税高くして民滅び、国亡ぶ

渡部昇一著作集/政治①

渡部昇一(上智大学名誉教授) 著
定 価:
本体1600円+税
判 型:
四六版上製
ページ数:
276ページ
ISBN:
9784898311776
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増税国家が衰退するのは歴史の鉄則!
渡部昇一ベストセレクション政治編 第1弾!

高い税率は、税収の増加には結びつかずに、中産階級を滅亡させるだけだということは、戦後のイギリスが証明している。税率をどんなに高くしても、本当の大金持ち、大富豪はそれを回避する知恵も手段も持っているからだ。著者はこの現実から、「万人一律で10パーセントの所得税にせよ」と主張する。古来、税が高くて乱が起こったり、国が衰亡した例は無数にあるが、税が安くなったので乱が起こったり、国が衰亡した例などは一つもない。増税より経済成長政策が先であり、国民の富は自由経済市場から生まれるのだ!

著者プロフィール

渡部昇一(わたなべ・しょういち)
上智大学名誉教授。英文学者。文明批評家。1930年、山形県鶴岡市生まれ。上智大学大学院修士課程修了後、独ミュンスター大学、英オクスフォード大学に留学。Dr.Phil.,Dr.Phil.h.c.(英語学)。第24回エッセイストクラブ賞、第1回正論大賞受賞。著書に『英文法史』などの専門書、『文科の時代』『知的生活の方法』『知的余生の方法』『アメリカが畏怖した日本』『「修養」のすすめ』『「日本の歴史」①〜⑦』『読む年表 日本の歴史』などの問題作やベストセラー多数がある。

目次

第1章 「国民の富」を保つ歴史の法則 ──税金が高いとなぜ国家は滅びるのか
  • 1 高い税金はどうして国を貧乏にするのか
  • 税額と統制の度合いは正比例する
  • 有能な人材を徴税・脱税に使う愚かしさ
  • 日本国民を卑屈にした高率課税
  • いちばん大切なのは「国民の豊かな財産」
  • 産業革命で富は「土地」から「商品」へ
  • 商品の力を知っていた信長と秀吉
  • 連歌師を驚かせた織田家の経済力
  • 「生産よりも収奪」がスペイン没落の理由
  • 2 右と左の社会主義が国民の富を奪う
  • 「ヴィクトリア朝の妥協」が流血革命を阻止した
  • 自助努力派の台頭
  • 社会主義的エリートを政府へ送り込んだフェビアン派
  • 衝撃的な近衛文麿の天皇への上奏文
  • 社会主義には右翼も左翼もある
  • 大恐慌の真因は一大関税障壁だった
  • 保護主義が生んだヒットラー政権
  • ソ連経済の一時的成功が共産主義を浸透させる
  • そして左翼社会主義者が残った
  • 3 国民の富を奪えば国は自壊する
  • レーニンに始まりレーガンに終わる
  • 東南アジア諸国の成功がソ連・東欧を追い込んだ
  • ソ連・東欧は「自壊」したのだ
  • 人間性に反することは長続きしない
  • 「気紛れ」「酔狂」を許さない国は背骨を失う
  • 金科玉条「労働価値説」の誤り
  • 商品が無限に作れる時代の富とは何か
  • 例外と考えるべきは日本の土地
第2章 累進課税が日本を滅ぼす ──国力粗鬆症を防ぐ税の鉄則
  • 1 この世には「払う税金」と「取る税金」しかない
  • とにかく「巻き上げられる」のが税金
  • 土地や農業の税金はいつも難しい
  • 「みつぐ」は「公共のものを支える」ということ
  • 2 カネは入っただけ必ず使われる
  • 税の本質、パーキンソンの第二法則
  • 税金の上限は回避する手間に等しい
  • 節度をわきまえていた昔の税金
  • フランス革命の原因も重税
  • 重税がきっかけで独立したアメリカ
  • 「代表なければ課税なし」はイギリス人の大発明
  • 戦時の増税は平時でもなくならない
  • 3 誰も説明できない累進課税の正当性
  • 税率革命の首謀者、ロイド・ジョージの出現
  • 累進課税は「貧困への宣戦」として導入された
  • 累進課税を正当化できた人は、史上一人もいない
  • 本当の被害者は中流階級(サラリーマン)である
  • 高率課税は国家を骨粗鬆症にする
  • まず能力ある個人が逃亡する
  • 正直者には税金、嘘つきには賞金
  • 累進課税が破壊した文化と伝統
  • 相続税による中産階級没落の風景
  • 私が見た黄昏のイギリス
  • いよいよ日本の中産階級の没落がはじまった
第3章 「潰れっこなし」と考えれば日本は危うい ──サッチャー夫人に学ぶ「小さな政府」の作り方
  • 1 「潰れっこなし」という傲りが招いた悲劇
  • 歴史に残るサッチャー夫人の仕事
  • 最大多数の最大幸福は本当に倫理的なのか
  • 倫理的に肩身が狭かった保守党の人々
  • 「潰れっこない」と思う人には金が怪しく見える
  • 金の力を知っている人は税金に頼らない
  • 2 累進課税を支える嫉妬心
  • 「潰れっこない」と考える危険
  • 倫理の基盤は自由主義にある
  • 社会主義を支える感情は嫉妬である
  • 社会正義という仮面を被った嫉妬
  • 三権分立はフィクション、いまは二権分立
  • 階級間の憎悪は善で人種間の憎悪は悪なのか
  • 3 やはり自助努力は不変の真理
  • 本当に勤勉な下層中流の自家営業者
  • 日本ならば中小企業経営者のなかにいる
  • 『自助論』をそのまま実行したサッチャー一家
  • 主婦の仕事を一切手抜きしなかったサッチャー夫人
  • 「ポジティブな考え方」
  • 自分の信念をあらゆる機会に繰り返す
  • ハイエクの知的確信とメソジストの宗教的確信の融合
第4章 「配給」を排し、「自由」を育てよ ──ハイエク先生に学ぶ民富論
  • 1 徹底的に「配給」を批判したハイエク先生
  • 「配給はだめなものだなぁ」という母の一言
  • 「配給は駄目、闇は正しい」とハイエク先生は言った
  • フリードリヒ・ハイエクという人物
  • 「イギリス、アメリカのほうがドイツよりも危ない」と警告
  • 同じお客を右と左で取り合いしている
  • 2 国民の富は自由経済市場から生まれる
  • 自由経済市場以外に「価格」は決定できない
  • 「知の驕り」を批判したヒュームの影響
  • 「人間の知力、頼むに足らず」
  • どんなに優れた知性も自分以上に複雑なものは理解不能
  • 3 「正義の味方」は嘘八百
  • 民主主義は脇役、個人の自由こそ主役
  • 「倒産あり」の議員は「倒産なし」の官僚に勝てない
  • 「定期券で襲ってくる」強盗
  • 「正義の味方」は嘘八百
  • どうして「金持ち」を殺してはいけないのか
  • 商品が富になった時代の政府の役割とは
第5章 税率は「一律一割」が鉄則 ──国民に富があってこそ真の文化が創造できる
  • 1 一律一割税率で日本はこんなにいい国になる
  • 取る側も保証する「一律なら七パーセントでよい」
  • 全然他人事でないイギリスの失敗
  • 悪代官と佐倉惣五郎、どちらが正しいのか
  • 元々人間は不平等、だから平等に扱うべし
  • 土地だけは制限すべし
  • 後ろ向きの仕事がなくなり、生産的な仕事に生かせる
  • 税金逃れのエネルギーがすべて正のエネルギーになる
  • 国民のための富を海外に移してしまういまの税制
  • 脱税よりも悪い税金の浪費
  • 担当課長の出世のために税金が使われている
  • パーキンソンの第二法則を裏付ける話
  • 誰が何と言おうと、天下りは「汚職」である
  • 「政府それ自身も制限されなければならない」
  • 「物価は一〇〇〇倍、国費は三万倍」
  • 2 日本は国際化し、文化は甦る
  • 日本が世界のタックス・ヘイブンになる
  • いまは土蔵文化、文化の本質は気紛れと酔狂
  • パトロンが小粒なら、文化も小粒になる
  • いまの税制が「悪しき会社人間」を作っている
  • 一律一割税率を憲法で制定せよ
  • 3 税法10の鉄則
解説 竹内靖雄
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