渡部昇一の古事記

渡部昇一著作集/歴史③

渡部昇一(上智大学名誉教授) 著
定 価:
本体1600円+税
判 型:
四六判上製
ページ数:
280ページ
ISBN:
9784898311912
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『古事記』解読の決定版!

日本人であるならば、一度は読んでおきたいのが『古事記』である。それは、日本の歴史・神話の故郷(ふるさと)だからだ。「国産み」や「天の岩屋戸」など有名な神話はもちろんのこと、万世一系の皇統の起源、なぜ天照大神が主神であるのか、古代日本における愛のかたちとは何かなど、『古事記』に描かれる魅力あふれる日本の姿を、碩学・渡部昇一氏がわかりやすく解説する。『古事記』とは、こんなにも面白いものだったのか! 編纂1300年目の今、『古事記』の謎を解く!

著者プロフィール

渡部昇一(わたなべ・しょういち)
上智大学名誉教授。英文学者。文明批評家。1930年、山形県鶴岡市生まれ。上智大学大学院修士課程修了後、独ミュンスター大学、英オクスフォード大学に留学。Dr.Phil.,Dr.Phil.h.c.(英語学)。第24回エッセイストクラブ賞、第1回正論大賞受賞。著書に『英文法史』などの専門書、『文科の時代』『知的生活の方法』『知的余生の方法』『アメリカが畏怖した日本』『「修養」のすすめ』『「日本の歴史」①〜⑦』『読む年表 日本の歴史』などの話題作やベストセラー多数がある。

目次

まえがき
    第1章 国産み神話にみる「男と女」の関係 ──伊邪那岐・伊邪那美が教える禁忌と勧奨
    • あるキャリア・ウーマンの選択
    • 先祖からの「遺言」としての神話
    • 『旧約聖書』と『古事記』との決定的な違い
    • 日本に悪虐な皇后や女官が登場しない理由
    • 夫婦関係で女性がイニシャティブを取るとどうなるか
    • 男性、女性、両者にとっての不幸
    • 大八島の誕生
    • 女権運動は、なぜプロテスタント圏から生まれたか
    第2章 「さかしら」な女と「貞節」な女 ──イブと伊邪那美における「服従」と「不服従」
    • カトリックにおける聖母マリアの独特の位置
    • 日本の神話とゲルマン神話の共通点
    • 「お告げ」を前にしたマリアの服従
    • 聖書は女性の「さかしら」を嫌う
    • 現代人が喪失した「楽園」とは
    • なぜマリアの死についての伝聞が皆無なのか
    第3章 農業国家・日本の建国宣言 ──神武天皇が天つ神を祀った故地を訪ねて
    • 神社で寝起きした私の青年時代
    • カトリックと禅と日本のカミは並立する
    • 神武天皇ゆかりの古社を訪ねて
    • 神武天皇の「神勅」は何を言おうとしているのか
    • 鎮守の森が伐採されるとき
    第4章 男が見てはいけないもの ──黄泉国の伊邪那美を垣間見た伊邪那岐の罪
    • スウィフトが描いた「淑女」の世界
    • 死んだ妻を黄泉国にまで呼び戻しにいった伊邪那岐
    • 伊邪那岐の必死の遁走
    • 「古事記の桃はいまのウメ」という仮説
    • 妻の出産を覗き見た山幸彦の悲劇
    第5章 家庭の祭主としての主婦 ──国を救った天宇受賣命が女であったことの意味
    • 幸福の価値より道徳的義務を重んじたカント
    • 聖トーマス・アクイナスはカントの正反対
    • なぜ神は、アダムにイブを与えたのか
    • お祭りの起源としての天の石屋戸物語
    • なぜ西洋の家庭では、奥さんがピアノを弾くのか
    • 主婦の家事を「労働」ととらえたことの過ち
    • いまこそ必要な「喜びの原理」の復権
    第6章 万世一系の皇統の起源 ──神武天皇の母と祖母は外国人だった
    • 日本の伝統に反した明治政府の廃仏毀釈
    • 日本では、なぜ左が右より格上なのか
    • 皇統は養子に起源を有する
    • 豊玉姫と玉依姫は海神の国出身
    • 皇室の国際化は、なんら不自然ではない
    第7章 須佐之男命の真実 ──天孫族と出雲族は、いかにして平和共存しえたか
    • 大陸引揚者の古代人が感激したものとは
    • 出雲系のカミが異民族とはいえない決定的理由
    • 建御名方命と建御雷命との勝負の行方
    • 八雲立つ 出雲八重垣
    • 日本人が描きつづけた理想的な新郎・新婦像
    第8章 神武建国神話と言霊 ──超自然的要素のある国とない国
    • 抹殺されたロシア共産党党首の名前
    • 古代の日本人を買いかぶりすぎた妄説
    • 天皇家の名誉にならない、あまりに率直な記述
    • 「神代」と「人の世」を分けるものは何か
    • 「天の神」の夢のお告げ
    • 超自然的要素を取り除いた国と保持している国
    第9章 仏教伝来と用明天皇 ──仏法を信じて神道を尊ぶというメンタリティの成立
    • なぜか最重要人物を黙殺した井上論文
    • 津田博士におけるテキスト無視の独断
    • 欧米の古代史文献と『日本書記』の違いとは
    • 仏教受容における国際派と国粋派の暗闘
    • 「仏法を信じ、神の道をも敬う」形の成立
    • 日本の家庭に仏壇と神棚が置いてある理由
    第10章 英雄・日本武尊は、なぜ抹殺されたか ──その危機管理と計略に学ぶべきこととは
    • 戦後失われた「武」を尚ぶ精神
    • 少年・日本武尊の恐るべき返事
    • 「日本武尊」の誕生
    • 出雲建を殺すのに、彼が最初にしたこととは
    • 武士的危機感を持ちつづけることの重要さ
    第11章 古代の日本における愛のかたち ──弟橘比賣命は、なぜ自らを犠牲にしたのか
    • 戦争に行く男を見送る女のまなざし
    • 弟橘比賣命が辞世にこめた思い
    • 男女差を消滅させた最大の要因
    • スポック博士が「転向」した理由
    • イギリス労働党にアングロ・サクソン人が少ない理由
    第12章 なぜ、天照大神が主神となったのか ──日本民族の文化の継承者としての女性の役割
    • 禁酒法が日本でまったく顧慮されなかった理由
    • アメリカの女性は、なぜ「家庭」を出て働きにいくのか
    • ウーマン・リブが日本に根を下ろすための条件
    • 民族の主神が女性であることの意味
    • 日本民族の文化の継承者としての女性の役割
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