「繁栄の哲学」を貫いた巨人 松下幸之助

渡部昇一著作集/人生①

渡部昇一(上智大学名誉教授) 著
定 価:
本体1640円+税
判 型:
四六判上製
ページ数:
380ページ
ISBN:
9784898311875
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松下幸之助 珠玉の伝記

松下幸之助は「不倒の人」である。何度も日本を襲った不況にも倒れず、絶えず発展し続けた人である。しかも、敗戦・公職追放という大厄災でも倒れなかった。そして、世界が認めた「哲人」(フイロソフアー)としての思想。日本には世界的な思想家がいないとされるが、松下幸之助のPHPこそ日本の「哲学者」であると思う。パナソニック、そして日本の再建のカギは、松下幸之助の哲学にある!

著者プロフィール

渡部 昇一(わたなべ・しょういち)
上智大学名誉教授。英文学者。文明批評家。1930年、山形県鶴岡市生まれ。上智大学大学院修士課程修了後、独ミュンスター大学、英オクスフォード大学に留学。Dr.Phil.,Dr.Phil.h.c.(英語学)。第24回エッセイストクラブ賞、第1回正論大賞受賞。著書に『英文法史』などの専門書、『文科の時代』『知的生活の方法』『知的余生の方法』『アメリカが畏怖した日本』『「修養」のすすめ』『「日本の歴史」①〜⑦』『読む年表 日本の歴史』などの話題作やベストセラー多数がある。

目次

まえがき
第1章 修行の時代
〝松下伝説〟を見直す
  • 松下さんと秀吉の出自
  • 山紫水明は人物を育てる
  • 逆境の前に順境あり
  • 日本の実力主義
  • 時代は二度あった
  • 実力主義の時代には商業が栄える
  • 徳川家康は実力社会を否定
  • 村の長たる資格
  • 徳川家は長男を重視した
  • 無能将軍でも世の中はよくなる
  • 村の衆と町の衆
  • わが農耕的発想の残滓
  • 〝改革〟が江戸文化を潰した
  • 明治は騎馬型発想の時代
  • 『西国立志編』が殖産振興を可能にした
  • 松下家には騎馬型発想の素質がある
  • 将棋は頭の体操
  • 身近にいた立志伝中の人
大器の片鱗
  • 最初の奉公は火鉢屋だった
  • 高くついた饅頭
  • 時流に乗った自転車屋に奉公する
  • 神経がこまやかだった
  • 講談はすぐれた教科書
  • 漢字仮名交じり書きほど高能率なものはない
  • サラリーマンなら課長どまり
  • 悪い夫がよい父である場合
  • いまの子供に百万円を扱わせよ
  • あまりに日本的な発想
  • 騎馬型発想なら妙案が出た
  • 十三歳で百万円の商い
  • 一歩先んじる
  • 金銭には潔癖であれ
  • 商売には自浄作用が必要だ
将来の布石を打つ
  • 電気に賭ける
  • 電気と商業は怪しげなもの
  • 〝負〟を知れば努力目標が明確になる
  • 武士と足軽の差
  • 内気な青年こそ大物になれる
  • 〝見る〟ことは実現への第一歩
  • 留学の最大の収穫
  • 「おれは運の強い男だ」と思い込む
  • 学校嫌いも意を安んじて可なり
結婚と独立への飛翔
  • 先祖の祀りを意識する結婚
  • いま離婚と同棲は増えている
  • 墓を建てる発想
  • 決めておけ、そう悪くないぞ
  • 昔の結婚は野蛮だったか
  • 奥さんがしっかりしていれば資料は残る
  • 行儀見習いはすぐれた教育
  • 女中より女工のほうが気の毒
  • 二人の口なら食える
  • 共働きは生活を貧しくする
  • 肺結核と徴兵は二大恐怖だった
  • 鈍感では大リーダーになれない
  • 鄙事に多能なり
  • 脱サラへの引き金
  • ソケットのために会社をやめる
第2章 苦闘の時代
思考より行動が先
  • ヒーローには〝むちゃ〟の要素がある
  • 資本金二百円で十円の売り上げ
  • 〝内なる声〟で未来を予知した
  • 年の瀬の天佑
  • モルトケと共通する発想
  • 頑張れ、しかし固執はするな
松下電気器具製作所を創立する
  • ついに独創商品が売れた
  • 全従業員に企業秘密を公開した器量
  • 東京は売りにくいからこそ、成功しやすい
  • 松下的発想なら貿易摩擦はなくなる
  • 巧みな攻めと守りの使いわけ
指導者の条件
  • 環境の変化は確実な不老術である
  • シャッポが要る人、シャッポになれる人
  • 得したり損したりしながらの成功はあり得ない
  • 商売の基本は富を軽視しないことだ
  • カンと自己暗示は成功率を高める
  • 小姓制度は早期幹部教育だった
不況下の経営
  • うちの工場には電話があるんやで
  • 大胆と慎重はバランスが大切
  • キーソケットの製造は時至るまで待とう
  • 自転車用電池ランプは売れるはず
  • 〝富山の薬売り方式〟の勝利
事業家の条件
  • 潔さがなければ事業家ではない
  • 精神的ボルテージが高ければ涙が流れる
  • たった一人の便所掃除
  • 発明・販売の両輪を円滑に動かし続ける
師弟の邂逅
  • 他所の御意見番を引っ張ってきた
  • のんびり問答はやすらぎを与える
  • 宗教家は精神分析医である
  • 長生きできる確信が持てた
  • 文句が多い男だからこそ使える
  • 人材のために工場を抱える
〝ナショナル〟への道
  • 短期的な攻めで勝つ
  • 選挙はおもろいもんや
  • 泣いて支払った一万円の価値
  • よい結果は心の支えとし、悪い結果は忘れてしまう
  • 〝ナショナル〟は新聞記事がヒント
ライバルを喰う
  • 乾電池一万個をタダでください
  • 戦国武将の駆け引きを思わせる
  • ライバルからアドバイスを得る
  • 二人三脚の歩幅が合わない
  • 店員となった共同経営者
  • 取引なしで二万円貸してくれるか
  • 強運だった住友銀行との取引
  • 口約束が守られるのは民度が高い証拠である
第3章 興隆の時代
松下式経営の萌芽
  • 悲しみを乗りこえて学んだもの
  • 借金は極力世間に知らせるな
  • 松下さんの深慮遠謀
  • 生産は半減しても従業員は解雇しない
  • 松下方式はアメリカで注目されている
  • 従業員尊重は偉大な社会的発明である
  • 不景気だからこそ高級乗用車を買おう
  • 〝松下太閤〟の真骨頂
  • 成長の決め手は不断の技術革新にある
  • 立志伝中の人が嫌がる学卒者を積極的に採用
経営体からコミュニティへ
  • 高級技術のラジオ分野に進出して躓く
  • 故障のないラジオで躓きを取り返す
  • 技術者と経営者の差が教えるもの
  • 私は百万円欲しい……
  • 演説をぶって代理店を動かす
  • 松下電器は人をつくっている会社です
経営と宗教の対決
  • 宗教への誘いを受ける
  • 宗教は経営である
  • 天理教の〝経営〟にライバル意識を持った
  • 実業は聖なる仕事だ
  • 事業は〝水道の水〟のごとくあるべきだ
  • ルルドの奇跡には大きな事実がある
  • 労働は悟りであり宗教行為である
〝松下教〟誕生の日
  • 松下電器ほど日本的な経営はない
  • 第一回創業記念日には経営神学が吐露された
  • 〝松下教〟の使命到達期間は二百五十年
  • お釈迦様の向こうを張った命知第一年の宣言
  • 感激の極みに達し、壇上に飛び上がる
  • 松下の社歌はパブリックスクールの雰囲気
  • デモンストレーションの効用を熟知していた
  • 徹底的に面白い運動会をやろう
松下精神の発露
  • 松下政経塾の濫觴ここにあり
  • 松下流の発想はアメリカの事業部制に近い
  • 松下電器の五精神と五箇条の御誓文
  • 軍需生産に携わる
第4章 飛翔の時代
    不倒翁苦難の日々
    • 労働組合結成式に社長が出席
    • 労働組合が社長追放解除運動を起こす
    • 「道なきときに栄えるのは恥」である
    • 〝物品税滞納王〟としてマスコミに登場
    • 行動して理解したPHP活動
    世界にはばたく
    • 初渡米、見るもの聞くもの驚かざるはなし
    • 繁栄主義について自信を深める
    • 決断すべきときに決断したフィリップス社との提携
    • 経営指導料とは卓抜な対抗手段だ
    • 経営は芸術である
    • 経営のコツを聞きたければ、カネを払いなさい
    • 苦労をすれば国際感覚が磨かれる
    • 大風呂敷の五カ年計画を四年で達成
    • 国際競争に勝つためには週休二日制が必要
    • 『タイム』のカバーストーリーに登場
    • ミコヤンを食ったジョークの冴え
    • マルクスを読まなければ共産主義が分かる
    ベストセラーの著述家
    • 『ライフ』がとらえた松下さんの五つの長所
    • マスコミが競って求める書き手
    • 〝熱海会談〟のドラマチックな乗り切り方
    • 青春とは心の若さである
    • 過密地が偏ると日本が傾く
    • ついに秀吉を乗り越えた
    警世家として
    • 注目された『崩れゆく日本をどう救うか』
    • 卓見! 『新国土創成論』と「無税国家論」
    • 無税国家は可能だ
    • 弁護士の多い国は先進国ではない
    • いま松下さんに望みたいことは
    • これからも〝不倒翁〟である
    解説 谷沢永一
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