多くの学校が夏休みとなり、本を読んで感想文を書く、などという本が嫌いになりそうな宿題の季節でもあります。
今回は本を読むということについて、つらつらと書いてみます。
ここ数年で刊行された数ある海外文学の中でも、最高傑作ではないかと個人的に思っている『アウシュヴィッツの図書係』(アントニオ・G・イトゥルベ著)。この中の一節に「本はとても危険だ。ものを考えることを促すからだ」とあります。
本を読まない人がものを考えないとは思いませんが、物事の本質を鋭く見抜く人や、何かを表現する人、他人に何かを伝えたりすることが上手な人ほど、読書家だったりするものです。
教科書だろうと、小説だろうと、漫画だろうと、自己啓発ビジネス書だろうと、宗教書だろうと、ノンフィクションだろうと、とにかく本というものが人に与える影響は少なからずあると思います。
そうは言っても、本を読むことが嫌いだとか苦手だという以前に、そもそも本に興味の無い人はたくさんいます。
出版業界ではあの手この手で、読書人口を増やそうと躍起になっております。学校教育の中での朝の読書活動を始めとして、書店さんが独自に行っている子どもたちへの本の読み聞かせや、読んだ本をプレゼンして勝者を決めるビブリオバトルなど、様々な取り組みがあります。
最近はお祖父ちゃんお祖母ちゃん世代が、お孫さんへと本を買われることが多いようで、児童書全体が活況を呈しております。この世代は出版が元気だったころに、今のようなスマホでゲームや、はたまたSNSで時間を消費するのではなく、多感な青春時代に本を読んで過ごしたからか、本を読むことにさほど抵抗がないのかもしれません。
なによりも大切なことは、幼いころから本に親しむ環境だと思います。
とはいえ本を読むのが苦手な人の気持ちは、本を読むことが呼吸をするのと同じような人にとっては想像をすることが難しいかもしれません。
それでも本を読む楽しさを少しでも多くの人たちに知ってもらいたいと、弊社でもテレビ番組を制作(中編にて詳述)しました。