
増税国家が衰退するのは歴史の鉄則!
渡部昇一ベストセレクション政治編 第1弾!
渡部昇一ベストセレクション政治編 第1弾!
高い税率は、税収の増加には結びつかずに、中産階級を滅亡させるだけだということは、戦後のイギリスが証明している。税率をどんなに高くしても、本当の大金持ち、大富豪はそれを回避する知恵も手段も持っているからだ。著者はこの現実から、「万人一律で10パーセントの所得税にせよ」と主張する。古来、税が高くて乱が起こったり、国が衰亡した例は無数にあるが、税が安くなったので乱が起こったり、国が衰亡した例などは一つもない。増税より経済成長政策が先であり、国民の富は自由経済市場から生まれるのだ!
著者プロフィール
渡部昇一(わたなべ・しょういち)
上智大学名誉教授。英文学者。文明批評家。1930年、山形県鶴岡市生まれ。上智大学大学院修士課程修了後、独ミュンスター大学、英オクスフォード大学に留学。Dr.Phil.,Dr.Phil.h.c.(英語学)。第24回エッセイストクラブ賞、第1回正論大賞受賞。著書に『英文法史』などの専門書、『文科の時代』『知的生活の方法』『知的余生の方法』『アメリカが畏怖した日本』『「修養」のすすめ』『「日本の歴史」①〜⑦』『読む年表 日本の歴史』などの問題作やベストセラー多数がある。
目次
第1章 「国民の富」を保つ歴史の法則 ──税金が高いとなぜ国家は滅びるのか- 1 高い税金はどうして国を貧乏にするのか
- 税額と統制の度合いは正比例する
- 有能な人材を徴税・脱税に使う愚かしさ
- 日本国民を卑屈にした高率課税
- いちばん大切なのは「国民の豊かな財産」
- 産業革命で富は「土地」から「商品」へ
- 商品の力を知っていた信長と秀吉
- 連歌師を驚かせた織田家の経済力
- 「生産よりも収奪」がスペイン没落の理由
- 2 右と左の社会主義が国民の富を奪う
- 「ヴィクトリア朝の妥協」が流血革命を阻止した
- 自助努力派の台頭
- 社会主義的エリートを政府へ送り込んだフェビアン派
- 衝撃的な近衛文麿の天皇への上奏文
- 社会主義には右翼も左翼もある
- 大恐慌の真因は一大関税障壁だった
- 保護主義が生んだヒットラー政権
- ソ連経済の一時的成功が共産主義を浸透させる
- そして左翼社会主義者が残った
- 3 国民の富を奪えば国は自壊する
- レーニンに始まりレーガンに終わる
- 東南アジア諸国の成功がソ連・東欧を追い込んだ
- ソ連・東欧は「自壊」したのだ
- 人間性に反することは長続きしない
- 「気紛れ」「酔狂」を許さない国は背骨を失う
- 金科玉条「労働価値説」の誤り
- 商品が無限に作れる時代の富とは何か
- 例外と考えるべきは日本の土地
- 1 この世には「払う税金」と「取る税金」しかない
- とにかく「巻き上げられる」のが税金
- 土地や農業の税金はいつも難しい
- 「みつぐ」は「公共のものを支える」ということ
- 2 カネは入っただけ必ず使われる
- 税の本質、パーキンソンの第二法則
- 税金の上限は回避する手間に等しい
- 節度をわきまえていた昔の税金
- フランス革命の原因も重税
- 重税がきっかけで独立したアメリカ
- 「代表なければ課税なし」はイギリス人の大発明
- 戦時の増税は平時でもなくならない
- 3 誰も説明できない累進課税の正当性
- 税率革命の首謀者、ロイド・ジョージの出現
- 累進課税は「貧困への宣戦」として導入された
- 累進課税を正当化できた人は、史上一人もいない
- 本当の被害者は中流階級(サラリーマン)である
- 高率課税は国家を骨粗鬆症にする
- まず能力ある個人が逃亡する
- 正直者には税金、嘘つきには賞金
- 累進課税が破壊した文化と伝統
- 相続税による中産階級没落の風景
- 私が見た黄昏のイギリス
- いよいよ日本の中産階級の没落がはじまった
- 1 「潰れっこなし」という傲りが招いた悲劇
- 歴史に残るサッチャー夫人の仕事
- 最大多数の最大幸福は本当に倫理的なのか
- 倫理的に肩身が狭かった保守党の人々
- 「潰れっこない」と思う人には金が怪しく見える
- 金の力を知っている人は税金に頼らない
- 2 累進課税を支える嫉妬心
- 「潰れっこない」と考える危険
- 倫理の基盤は自由主義にある
- 社会主義を支える感情は嫉妬である
- 社会正義という仮面を被った嫉妬
- 三権分立はフィクション、いまは二権分立
- 階級間の憎悪は善で人種間の憎悪は悪なのか
- 3 やはり自助努力は不変の真理
- 本当に勤勉な下層中流の自家営業者
- 日本ならば中小企業経営者のなかにいる
- 『自助論』をそのまま実行したサッチャー一家
- 主婦の仕事を一切手抜きしなかったサッチャー夫人
- 「ポジティブな考え方」
- 自分の信念をあらゆる機会に繰り返す
- ハイエクの知的確信とメソジストの宗教的確信の融合
- 1 徹底的に「配給」を批判したハイエク先生
- 「配給はだめなものだなぁ」という母の一言
- 「配給は駄目、闇は正しい」とハイエク先生は言った
- フリードリヒ・ハイエクという人物
- 「イギリス、アメリカのほうがドイツよりも危ない」と警告
- 同じお客を右と左で取り合いしている
- 2 国民の富は自由経済市場から生まれる
- 自由経済市場以外に「価格」は決定できない
- 「知の驕り」を批判したヒュームの影響
- 「人間の知力、頼むに足らず」
- どんなに優れた知性も自分以上に複雑なものは理解不能
- 3 「正義の味方」は嘘八百
- 民主主義は脇役、個人の自由こそ主役
- 「倒産あり」の議員は「倒産なし」の官僚に勝てない
- 「定期券で襲ってくる」強盗
- 「正義の味方」は嘘八百
- どうして「金持ち」を殺してはいけないのか
- 商品が富になった時代の政府の役割とは
- 1 一律一割税率で日本はこんなにいい国になる
- 取る側も保証する「一律なら七パーセントでよい」
- 全然他人事でないイギリスの失敗
- 悪代官と佐倉惣五郎、どちらが正しいのか
- 元々人間は不平等、だから平等に扱うべし
- 土地だけは制限すべし
- 後ろ向きの仕事がなくなり、生産的な仕事に生かせる
- 税金逃れのエネルギーがすべて正のエネルギーになる
- 国民のための富を海外に移してしまういまの税制
- 脱税よりも悪い税金の浪費
- 担当課長の出世のために税金が使われている
- パーキンソンの第二法則を裏付ける話
- 誰が何と言おうと、天下りは「汚職」である
- 「政府それ自身も制限されなければならない」
- 「物価は一〇〇〇倍、国費は三万倍」
- 2 日本は国際化し、文化は甦る
- 日本が世界のタックス・ヘイブンになる
- いまは土蔵文化、文化の本質は気紛れと酔狂
- パトロンが小粒なら、文化も小粒になる
- いまの税制が「悪しき会社人間」を作っている
- 一律一割税率を憲法で制定せよ
- 3 税法10の鉄則