組織の興亡 日本陸軍の教訓

日下公人(評論家)/三野正洋(作家) 著
定 価:
本体1600円+税
判 型:
四六版上製
ページ数:
304ページ
ISBN:
9784898310151
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現在に当てはめて考えよ!

日本人がつくった最大にして最強の組織、帝国陸軍がもたらした功罪とそれが生まれ育った国民的風土から2人の偉才が教訓を導き出す。

著者プロフィール

日下公人(くさか・きみんど)
評論家。日本財団特別顧問。三谷産業監査役。原子力安全システム研究所最高顧問。1930年、兵庫県生まれ。東京大学経済学部卒業。日本長期信用銀行取締役、㈳ソフト化経済センター理事長を経て、東京財団会長を務める。ソフト化・サービス化の時代をいち早く先見し、日本経済の名ナビゲーターとして活躍。未来予測の正確なことには定評がある。著書に『アメリカはどれほどひどい国か』(PHP研究所)、『日本人の「覚悟」』(祥伝社)、『2009年の日本はこうなる』『つくられた「環境問題」』(ワック)など、多数。

三野正洋(みの・まさひろ)
1942年、千葉県生まれ。前日本大学准教授。戦史、戦略戦術論、兵器の比較研究に独自の領域を拓いて知られる軍事・現代史研究の碩学。著書に、現代戦争史シリーズ『日中戦争』同『アフガニスタン戦争』(以上、光人社)、『図解 これならわかる! 太平洋戦争』(PHP研究所)、『湾岸戦争 勝者の誤算』『危機管理術』『戦艦大和の真実』『指揮官の決断』『図解 日本軍の小失敗の研究』(以上、ワック出版)など多数ある。

目次

プロローグ
陸軍は最大・最強の組織
陸軍という組織の概要
膨張率は八年で一七倍
Ⅰ 陸軍の時代
第1章 時局の見極め──満州事変
冷静にみる 満州建国
満州国建国の理屈は通っている
満州人は傀儡政権とは思っていない
蔣介石夫人の世論操作
満州で陸軍は満足しなかったのか
石原莞爾を処罰しなかったツケ
仮想敵国を間違えた
日本の外交の失敗
現在に当てはめて考えよ
第2章 歪んだ〝維新〟──二・二六事件
軍部暴走は軍人の自負による
高度国防国家の建設
皇道派と統制派
青年将校はなぜ軍縮を求めなかったか
軍国主義を育成した「市場支配」
二・二六事件は階級闘争
戦争をけなす新聞は売れない
〝昭和維新〟のはけ口
第3章 意志決定なき拡大──日中戦争
毎年「ベトナム戦争」をやっていた
不拡大方針は「総論賛成、各論反対」
日中戦争を傍観していた海軍
日本は民主主義でも独裁主義でもなかった
勝っても国家を滅ぼしかねなかった
「やめよう」は貧乏くじ
日中戦争は賭博
「攻勢終末点」は終わってからわかる
理解できない戦線の拡大
目的は「継戦意志の破砕」
第4章 指導できない作戦エリート──陸軍の教育
指導者層の気質
「もう一撃」
「押せ押せ」だけの教育
学業成績と実務能力の相関
成績社会は情実社会の反動
陸大入試の禅問答
「ジェネラル」を育てなかった陸大
成果で評価すべきだ
常識と教養の欠けた将官
幼年学校閥の功罪
アメリカの方が軍国主義
日本の学生は軍人を志願しなかった
欧化の一つが軍国主義
第5章 教訓を残さぬ精神論──ノモンハン事変
意味のない戦い
辻政信を放置した体質
軍の私物化
戦争に関しては柔軟なロシア
地上戦は日本の勝ち
ソ連は「軍事力あっての国家」
ノモンハン大敗の原因
ピストル自殺の強要
精神主義を代表した辻政信
辻政信だけの責任か
圧迫管理しかできない無能な上司
第一次大戦を学ばなかった
第6章 目的なき組織の帰趨──太平洋戦争
対米戦は海軍の手伝い
演習に終わった関特演
国力の認識に欠けた
「国家総力」で対ソ戦に備えた
戦闘力を過大評価した緒戦
マッカーサーは宣伝上手
男子一生の進退のヒント
手を広げすぎた日本陸軍
海軍の失敗の影響
日本陸軍の快勝譜
プロローグ
  • 陸軍は最大・最強の組織
  • 陸軍という組織の概要
  • 膨張率は八年で一七倍
Ⅰ 陸軍の時代
第1章 時局の見極め──満州事変
  • 冷静にみる 満州建国
  • 満州国建国の理屈は通っている
  • 満州人は傀儡政権とは思っていない
  • 蔣介石夫人の世論操作
  • 満州で陸軍は満足しなかったのか
  • 石原莞爾を処罰しなかったツケ
  • 仮想敵国を間違えた
  • 日本の外交の失敗
  • 現在に当てはめて考えよ
第2章 歪んだ〝維新〟──二・二六事件
  • 軍部暴走は軍人の自負による
  • 高度国防国家の建設
  • 皇道派と統制派
  • 青年将校はなぜ軍縮を求めなかったか
  • 軍国主義を育成した「市場支配」
  • 二・二六事件は階級闘争
  • 戦争をけなす新聞は売れない
  • 〝昭和維新〟のはけ口
第3章 意志決定なき拡大──日中戦争
  • 毎年「ベトナム戦争」をやっていた
  • 不拡大方針は「総論賛成、各論反対」
  • 日中戦争を傍観していた海軍
  • 日本は民主主義でも独裁主義でもなかった
  • 勝っても国家を滅ぼしかねなかった
  • 「やめよう」は貧乏くじ
  • 日中戦争は賭博
  • 「攻勢終末点」は終わってからわかる
  • 理解できない戦線の拡大
  • 目的は「継戦意志の破砕」
第4章 指導できない作戦エリート──陸軍の教育
  • 指導者層の気質
  • 「もう一撃」
  • 「押せ押せ」だけの教育
  • 学業成績と実務能力の相関
  • 成績社会は情実社会の反動
  • 陸大入試の禅問答
  • 「ジェネラル」を育てなかった陸大
  • 成果で評価すべきだ
  • 常識と教養の欠けた将官
  • 幼年学校閥の功罪
  • アメリカの方が軍国主義
  • 日本の学生は軍人を志願しなかった
  • 欧化の一つが軍国主義
第5章 教訓を残さぬ精神論──ノモンハン事変
  • 意味のない戦い
  • 辻政信を放置した体質
  • 軍の私物化
  • 戦争に関しては柔軟なロシア
  • 地上戦は日本の勝ち
  • ソ連は「軍事力あっての国家」
  • ノモンハン大敗の原因
  • ピストル自殺の強要
  • 精神主義を代表した辻政信
  • 辻政信だけの責任か
  • 圧迫管理しかできない無能な上司
  • 第一次大戦を学ばなかった
第6章 目的なき組織の帰趨──太平洋戦争
  • 対米戦は海軍の手伝い
  • 演習に終わった関特演
  • 国力の認識に欠けた
  • 「国家総力」で対ソ戦に備えた
  • 戦闘力を過大評価した緒戦
  • マッカーサーは宣伝上手
  • 男子一生の進退のヒント
  • 手を広げすぎた日本陸軍
  • 海軍の失敗の影響
  • 日本陸軍の快勝譜
Ⅱ 組織の本質
第7章 決戦思想の組織と結果
戦争は報復が重なってエスカレートする
勇ましい文章だけの『作戦要務令』
「白兵戦術」と「人海戦術」
具体論で考えるのが上層部の仕事
「金剛力」も使いよう
死傷者を減らす工夫がない
平和のあとにはまた戦争
バンザイ突撃の無謀
特殊部隊の必要性
工兵を軽視する決戦思想
ただただ歩いて終わるのが戦争
防御戦闘に強かった日本陸軍
日本陸軍の連隊は最強の組織
戦陣訓は組織の衰退を意味する
最後の最後まで志気を保った
蔣介石を感動させた
第8章 兵器の評価法と採用基準
昭和陸軍の兵器は第一次大戦前のレベル
宇垣軍縮がなかったら
日本陸軍は一・五流
島田戦車隊の戦法
予測できない戦争の現実
上層部の怠慢の典型例
なぜ対戦車砲対策を考えないか
悔しさで世界一の製鉄国になった
日本陸軍は工夫のない組織
主義・主張にオープンな日本
陸海軍の兵器統一の問題
第9章 陸軍前史
なぜ日本は侵略を受けなかったか
文明国の底力
アヘン戦争で完敗した清国
「働く」ことを軽蔑すると亡国につながる
戊辰戦争は日本分裂の危機だった
国内統一はその国自身の仕事
西郷隆盛の失敗
海の民の戦争をしなかった西郷隆盛
社会体制は戦争の勝敗を決める
戦国日本は軍事強国
火縄銃に進歩がないのはなぜか
鉄砲は決戦兵器ではなかった
第10章 日清・日露戦争の教訓
日清戦争には教訓があった
清は国内不統一のまま戦った
指揮官の質で勝った日露戦争
ロシアの指揮官はエージェント
引き際を考えていた首脳陣
陸軍無用論
日露戦争は騎兵が活躍した最後の戦争
兵器は流行に左右される
戊辰戦争の情報が共有されなかった
山縣有朋の恥を隠した
常套戦術を使わなかった乃木将軍
「耐え難きを耐え」と語るしかなかった
民主主義なら真実が伝わる
日露戦争はやっとの思いで勝った
地下水脈の情報と建前
社会主義国は沈黙を守る
日本人の特徴は大迎合と自主規制
エピローグ 二〇世紀の総合力採点
「アジア解放」における陸軍の無能
日本は単独で白人と戦った
アジアは植民地支配に甘んじていた
二〇世紀のトップニュース
太平洋戦争で早まった覚醒
アジア唯一の独立精神
日本はアジアで突出した存在
二〇世紀トーナメント
国家の総合力得点
Ⅱ 組織の本質
第7章 決戦思想の組織と結果
  • 戦争は報復が重なってエスカレートする
  • 勇ましい文章だけの『作戦要務令』
  • 「白兵戦術」と「人海戦術」
  • 具体論で考えるのが上層部の仕事
  • 「金剛力」も使いよう
  • 死傷者を減らす工夫がない
  • 平和のあとにはまた戦争
  • バンザイ突撃の無謀
  • 特殊部隊の必要性
  • 工兵を軽視する決戦思想
  • ただただ歩いて終わるのが戦争
  • 防御戦闘に強かった日本陸軍
  • 日本陸軍の連隊は最強の組織
  • 戦陣訓は組織の衰退を意味する
  • 最後の最後まで志気を保った
  • 蔣介石を感動させた
第8章 兵器の評価法と採用基準
  • 昭和陸軍の兵器は第一次大戦前のレベル
  • 宇垣軍縮がなかったら
  • 日本陸軍は一・五流
  • 島田戦車隊の戦法
  • 予測できない戦争の現実
  • 上層部の怠慢の典型例
  • なぜ対戦車砲対策を考えないか
  • 悔しさで世界一の製鉄国になった
  • 日本陸軍は工夫のない組織
  • 主義・主張にオープンな日本
  • 陸海軍の兵器統一の問題
第9章 陸軍前史
  • なぜ日本は侵略を受けなかったか
  • 文明国の底力
  • アヘン戦争で完敗した清国
  • 「働く」ことを軽蔑すると亡国につながる
  • 戊辰戦争は日本分裂の危機だった
  • 国内統一はその国自身の仕事
  • 西郷隆盛の失敗
  • 海の民の戦争をしなかった西郷隆盛
  • 社会体制は戦争の勝敗を決める
  • 戦国日本は軍事強国
  • 火縄銃に進歩がないのはなぜか
  • 鉄砲は決戦兵器ではなかった
第10章 日清・日露戦争の教訓
  • 日清戦争には教訓があった
  • 清は国内不統一のまま戦った
  • 指揮官の質で勝った日露戦争
  • ロシアの指揮官はエージェント
  • 引き際を考えていた首脳陣
  • 陸軍無用論
  • 日露戦争は騎兵が活躍した最後の戦争
  • 兵器は流行に左右される
  • 戊辰戦争の情報が共有されなかった
  • 山縣有朋の恥を隠した
  • 常套戦術を使わなかった乃木将軍
  • 「耐え難きを耐え」と語るしかなかった
  • 民主主義なら真実が伝わる
  • 日露戦争はやっとの思いで勝った
  • 地下水脈の情報と建前
  • 社会主義国は沈黙を守る
  • 日本人の特徴は大迎合と自主規制
エピローグ 二〇世紀の総合力採点
「アジア解放」における陸軍の無能
  • 日本は単独で白人と戦った
  • アジアは植民地支配に甘んじていた
  • 二〇世紀のトップニュース
  • 太平洋戦争で早まった覚醒
  • アジア唯一の独立精神
  • 日本はアジアで突出した存在
  • 二〇世紀トーナメント
  • 国家の総合力得点
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