹説の発明
- 空海の風景
- 切磋琢磨する精神
- 日本人が完成させた佛教の「美」
- 法然上人の先進性
- 親鸞そして一遍の「救い」
- 大津皇子の悲劇をめぐって(飛鳥時代)
- 日本文化の二重構造(奈良時代)
- 具体的で人間的なものを志向する文化(平安時代)
- 日本人と「棲み分け理論」(鎌倉時代)
- 日本文化の源流となった室町文化(室町時代)
- 二百六十年の統治を支えた智恵(江戸時代)
- 日本人のリアリズム
- 日本人の気概
- リアリズムの消失
- イデオロギーに絡めとられた面々
- イデオロギーの二重構造
- 雑誌「世界」と津田左右吉論文
- 外交の原則は「噓八百」
- イデオロギー信仰は明治にはじまる
- マルクス主義イデオロギーの破綻
- 世界共産主義の末路
- 日本の左翼は安楽椅子革命家
- 戦後ジャーナリズム瞥見
- 戦後論壇の「八百長時代」
- 戦後の怪しい文化人たち
- 心眼を開き大道を見よ
- 日本人の学歴信仰
- 渋沢栄一の後継者が出なかった
- 「刀」と「ペン」
- 日本の恥辱をつくった無責任体制
- 一個の「暗愚」が官僚統制を強化した
- 源泉徴収は悪魔の智恵
- 人の外に道無し