西郷にとって国家とは、近代化とは──
明治維新によって日本がめざしたのは、近代国家に生まれ変わり、欧米列強に伍して国際社会における地位を得ることだった。しかし、西郷にとって近代化とは、先進技術を導入して国力を高めることではあっても、決して欧米化を意味するものではなかった。おのれを捨てて義と至誠の精神に生きた西郷は、日本の伝統的な価値観を貫き、帝国主義的覇道を否定して、〝徳〟による国家を建設しようとした。当時にあってすでに伝説的な存在であった西郷という偉大な人物の生涯をたどり、現代の日本人が国難にいかに対処すべきかの指針を示す、北康利ひさびさの大型ノンフィクション!
著者プロフィール
北 康利(きた・やすとし)
昭和35年12月24日名古屋市生まれ。東京大学法学部卒業後、富士銀行入行。資産証券化の専門家として富士証券投資戦略部長、みずほ証券財務開発部長等を歴任。平成20年6月末、みずほ証券退職。本格的な作家活動に入る。著書に『白洲次郎 占領を背負った男』(第14回山本七平賞受賞)『福沢諭吉 国を支えて国を頼らず』『吉田茂 ポピュリズムに背を向けて』(以上、講談社)、『陰徳を積む 銀行王・安田善次郎伝』(新潮社)、『吉田茂の見た夢 独立心なくして国家なし』(扶桑社)、『同行二人 松下幸之助と歩む旅』(PHP研究所)、『日本を創った男たち』(至知出版社)、『名銀行家列伝』(中公新書ラクレ)などがある。