『古事記』解読の決定版!
日本人であるならば、一度は読んでおきたいのが『古事記』である。それは、日本の歴史・神話の故郷(ふるさと)だからだ。「国産み」や「天の岩屋戸」など有名な神話はもちろんのこと、万世一系の皇統の起源、なぜ天照大神が主神であるのか、古代日本における愛のかたちとは何かなど、『古事記』に描かれる魅力あふれる日本の姿を、碩学・渡部昇一氏がわかりやすく解説する。『古事記』とは、こんなにも面白いものだったのか! 編纂1300年目の今、『古事記』の謎を解く!
著者プロフィール
渡部昇一(わたなべ・しょういち)
上智大学名誉教授。英文学者。文明批評家。1930年、山形県鶴岡市生まれ。上智大学大学院修士課程修了後、独ミュンスター大学、英オクスフォード大学に留学。Dr.Phil.,Dr.Phil.h.c.(英語学)。第24回エッセイストクラブ賞、第1回正論大賞受賞。著書に『英文法史』などの専門書、『文科の時代』『知的生活の方法』『知的余生の方法』『アメリカが畏怖した日本』『「修養」のすすめ』『「日本の歴史」①〜⑦』『読む年表 日本の歴史』などの話題作やベストセラー多数がある。
目次
まえがき- あるキャリア・ウーマンの選択
- 先祖からの「遺言」としての神話
- 『旧約聖書』と『古事記』との決定的な違い
- 日本に悪虐な皇后や女官が登場しない理由
- 夫婦関係で女性がイニシャティブを取るとどうなるか
- 男性、女性、両者にとっての不幸
- 大八島の誕生
- 女権運動は、なぜプロテスタント圏から生まれたか
- カトリックにおける聖母マリアの独特の位置
- 日本の神話とゲルマン神話の共通点
- 「お告げ」を前にしたマリアの服従
- 聖書は女性の「さかしら」を嫌う
- 現代人が喪失した「楽園」とは
- なぜマリアの死についての伝聞が皆無なのか
- 神社で寝起きした私の青年時代
- カトリックと禅と日本のカミは並立する
- 神武天皇ゆかりの古社を訪ねて
- 神武天皇の「神勅」は何を言おうとしているのか
- 鎮守の森が伐採されるとき
- スウィフトが描いた「淑女」の世界
- 死んだ妻を黄泉国にまで呼び戻しにいった伊邪那岐
- 伊邪那岐の必死の遁走
- 「古事記の桃はいまのウメ」という仮説
- 妻の出産を覗き見た山幸彦の悲劇
- 幸福の価値より道徳的義務を重んじたカント
- 聖トーマス・アクイナスはカントの正反対
- なぜ神は、アダムにイブを与えたのか
- お祭りの起源としての天の石屋戸物語
- なぜ西洋の家庭では、奥さんがピアノを弾くのか
- 主婦の家事を「労働」ととらえたことの過ち
- いまこそ必要な「喜びの原理」の復権
- 日本の伝統に反した明治政府の廃仏毀釈
- 日本では、なぜ左が右より格上なのか
- 皇統は養子に起源を有する
- 豊玉姫と玉依姫は海神の国出身
- 皇室の国際化は、なんら不自然ではない
- 大陸引揚者の古代人が感激したものとは
- 出雲系のカミが異民族とはいえない決定的理由
- 建御名方命と建御雷命との勝負の行方
- 八雲立つ 出雲八重垣
- 日本人が描きつづけた理想的な新郎・新婦像
- 抹殺されたロシア共産党党首の名前
- 古代の日本人を買いかぶりすぎた妄説
- 天皇家の名誉にならない、あまりに率直な記述
- 「神代」と「人の世」を分けるものは何か
- 「天の神」の夢のお告げ
- 超自然的要素を取り除いた国と保持している国
- なぜか最重要人物を黙殺した井上論文
- 津田博士におけるテキスト無視の独断
- 欧米の古代史文献と『日本書記』の違いとは
- 仏教受容における国際派と国粋派の暗闘
- 「仏法を信じ、神の道をも敬う」形の成立
- 日本の家庭に仏壇と神棚が置いてある理由
- 戦後失われた「武」を尚ぶ精神
- 少年・日本武尊の恐るべき返事
- 「日本武尊」の誕生
- 出雲建を殺すのに、彼が最初にしたこととは
- 武士的危機感を持ちつづけることの重要さ
- 戦争に行く男を見送る女のまなざし
- 弟橘比賣命が辞世にこめた思い
- 男女差を消滅させた最大の要因
- スポック博士が「転向」した理由
- イギリス労働党にアングロ・サクソン人が少ない理由
- 禁酒法が日本でまったく顧慮されなかった理由
- アメリカの女性は、なぜ「家庭」を出て働きにいくのか
- ウーマン・リブが日本に根を下ろすための条件
- 民族の主神が女性であることの意味
- 日本民族の文化の継承者としての女性の役割