誰も書かなかった福島原発の真実

澤田哲生(東京工業大学助教) 著
定 価:
本体1500円+税
判 型:
四六版並製
ページ数:
272ページ
ISBN:
9784898311806
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それでも原発が必要な
これだけの理由!

事故調査・検証委員会の中間報告書と独自の分析から明かされた福島原発の新事実。放射能・内部被曝のウソとデタラメ、報じられない被災者と原発立地住民の本音──。本当に怖いのは「放射能煽り報道」と「脱原発」による日本経済の疲弊である。いま新たな挑戦のステージに立つ日本が、今回の震災を希望ある未来に活かすには何が必要なのか……。自然エネルギー幻想を打ち破り、原発再生への4つのカギを説く。原発問題の決定版!

著者プロフィール

澤田哲生(さわだ・てつお)
1957年、兵庫県生まれ。京都大学理学部物理科学系卒業後、三菱総合研究所に入社。ドイツ・カールスルーエ研究所客員研究員をへて現在、東京工業大学原子炉工学研究所助教。専門は原子核工学。特に原子炉物理、原子力安全(高速増殖炉の炉心崩壊事故および軽水炉の過酷事故、核融合システム安全など)、核不拡散・核セキュリティの研究に従事。最近の関心は、社会システムとしての原子力、原子力の初等・中等教育にある。原子力立地地域の住民や都市の消費者の絆を紡ぐ『つーるdeアトム』を主宰。近著は『誰でもわかる放射能Q&A』『結局、原発ってどうなのよ?』(監修)(イーストプレス)。

目次

第1章 福島第一原発事故の366日
  • 「レベル7」の二つの衝撃
  • 政府の見解と一致しない不可解な事態
  • 原子力安全行政の無力さ、無責任さ
  • 緊迫感に満ち満ちたフジテレビのスタジオ
  • 再臨界の可能性と都市伝説的言説
  • 「炉心溶融」=「メルトダウン」ではない
  • メディアが垂れ流す「ダダ漏れ」のイメージ
  • 忘れられた汚染水問題の核心
  • 問題は電源だけなのか
  • 放射線障害による「死亡者数ゼロ」は暴論か
  • 原子力損害賠償法の本質
  • 「核セキュリティ」の重要性
  • 失われる絆、その再構築
  • 自然を破壊する自然エネルギー
  • 一千年に一度の歴史的教訓
  • 特別解説 再臨界と再溶融を正しく理解する
  • 永田町に跋扈したオバケ
  • 溶融貫通(メルトスルー)の可能性
  • シミュレーションはあくまでも〝模擬結果〟
  • 疑問が残る異常な圧力上昇
第2章 事故調査・検証委員会 中間報告書を読み解く
  • 第1節 事故対応──東京電力編
  • 各紙が一面で報じた〝人災〟
  • 全交流電源喪失に要求される異なった措置
  • なぜIC(非常用復水器)を止めたのか
  • 当直の作業から事故を読み解く
  • ICを巡る驚くべき事実
  • 活かされなかった吉田所長の注水指示
  • 事故は本当に〝人災〟だったのか
  • 一号機を遥かに上回る水素爆発
  • 三号機の建屋内で毎時三百ミリシーベルト
  • ことなきを得た六号機の津波対策
  • 「事業者の自主保安努力」という根本的な問題
  • 第2節 事故対応──政府編
  • 活用されなかったSPEEDIの謎
  • 菅総理の場当たり的な避難指示
  • 配布されなかった七十万人分の安定ヨウ素剤
  • 報告書が書かない初動対応の致命的な遅れ
  • オフサイトセンターを疑問視する声
  • 現場をさらなる混乱に陥れた「東電怒鳴り込み」
  • メディアが報じた「英雄・菅総理」
  • 特別解説 ベントの盲点
  • 砂や砂利で放射性物質を除去
  • ベントの最終的な関所
  • すべての原子炉にフィルタードベントを
第3章 放射能・内部被曝のウソとデタラメ
  • チェルノブイリは〝レベル9〟
  • 被災者の心情に立脚した除染
  • 被災地を疲弊させる煽りメディアの罪
  • 自分に都合の良いデータを持ち出す学者たち
  • 「福島でも同じようなことが起こる」と煽る
  • 現地の人たちを恐怖と不安に陥れた一番の原因
  • 「防護」と「影響」を混同した議論
  • 人工放射線と自然放射線
  • 放射能から逃れることで死者が出ている現実
  • 内部被曝と外部被曝の真実
  • 計り知れない精神的ストレスと風評被害
  • 日本には知識と叡智がある
第4章 報じられない被災者と原発立地住民の本音
  • 原発立地地域の置かれている状況
  • 大座談会 本音で語る「原発と放射能」
  • 突然鳴り響いた防災無線
  • 「このままじゃ本当に凍死する」
  • 逃げ道がすべて一本道
  • 「事故は起きませんから」の一点張り
  • 被災者から見た政府と東電の対応
  • 「東電、土下座しろ!」
  • 原発に対する偏見と差別
  • 「福島に核を持ち込むな!」と叫ぶ
  • 脅迫電話、町が二分……地元の苦しみ
  • 国会議事堂を避難所に
  • 家族、友達との絆がズタズタに
  • 豊かすぎる世の中
  • 緊急追加対談 被災者が語る福島の「今」
  • 分厚い説明書による賠償金の請求
  • 一時帰宅と放射線量の現状
  • 住民感情を無視した「冷温停止状態」宣言
第5章 原発復活への4つのカギ 原子力規制庁/ストレステスト/核燃料ミサイル/トリウム原発
  • 第1節 原子力規制庁のあるべき姿
  • スウェーデンで発生した「想定外の事態」
  • 事故の根本原因を突き詰めた三つの要点
  • 鍵を握る安全規制の定期的な見直し
  • 信頼を喪失するトップの任期
  • 世界でも稀な日本の安全審査基準
  • 原子力規制庁の必須条件
  • 第2節 ストレステストの真実
  • 一次評価は安全評価ではない
  • 原子炉の〝崖っぷち〟
  • 野田総理に課せられた責務
  • 世界に影響を及ぼす原発再稼働問題
  • 第3節 核燃料サイクルと放射性廃棄物処理
  • そもそも核燃料サイクルってなに?
  • 「もんじゅ」停止が国益を損なう理由
  • 「はやぶさ」と「もんじゅ」の違い
  • 再処理コストと放射性廃棄物の処分法
  • 第4節 トリウム原発の真贋を見極める
  • 原子力の理解が格段に高まる三つの言葉
  • トリウムだけで動くという誤解
  • 「トリウム溶融塩炉」最大のトリック
  • トリウム溶融塩炉の実像は大型軽水炉
  • 反核運動とトリウムの真相
  • 「核廃絶」の先に見える現実
終章 御用学者と呼ばれて〜あとがきにかえて
  • まず「赤メガネ」と呼ばれた
  • 「原発右翼」として声がかかる
  • 日本経済の疲弊が精神的劣化に結びつく
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