破綻

林原靖(元㈱林原専務取締役) 著
定 価:
本体1500円+税
判 型:
四六判上製
ページ数:
232ページ
ISBN:
9784898314098
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敗軍の将、兵を語る

“バイオの雄”として名を轟かせてきた岡山の世界的優良企業「林原」が、突然、会社更生法を申請したのは2011年2月。黒字を計上し続けてきた優良企業に何が起こったのか? 社長急逝が引き起こした混乱と反乱、スキャンダルを境に失速、襲いかかった銀行、弁護士、マスコミと弁済率93パーセントの不可思議な倒産——専務取締役として渦中に身を置いた著者が「不可解な破綻劇」の真実を語る! 

著者プロフィール

林原 靖(はやしばら・やすし)
1947年、岡山市生まれ。父・林原一郎、母・英子の四男。兄・紘一、暲の早世で次弟となり、長兄・健と共に林原グループ各社の経営に当たる。岡山大学付属中学、慶應義塾高校、慶應義塾大学商学部卒業。1969年、林原株式会社に入社。1978年、取締役経理部長就任。総務、人事、システム、広報、関連事業、各部長兼務。1985年、株式会社林原など基幹四社の専務取締役に就任。2000年、太陽殖産社長に就任。兼務の本体専務として管理、生産、営業、国際、関連子会社もあわせて管掌。2011年2月、会社破綻ですべての役職を辞任、今日に至る。2015年4月より(非営利)グローバル・リサーチ・アソシエイツ代表(blogs.yahoo.co.jp/gra_yasushi)。現住所:岡山市北区出石町2丁目6番18号。

目次

まえがき 第1章 優良企業・林原の内実
  • 評価は一転、奈落の底へ
  • 林原は水あめの製造からスタートした
  • 十年で三五〇億円の借入金を返済
  • 深刻な問題は巨額の借入れ
  • 黒字が拡大するなかで経営破綻
  • 決算報告書の〝瑕瑾〟
  • 達成されつつあった悲願
  • 突然、訪れた運命の日
第2章 バイオ企業・林原の光と影
  • 三代目社長・林原一郎の思い出
  • 社長急逝が引き起こした混乱と反乱
  • 四人兄弟のうちで残った「できの悪い二人」
  • プルランとインターフェロン
  • 骨肉の争いを避けるために先手を打つ
  • スキャンダルを境に失速したインターフェロン販売
  • 一九九八年に着手したリストラ
  • 研究開発中心から製造販売力の強化へ
  • 穀物商社カーギルとの契約改定に成功する
  • 子会社の売却で新工場の建設費を賄う
第3章 襲いかかった銀行、弁護士、そしてマスコミ
  • 担保にする不動産や株式は残っていなかった
  • 裁判外紛争解決手続(ADR)の開始
  • 年末年始の休暇を返上して進められたADRの作業
  • ADR制度が抱える不備
  • メインバンクとサブメインバンクへの非難
  • 提示されなかった民事再生法という選択肢
  • 第一回全行ミーティングの最中に会社更生法を申請
  • 深夜の記者会見と総退陣
  • 全額が保護された納入先債権
  • 弁護士は公平無比な〝赤ひげ〟ではない
第4章 破綻の嵐に翻弄される日々
  • 「無理筋」への対応策
  • 保全管理から更生管財に移行
  • 「破綻ビジネス」の果実を分け合う企業
  • 三カ月強にわたって行われた第三者委員会の調査
  • 死の淵から生還した兄・健
  • 八十社に近い企業が名乗りを上げたスポンサー入札
  • 住友信託銀行が申し立てた仮差押え
  • 一般家庭に対しての動産執行はほとんど実効性がない
  • 個人破産に追い込んでやると脅した住信の代理人
  • 林原のスポンサーは毎年八〇億円以上の利益を得る
  • 長瀬産業が七〇〇億円でスポンサーに選ばれる
第5章 林原を巡る騒動とは何だったのか?
  • 更生会社から送られてきた巨額の損害賠償請求
  • 市場価格より安い金額で自社株を買った中国銀行
  • 住友信託銀行と訴訟の応酬
  • 戦略として誇大宣伝をした更生管財人
  • 九〇%を超えた弁済率
  • 「反面取材」と「裏づけ確認取材」を徹底していないNHK
  • なぜ林原は突然潰されたのか
  • 大山鳴動してネズミ一匹
あとがき
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