1 Month In Tibet – vol.1


ランドクルーザーの車窓から「ポタラ宮」が見えた瞬間、一気に鳥肌が立ちました。
涙がでそうになりました。いや、確実に涙ぐんでました。
ついに来た。来たんだ!と実感した瞬間でした。

写真は十数年前に私が撮った中国のチベット自治区のラサにあるポタラ宮です。
旅行好きであれば誰しもがイチオシのスポットや、思い出の場所があると思います。
私にとっての思い出の地が「チベット」です。

大学時代は休みになるとリュックひとつでアジアを駆け巡るバックパッカーでした。
そしてインドやネパールを何度か旅しているうちに「チベットに行きたい!」と思うようになりました。
しかし、大学を卒業して社会人になると長期間の旅行など夢のまた夢。
定年してから行くしかないかと思いつつ、標高3,000mを超える世界に老人が快適に旅行できるとも思えず、半ば諦めていました。

そんなある日、新聞を読んでいると衝撃的なニュースが目に入りました。
中国の青海省からラサまで鉄道でつなぐ「青蔵鉄道」のプロジェクトでした。
開通すれば北京や上海からラサまで鉄道で簡単に行けるようになります。
新聞ではチベットの漢民族の移住が増え”チベット文化の衰退”を危惧していました。

このとき心に決めました。
もうこれは行くしかない!

そして会社に辞表を提出し、チベットに行くことにしました。
妻には二度と「海外旅行に行きたい」と言わないことを約束して。

(つづく)