「暖冬」の気配が漂う昨今? 就職戦線も近年はかつての「氷河期」ではなく「売り手市場」と言われています。日経夕刊(2018・11・16)でも、「大卒内定率、最高の77%」「来春卒業採用意欲高く」といった記事が出ています。それによると、文部科学省と厚生労働省の調べで、2019年春卒業予定の大学生の就職内定率が2018年10月1日時点で77.0%と前年同期より1.8ポイント上昇し、1996年の調査開始以降で最高となったとのこと。上昇は3年連続。文科省は「景気回復が続き企業の採用意欲が高まっており、求人数も増えていることが要因」と見ています。
とはいえ、やはり学生に人気のある企業への就職は「狭き門」です。そんなときに役立つのが、『ロジカル面接術』。
最新版2021年度版をお届けします。
元博報堂の津田久資さんと、日本テレビ報道局で活躍中の下川美奈さんの共著のこの本は、就職を考え、就職活動に悩む学生たちのバイブルとして、ロングセラーを続けています。大企業の面接官は学生のどこをみているのか、学生は自己アピールをどうすればいいのか‥‥。そういう面接のノウハウなどは無論のこと、就職活動のみならず、社会人になってからのさまざまな生きる上でのテクニックを感得できる一冊です。そのシリーズ、いつも巻末には、就職問題を考える上で、斯界の第一人者に、その都度、特別寄稿をいただき、好評をいただいています。
2021年版では、ソフトバンクの孫正義社長の参謀と言われた、元ソフトバンク社長室長で、現在は多摩川大学特別教授の嶋聡さんに特別寄稿をいただきました。
題して、孫正義の参謀(元ソフトバンク社長室長)が語る—百歳まで生きる君たちは「十年単位」で人生戦略を考えよう!
これ必読です! ちょうど、嶋聡さんは「文藝春秋」(2018年12月号)にも、「トヨタは孫正義と握手するしかなかった」というエッセイを寄稿されています。
ちなみに、嶋さんはこんな略歴の方です。
『ロジカル面接術』での、彼の学生に向けての激励の言葉をちょっとご紹介します。
—-「十年単位」で人生戦略を考えるとはどういうことなのでしょうか。
嶋 私が就職した1980年代初頭は、男の平均寿命は70代前半。定年は55歳でした。大企業の多くは終身雇用。そういう時代だと、 生まれてから大学卒業までに22年間。そして就職して退職するまでが30数年。あとの20年は老後で70歳前後で死ぬ…という3分割の人生ステージ(教育→仕事→引退)というが平均的だったと思います。
しかし、いまは定年は65歳まで延長され、転職も当たり前の時代です。さらに、「働き方改革」などを推進している安倍首相は、これからは70歳まで働けるように、さらなる定年の延長を提唱しています。平均寿命も今や男女とも80代。これは延びる一方です。やがて90代となり、「人生百年・百歳」が当たり前の平均寿命になるでしょう。健康寿命も高まっており、いまは70代まできています。これも伸びて80歳ぐらいになるでしょう。ですから、いまの大学生たちは、大学を出てから70歳、いや80歳まで働くのが普通のことになってくる。人生設計は大きく変化していくのは必至です。
だから経団連(中西宏明会長)も従来の就活ルールを廃止することに踏み切ったのでしょう。経団連に加盟していない中小企業や外資系企業、IT企業などと共に、日本の大企業も本格的に人材採用にあたって戦国時代を迎えることになったのです。
「90歳まで働く」となると、学生の皆さんは、まだ70年弱も未来があるということです。こういう時代には、「十年単位」で自分の仕事の内容と方向性を考えていくことが肝要です‥‥。
‥‥(以下は本書をお読みください)。
嶋さんが大学を卒業したのは、1981年です。三井物産や日本興業銀行や日本長期信用銀行にも内定をもらっていたものの、あえてベンチャー企業並の「松下政経塾」に入塾。その後、政治家になるものの、落選も体験。そしてソフトバンク社長室長への転身。今は大学教授として日々学生に接しながら、これからは直木賞作家を目指しているとのことです。
シンギュラリティの時代に、百歳まで生きる若者たちに向けて、「勝ち馬」をいかにして見抜き、それに乗っていくかをみずからの人生体験を通じて熱く説く「嶋節」。是非ご一読を。